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曲げ加工機で使う足元マット部材の劣化が安全面で不安な現場

目次
はじめに
曲げ加工機をはじめとする各種工作機械やプレス機など、製造業の現場では重機械の安全性が大きな課題です。
足元マット部材は作業員の足元を守り、安全な動線を確保するための重要な役割を担っています。
しかし、昭和時代から使い続けられている設備や、コスト優先で選ばれた安価な部材によって、多くの職場で足元マットの劣化が顕在化しています。
現場目線で見ると、この「小さな劣化」が大きな労災や生産性の低下に直結しかねない事実は意外と軽視されがちです。
今回は曲げ加工機で使用する足元マット部材の劣化が及ぼす影響と、現場でできる具体的な改善策を深掘りし、サプライヤー、バイヤー両方の目線から新たな視点を提示します。
曲げ加工機と足元マット部材の現状
なぜ足元マットが必要なのか
曲げ加工機は重量物を扱い、また危険な箇所が多いため、作業員の転倒やすべり事故を防止することが求められます。
足元マットは、防滑性とクッション性を両立させ、足腰への負担を軽減するとともに、油や水などの飛散による滑りを防ぐ目的で設置されています。
緊急停止スイッチへの素早い動線確保や、疲労軽減による集中力維持も、安全性向上に直結します。
多くの工場現場で見られる劣化の実態
現場を見回すと「表面がめくれてつまずく」「油でヌルヌルしており効果がない」「部分補修でツギハギだらけ」といった足元マットの劣化現象が各所で見受けられます。
そのまま放置されるケースも多く、日常点検の項目にも挙がっていない現場も珍しくありません。
理由として、「消耗品だから仕方がない」「改善提案をしてもコスト削減で却下された」「根本的な仕様見直しがなされていない」といった“昭和型アナログ思考”が根強く残っている現実があります。
足元マットの劣化放置がもたらすリスク
安全面での具体的なリスク
1. 転倒・滑りによるケガ
マット表面の滑り止め機能が失われたり、めくれ上がったエッジに足をひっかけたりすることで、転倒・転落事故を引き起こします。
特に高齢の熟練作業者の場合、骨折や打撲等の重傷事故につながるケースも珍しくありません。
2. 生産への影響
滑りやすくなった足元で体勢を崩し、加工品や金型にぶつかることで品質不良や設備破損が発生します。
また、転倒事故が発生すると生産ラインを一時停止せざるを得ず、工数ロスや納期遅延のリスクが高まります。
3. 労災発生に伴う訴訟・信用低下
慢性的に足元マットを劣化状態のまま使用していた場合、「注意義務違反」として企業責任が問われ、場合によっては損害賠償や社会的信用喪失に発展します。
なぜ劣化マットが放置されるのか
現場・管理職・バイヤーそれぞれの本音
現場作業員から見ると、「毎日使っているので不便だが、交換申請をしても“また今度”で済まされる」「ツギハギ修理で我慢させられている」といった生の声が上がります。
現場を預かる工場長・管理職からは、「年間予算の割り振り上、足元マットなどの副資材交換は後回し」「致命的な事故が起こらない限り、現状維持バイアスが働く」という心理が働きがちです。
一方、調達購買担当者(バイヤー)は、「高品質なマットを提案しても“コストアップで却下”」「仕様提案よりも、まずはコストダウンや納期短縮という声が大きい」といったジレンマを感じています。
業界全体に根付く“昭和体質”の弊害
未だに「これまで大きな事故がなかった」「マットは安物で十分」という考え方が抜け切れず、現場改善が後回しになっています。
IoTやスマートファクトリーの導入が叫ばれる一方で、こうした安全部材への意識が低いと、真の意味での現場革新とは言えません。
足元マット部材選定・改善におけるラテラルシンキングのすすめ
1. コストではなく“安全投資”として再定義する
マットは「消耗品」ではなく、「労災リスク低減への投資」「生産品質サポートのインフラ」と再定義しましょう。
劣化による事故1件で発生する損害コスト(労災補償、設備修理、納期遅延損失、信用失墜)を試算し、マット更新コストと比較することが重要です。
そのうえでROI(投資対効果)を現場全体で評価する、新しい発想が求められます。
2. 部材スペック見直しによる長寿命化
安価な塩ビシートから、耐油・耐薬品性に優れるエラストマーマット、または表面加工済みの高機能足元マットへの刷新も一案です。
厚み・柔軟性・衝撃吸収性・歩行感覚など、「本当に現場がほしい機能は何か」を現場ヒアリングで抽出、バイヤーとサプライヤーが協働で仕様を策定しましょう。
3. センサー連動型マットやIoT活用の提案
最新技術を使えば、着座圧や荷重変化を検知し、「いつ・どこで・どの程度使用されたか」をデータ化できます。
この情報を使い、メンテナンスサイクルを最適化したり、異常な摩耗が発生した際に自動でアラートを出す“予防安全”設計も可能です。
サプライヤーには、IoT化対応のオリジナル提案の余地があります。
見過ごされがちな「現場の声」から見つける真のニーズ
現場作業員のリアルな要望
実際の現場に足を運び、「なぜ滑りやすいのか」「どの部分がめくれやすいのか」「足や腰への疲労感をどう感じているか」といった“使い手目線”のヒアリングを重ねてください。
たとえば、「曲げ加工機の横部分だけ厚手にしたい」「頻繁に移動する場所は着脱式にできないか」といった現場独自の工夫が見つかるはずです。
メンテナンス性・運用性の向上
清掃や交換がしやすい構造、ツールフリーで取り替えられる固定方法、マット表面の視認性確保など、日々の運用負荷を小さくする工夫も大切です。
購買現場では、「消耗による全交換」ではなく、「摩耗部分だけ簡易交換するパーツ化」「月次点検リストに組み込むサービス」といった新たな調達アイデアが有効です。
サプライヤー・バイヤーが協働で価値を創る時代へ
製造業の調達購買では「より安く、より早く」は永遠の命題ですが、これからは「より現場に適した安全性」「使いやすさや持続性」の価値を提案できるパートナーシップが求められます。
現場を知るサプライヤーと、真剣に現場安全・改善を考えるバイヤーが、机を並べて本音で議論するー。
その先に、“時代遅れ”と揶揄される日本のものづくり現場が一新される未来があります。
まとめ:これからの足元マットの選び方と現場力向上のヒント
– 足元マットは安全投資・生産支援インフラとして捉え直す
– 劣化や事故の本質を現場・バイヤー・サプライヤー全員で共有する
– 高耐久、高機能、新技術活用など本質的な価値提案を受け入れる下地づくりが重要
– 「現場の小さな声」から大きな改革のシグナルを見逃さない
– 実践的かつラテラルシンキングで常識を疑い、新たな地平線を切り開く姿勢を持つ
足元マット部材一つをとっても、現場改善の可能性は無限に広がっています。
製造業の未来を守るため、まずは意識からアップデートしていきましょう。
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