- お役立ち記事
- 曲げ加工機で使う配線部材の断線が多発する理由と現場の声
曲げ加工機で使う配線部材の断線が多発する理由と現場の声

目次
はじめに:昭和の工場から現代の工場へ~曲げ加工機の現場課題とは
製造業の現場では、時代が平成から令和へと変わった今なお、昭和時代からの課題が根強く残っています。
特に、プレスや曲げ加工機の現場においては、機械のハイテク化が進む一方で、アナログな問題に足止めされるケースが多々見受けられます。
その中でも、曲げ加工機で使われる配線部材の断線トラブルは、今なお多くの工場現場を悩ませています。
この記事では、現場目線でなぜ曲げ加工機で配線の断線が多発するのかについて深掘りし、さらに実際の現場の声や事例を交えつつ、対応策や予防策を探ります。
サプライヤー・バイヤー・現場担当者、それぞれの立場で実践的なノウハウを共有したい方へ役立つ内容をお届けします。
配線部材断線トラブルの実態とは
断線パターンの典型例
曲げ加工機における配線部材の断線トラブルは、端子部分の接触不良、ケーブル自体の芯線切れ、外被の損傷によるショートなど、さまざまな形で現れます。
現場によっては月に数回~十数回発生することも珍しくありません。
以下は典型的な断線例です。
– 加工機の可動部と固定部をつなぐケーブルが、繰返し屈曲や振動によって断線
– ワイヤーハーネスの引き回しミスや過度な角度での曲げ、無理な固定による断線
– コネクタ部分のロック不足や圧着不良に起因する接触不良
現場での見逃しやすい断線要因
配線部材は目視では異常を発見しづらいことが多く、小さな断線や被覆破損が「なんとなく問題が起きている」程度で見過ごされがちです。
また、設備停止や生産ラインの停止事故、出来高の遅れといった目に見える被害の原因として「まさか配線部材だとは思わなかった」という声もよく聞きます。
なぜ曲げ加工機で断線が多発するのか
構造上の課題
曲げ加工機は構造上、多軸で可動部分が多く、屈曲やねじれ・衝撃振動といった物理的ストレスがケーブルに日常的にかかります。
長年勤めた経験からも、自動プレスやNC曲げ機で特有の難しさとして「配線部材が常に揺さぶられる」環境があります。
さらに、設備メーカーごとに製品設計思想が異なり、一部の加工機はメンテナンス性や配線スペースを軽視していることも否めません。
「昭和設計」から脱却できない理由
日本の製造現場には「昔のままのやり方が一番安全」という根強い信仰があります。
現場では、「配線はとりあえず機械に這わせてタイラップでまとめておけばOK」という空気があり、設計段階から配線の曲げ半径、屈曲回数、取り回し長さへの検討不足が多発しています。
また、配線部材の選定も「とりあえず在庫品を使う」など、コスト優先で部材のスペックダウンを行うケースが少なくありません。
実際の現場の声:断線トラブルのリアル
工場現場の担当者の証言
「生産ラインで突然アラームが鳴り、調べてみたらセンサーケーブルが中で切れていた。振動や引っ張りによる断線だったが、一目では分からず多大なロスを出した」
(自動車部品メーカー・保全課長)
「毎年決まった季節(特に気温差が大きい時期)にだけ特定の加工機で断線が頻発する。外部環境の変化による膨張・収縮ストレスも加味する必要があると感じた」
(電子部品工場・現場リーダー)
サプライヤー側の視点
「設計段階で実際の曲げ回数や取り回し負荷を提示せず、『現場で適当にやっておいて』と言われてしまう。カタログスペックだけで部材を選ばれると、現場で使えない場合が多い」
(配線部品メーカー技術担当)
バイヤー・サプライヤーが抑えるべき配線部材選定のポイント
配線部材の選定は、単にカタログで最大許容曲げ回数や定格値を見て決めればいいわけではありません。
現場固有のストレス条件(例:曲げ半径、ねじれ頻度、温度・油分による劣化など)を慎重に評価する必要があります。
曲げ特性に優れたケーブルの選び方
– 連続曲げ用途に合ったロボットケーブル(細かいストランド仕様)
– 紫外線・油・薬品暴露下でも劣化しにくいシース材質の採用
– 必要最小限の曲げ半径を遵守し、現場取り回し設計を事前検証
コストダウンだけでは解決しきれない問題
一見似たスペックでも、長期間の耐久試験や実装シミュレーション(テストベンチ導入など)の結果をレビューするべきです。
たとえば、中国製や海外調達品を採用する場合は、現場での使い勝手やメンテナンス性も合わせてチェックするのがおすすめです。
現場でできる断線予防と改善策
1. 取り回しの工夫・配線保護対策
– ケーブルラックやプロテクターを使い、可動部へのケーブル自由長を十分に確保する
– タイラップでの固定は最小限にし、ケーブルのストレインリリーフ(負荷分散)を設ける
– 屈曲やねじれの起点は必ず曲げ半径に余裕を持たせて施工する
2. 定期点検・予兆管理
– ベースとなる保全計画の中に配線チェックリストを組み込む
– 被覆の摩耗やコネクタロックの緩みの早期発見・部品交換を怠らない
– サーモグラフィや通電チェッカーで、通常時と異なる温度・抵抗異常値をモニターする
3. 設計部門と現場の連携強化
「設計部門任せ」「現場任せ」にせず、現場の声をフィードバックするサイクルが今こそ求められます。
ベテランの知恵や経験を現場写真・チェックシートで集約し、設計仕様に落とし込む文化醸成が鍵です。
デジタル化・自動診断技術の活用最前線
IoTで配線異常を“見える化”
最近では、配線経路やコネクタ部の温度・通電抵抗値をリアルタイム観測し、異常値を早期アラートで通知するIoTセンサーの導入も進んでいます。
これにより「いつ、どこで、どんなストレスがかかったか」が可視化され、未然防止や寿命予測が可能となります。
AI異常検知システムの台頭
AIを活用した配線診断は、「正常パターンから外れた挙動(例:断線しかけ)」を自動検知して修理タイミングを事前提案してくれる事例も出てきています。
取り換え時期の最適化による在庫圧縮やコスト低減にもつながります。
まとめ:現場・設計・調達…全方位で改革を
配線部材の断線トラブルは、「現場独自のクセ」×「設計サイドの伝達不足」×「部材選定の思い込み」など、多くの要素が複雑に絡み合っています。
昭和から続く「何となく大丈夫」の慣習から脱却し、現場の“小さな声”とデジタル技術、サプライヤーからの最新情報、現場起点のノウハウを融合させた新しい視点が必要です。
– 設計部門は机上検討にとどまらず、現場実態をフィールドワークで把握する
– 調達・バイヤー担当は価格だけで選定しない
– サプライヤーは現場導入後のフィードバックや追加サポートを充実させる
これらの「現場から新しい地平線を切り開くラテラルシンキング」が、真の意味での現場力強化、製造業全体の底上げにつながると確信しています。
今後も現場の皆さまと共に、より安全で、コストパフォーマンスに優れた工場運営を目指してまいりましょう。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。