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OEMトレーナーで差がつく“リブ”の幅とテンション設計の極意

目次
OEMトレーナーの品質を分ける「リブ」設計の重要性
OEMトレーナーにおける“リブ”—すなわち袖口や裾、首周りに使われる伸縮素材—は見た目の仕上がりや着心地、機能性、さらには商品の寿命にまで大きな影響を及ぼします。
「ただ伸びる材料を使っていれば十分」
「値段の安いところで作れば問題は出ない」
そう考えている企業やバイヤーも少なくありません。
しかし、リブの本当の価値はその“幅”や“テンション(伸縮の度合い)”の設計にあります。
この違いを見抜く力や、その価値を製品に落とし込むノウハウこそ、OEMで大きな差別化要素となるのです。
なぜ「リブ」なのか?アナログ業界でも見過ごせない“現場の本音”
実はリブは、工場現場で最もアナログな管理がされやすい領域のひとつです。
具体的な規格や測定法が曖昧なまま伝達され、「なんとなく昔通り」で済まされているケースも多々あります。
昭和から続く老舗の縫製工場では、ベテラン職人の勘に頼ってリブをセットしていることも見受けられます。
しかし、昨今の小ロット多品種トレンド、一人ひとりの消費者ニーズの多様化、そしてアパレル業界全体のコスト低減要求の高まりにより、リブの設計・管理も“数値”に基づく科学的アプローチが不可欠となってきました。
リブ設計を侮ると起こる3つの失敗
1. 袖や裾のビロビロ現象
2. 洗濯変形によるクレームや返品増加
3. シルエットが崩れた“安っぽい”見映え
リブ幅やテンションの取り方一つで、「着やすい」「長持ちする」「高級感がある」と消費者評価が劇的に変わります。
バイヤーであれば、ここを疎かにしたOEM先は避ける判断が不可欠です。
サプライヤー側も、こうしたポイントの“数値設定”やデータ蓄積が商談での差別化材料になるのです。
理想的なリブ幅設定の考え方
市場トレンド×商品コンセプトで幅を決める
たとえば、カレッジ系のクラシックトレーナーでは広幅リブ(例: 70mm以上)が主流です。
一方、現代のミニマル志向やスポーツテイストなら細身リブ(例: 30mm前後)が好まれます。
リブ幅の設計は、ターゲット顧客やシーン、競合他社のリサーチを踏まえた上で、
「なぜ、何mmで設計するか」のロジック設計が必要不可欠です。
ユーザーデータに基づく最適値の算出
実際のOEM現場では、数パターンのサンプル作成→着用試験・耐久テスト→フィードバック回収を繰り返すことで”ちょうどよい幅”を数値化します。
この「標準値構築と根拠付き提案」が、サプライヤー側の第1関門です。
見積段階で「標準リブ幅は○mm、理由は△△」と明確に打ち出せるOEM先は信頼度が違います。
リブ幅指定が無い場合の危険性
逆に「リブは一任で」とバイヤーから丸投げされた場合—ここに潜むリスクも語っておきます。
現場現実として、最も安価なリブ資材、汎用機の設定値で無難に作りがちです。
競争が激しいOEM工場ほど、コストダウン優先で“ギリギリまで細幅・薄手”に振りがちです。
結果、洗濯・着用後に著しく型崩れする案件や、ブランドコンセプトと合わない仕上がりになる危険が高まります。
リブの“テンション設計”とは何か?現場のリアルな取り組み
テンション設計の基礎知識
“テンション”とは、簡単に言えばリブの締まり具合—どの程度伸ばして本体に縫い付けるかの指標です。
経験則では「リブ長=本体開口部の80〜90%」などざっくり伝える場合が多いですが、
本来はリブの素材特性(ポリ・綿比率、組織密度、ゲージ、仕上げ方法)、縫製機械のテンション値、
最終用途(アウター、ルームウェア、キッズ等)に応じて最適解が大きく変わります。
テンション管理の成否を分けるノウハウ
1. サンプル段階で数パターン(例えば本体長×85%, ×90%)のリブパーツを用意し、実際に縫製・着用テストを実施。
2. 洗濯10回・20回・50回の変形率データを収集。
3. ブランドごとの着用感アンケートや販売実績分析(返品理由の統計)。
4. これらをスプレッドシート等でデータベース化し、次回案件では「前回Aブランド向けは本体長対比86%設計が高評価」等、根拠ある提案をする。
この地道な取り組みが、OEM受注競争で大きくモノを言います。
テンション誤りでよく起きる現場トラブル
●リブがだぶつき“シャツ引きずり”のクレーム頻発
●袖を洗うたび首リブが伸びて戻らない
●あえて強テンションで「カッコよく」した結果、細身体型の消費者で肘抜け・締め付け感UP
データ不足・設計無策の案件ほど、こうしたトラブルでブランド信頼を損ねやすいのが実情です。
リブの幅×テンション=商品価値の最大化が生む“稼げるOEMサプライヤー”
現場で最も評価されるOEMサプライヤーとは、以下3点をデータと提案力で実現できるパートナーです。
1. 客先が指定せずとも「幅・テンションの最適設計値」を自ら科学的根拠とともに提示できる。
2. シルエット・着心地・耐久性・コストのバランス設計(材料歩留まり、作業効率も含め)。
3. OEM元バイヤーや自社商品化検討時のQCD(品質・コスト・納期)バランス最適化ノウハウも備える。
こういったサプライヤーほど、バイヤー側も設計の前倒しや、ブランド担当者からの独自案件相談を受けやすくなります。
そして付加価値の高い見積(値引き交渉時の粘り強さ)も獲得しやすいのです。
バイヤー視点で見る「良いサプライヤー」の見分け方—OEM選定の新基準
「納期を守る」「安い」「大量生産できる」だけでなく、
・リブ長・幅・テンション設計時に必ず「根拠」や「過去実績」で提案ができるか
・クレームや返品対応で“機転”や“分析力”があるか
・最新の市場トレンド(リブ風デザイン、アレルギー対応、エコ素材等)にも目配りしているか
こうした点を商談時や提案書でさりげなく確認しましょう。
昭和型の“勘”頼りサプライヤーと、令和時代の“数値化&分析型”パートナーはここで差が出やすいのです。
まとめ—“リブ”の設計力がOEMトレーナービジネスの未来を拓く
リブ=単なる部材、コスト削減対象、と見なされがちですが、その奥に眠る設計力やデータ蓄積こそが、ブランド価値と顧客満足度を左右します。
現場経験を積んだ管理職として断言できるのは、「リブで差がつくOEMサプライヤー・バイヤーこそ、取引先・顧客からも信頼され長期的なビジネスチャンスを得やすい」という事実です。
製造業の現場目線で見るOEM業界の進化は、こうした地味ながらも本質的な設計技術と現場コミュニケーションにこそあります。
読者の皆さまが、リブの幅・テンション設計に新たな視点と科学的アプローチを導入し、自社や取引先とのQCD競争で一歩先行く武器として活用していただければ幸いです。
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