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工程能力が出ない原因が材料ロット差だと気づくまでの長い道のり

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工程能力が出ない原因が材料ロット差だと気づくまでの長い道のり
製造業の現場で「工程能力が出ない」という悩みは、どの時代にも尽きることがありません。
私も工場長や品質管理の現場で幾度となくこの課題にぶつかってきました。
特に昭和的なやり方が色濃く残るアナログな業界では、「なぜこうもバラツキが生じるのか」を突き詰めるプロセスで、多くの現場が同じ壁にぶつかっています。
今回は、工程能力がなぜ上がらないのか、材料ロット差という盲点に気づくまでの現場目線の“長い道のり”と、そこから得たラテラルな知見を共有します。
工程能力とは何か?現場で実感するその重要性
工程能力の基礎と現場の目線
工程能力指数(Cp、Cpk)は、品質保証活動のバロメータです。
これは「お客様の求める規格に対して、工程から出てくる製品がどれだけ安定しているか」を数値化したものです。
例えばCp=1.33以上、Cpk=1.33以上が量産ラインの目標――多くの現場でそう言われます。
しかし、その数値を何度測定しても「なぜか安定して1を越えられない」、「時には0.7や0.8に下がる」など、思い通りに工程能力が出ないことが頻繁に発生します。
この状況は、トヨタなどの自動車部品サプライヤーなどでも共通の悩みであり、現場のバイヤーや調達担当者にとっても頭痛の種です。
パレート分析で見えてくるはずの真因は見えてこない
異常品が発生すると、まずはパレート図で不良要因を整理し、頻度の高い項目から解決を図るのが基本です。
しかし、工程能力の低下については、パレート分析でも「明確な要因が浮かばない」ことが多々あります。
ここに現場の大きな落とし穴が潜んでいます。
昭和の現場と“人”に頼った品質管理の限界
職人芸と再現性の壁
数十年、現場を支えてきたベテランの職人は、異常があると経験則や“カン”で設備を微調整します。
たしかにその場は収まりますが、工程能力を持続的に向上させることはできません。
属人的な解決策は、根本的なバラツキ要因の特定には繋がらず、「また再発した」というイタチごっこの繰り返しとなります。
「測定」や「管理図」に頼る守りの品質管理
工程内で測定を頻繁に行い、QC管理図を使って異常を監視する。
これはまさに昭和から根付く“守り”の品質管理です。
しかし測定結果がバラつき続けている本質的な原因を追究しなければ、現場は疲弊するだけ。
この悪循環が現代でも多く見られます。
なぜ工程能力は上がらないのか?「設備」「人」「方法」への偏った着眼
設備要因の泥沼にハマる現場
設備保全担当者や生産技術者は、「設備の劣化」や「加工条件の狂い」を疑います。
消耗部品の交換や、細かなメンテナンスが繰り返されます。
また、加工条件(圧力、温度、治具の締付けトルクなど)の見直しを重ねても、肝心のバラツキは消えません。
人為ミスと教育に責任が集中する現実
標準作業手順の順守や、オペレーターのスキル・教育に問題があると決めつける現場も少なくありません。
ヒューマンエラー防止のための指差呼称や、教育強化が推進されていきます。
しかし、いくらトレーニングを積んでも不良は減らず、現場担当者のモチベーションも下がる一方です。
管理方法や測定方法の見直しに終始してしまう
サンプリング回数を増やす。
測定器の精度向上を図る。
測定方法や記録方法を何度も洗い直しても、「真因」は一向に見えてこないのです。
材料ロット差の「盲点」――見逃されてきた真因
紛失しやすい“上流”への視点
多くの工程改善活動では、自分たち“工場内”や“工程内”ばかりに注目してしまいます。
一方で、「材料」については「同じメーカー」「同じ規格だから問題ない」として深く追究しませんでした。
昭和的な現場では特に、「仕入れた材料にバラツキがあるわけがない」という“おかみ意識”が根強かったのです。
ロットごとの特性値変動に気づけなかった現実
やがて、不良や工程能力低下が「特定のタイミング」や「ロット替わりの直後」に集中して発生している――この事実に気づきます。
ある鉄鋼素材メーカーでは、月に数回ロットが切り替わるたびに、塑性加工品の厚みや硬度が微妙にブレ始めていました。
アルミや樹脂部品でも、同様の現象が散見されます。
このように、「同じ材料名、同じ規格」でも、実際にはロットごとに“ミクロ”な特性差が存在していたのです。
実際に現場で体験した事例
某自動車部品メーカーでは、プレス加工の打ち抜きバリ寸法が規格上限を繰り返しオーバーしていました。
すべての改善策を講じていたにも関わらず、ロット替えで不良率がなぜか上昇するという現象が続いていました。
詳細なデータトレースと材料証明書(ミルシート)との突合で、やっと原因が「材料ロット差」、つまりわずかに炭素量や展延率が異なることに起因する加工性の違いであると判明しました。
ラテラルシンキングで解決策を導く
材料管理=現場(バイヤー)×サプライヤーの情報共有がカギ
材料ロット差という「盲点」は、現場だけが見落とすものではありません。
調達部門(バイヤー)、サプライヤー、品質管理部門の三位一体で、下記のような“ラテラルシンキング”を推進することが必要です。
・材料トレーサビリティの徹底化(現場からサプライヤーまでロット追跡)
・工程能力に影響する材料物性値(化学成分、機械特性など)のサンプルデータ取得
・材料ロット替えごとの工程能力グラフ化、現場ルールの制定
・サプライヤーとの材料仕様見直し、安定性重視の契約交渉
これらの着眼点は、「現場発」だけでなく、「現場×バイヤー×サプライヤーの横断的な協働」によって初めて“新たな地平線”を拓きます。
バイヤーに求められるロット差リスクの先読み力
材料調達担当者は、価格や納期交渉に加え「ロットごとの安定性」「材料メーカーごとの製造条件対応力」への鋭い観察力が必要です。
発注時には「できる限りロット一括納入」や「サプライヤー品質保証規格変更交渉」など、現場リスク低減を意識した先読み提案が不可欠となります。
また、仕入れ時にミルシート(検査証明書)の確認もルーティン化しましょう。
サプライヤー目線でバイヤーのニーズを先読みする
サプライヤー側も、「自社出荷材料のロット差がエンドユーザー工程能力に影響する」ことを理解する必要があります。
積極的な品質改善活動や、ワンランク上のトレーサビリティ対応(例:個別製造番号、ミクロ特性値開示)を打ち出すことで、バイヤーや現場から絶対的な信頼を獲得できます。
まとめ:材料ロット差―製造業の未来をひらくカギ
長年、工程能力がなかなか安定しない現場で悩み抜いた経験から言えること――。
それは「自分たちの工程だけ」ではなく、「材料ロット差」「仕入れ先との関係」「バイヤーの業務視点」を今一度見直すことが、明日の製造業進化のカギを握っています。
今後はデジタル化(IoT、AI分析)との連携もますます重要となりますが、現場・調達・サプライヤーが互いの“目線”を理解し、材料ロット差という“昭和的盲点”を克服してこそ、真の「工程能力向上」「高品質ものづくり」が実現します。
日々の当たり前を疑い、ラテラルに視野を広げることで、未来を切り拓く製造業パーソンを目指していきましょう。
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