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OEM技術を活用して新分野へ挑戦する製品多角化のロードマップ

目次
はじめに:OEM技術と製品多角化の重要性
製造業の現場には日々多様なニーズが寄せられています。
従来の得意分野だけで生き残ることが難しくなる現代、企業は製品多角化を積極的に進めています。
その中核となるのがOEM(Original Equipment Manufacturer)技術の活用です。
この記事では、「OEM技術を活用して新分野へ挑戦する製品多角化のロードマップ」と題し、実際の現場目線から、アナログに根強い昭和的業界特有のしがらみや、デジタル化が進んだ最新の事例も交え、リアルに役立つノウハウやヒントをお届けします。
OEM技術とは何か?本質を現場目線で理解する
OEM技術については多くの解説がなされていますが、現場で実際に向き合う立場から要点を整理すると、次の4つが重要です。
1. 他社ブランドで製品を提供する技術・体制
OEMは、自社で製品を設計・製造し、他社ブランドで市場に供給するビジネスモデルです。
これにより、メーカーは自社ブランド以外の販路を確保できます。
2. 技術力+生産管理+品質保証の三位一体
OEMを請け負うには、単に生産設備や技術があればいいわけではありません。
量産安定性、リードタイム厳守、相手先ごとの品質基準—この3つが三位一体で求められます。
3. 取引相手による要求レベルの違い
小規模なOEM取引ではざっくりした指示に応える力が求められますが、大手との取引では厳しい監査・品質文書の提出・工程監査など業界特有のルールが存在します。
4. 「モノづくり」から「コトづくり」への進化
OEMの現場では、単なる製品供給から一歩進み、顧客と一体となった「開発パートナー」の役割を担うケースが増えています。
製品多角化がなぜ今、必要なのか?
日本の製造業は長らく「主力製品一本足打法」で成長してきました。
しかし、グローバル化やリスク分散志向、技術革新のスピード化など大きな変化を受け、以下のような課題が浮き彫りとなってきました。
1. 売上の安定性と成長余力の両立
特定分野のみに頼ると、市場変動や顧客動向、法規制の変更一つで大打撃を受けます。
製品の多角化は、売上の変動リスクを分散し、安定した成長基盤を作ります。
2. 保有技術の新たな活用先
これまで培った技術やノウハウが、意外な異業種・異分野で大きな価値を発揮するチャンスでもあります。
典型的なのが、自動車部品メーカーによる医療機器分野への進出などです。
3. 他社との差別化・ブランド価値向上
多角化で新たな分野へ展開することで、新規顧客との接点を作り、企業ブランドの信頼性も高まります。
OEM技術を活かした製品多角化の進め方ロードマップ
具体的にどのようなステップでOEM技術と製品多角化を紡いでいくのか。
現場での生々しい経験に基づく実践的な方法をご紹介します。
ステップ1:現有技術・設備・人材の棚卸し
技術、設備、人材、プロセス管理ノウハウなど、現場が保有するリソースを徹底的に洗い出します。
ここでポイントとなるのは、「当たり前すぎて自社の強みに気づいていない技術」が必ずあること。
例えば、金属プレスなら異種材接合の実績、射出成型なら超薄肉加工、検査なら画像判別技術など、些細に見える強みが新分野展開の種になります。
ステップ2:ターゲット市場とOEM/PB(プライベートブランド)候補先リスト化
棚卸しした自社リソースが活かせそうな、新規分野や顧客群をリストアップします。
ここで「大企業ばかり狙う」のは危険です。
むしろ規模は小さくても業界構造の変化が期待できる分野や、周辺のニッチ市場を狙うのが現実的です。
例えば、介護用品や建設現場資材、エネルギー分野の周辺機器など誰もが参入しそうで参入しない『スキマ分野』こそ狙い目です。
ステップ3:顧客ニーズ・業界慣習の徹底リサーチ
新分野での商談やOEM獲得においては、その業界特有の「商習慣」や「暗黙のルール」に沿った提案が求められます。
昭和的な“御用聞き営業”も時として有効ですが、キーマンを押さえる、現場ワーカーの声を聞く、業界のサプライチェーン構造を理解するといった地道な情報収集が欠かせません。
また、商工会や展示会、業界誌、SNS活用も“今どきの現場リサーチ”として有効です。
ステップ4:試作・サンプル提出のクイックレスポンス体制を築く
OEM提案時、顧客から求められるのが「すぐにサンプルを見せてほしい」「実物で品質を判断したい」といったスピード感です。
ここで現場がよく陥るのが、「図面が固まらないと動けない」「段取りが組めない」といった“昭和型の工程思考”です。
ですが、ラフ図面や簡易型でもいいからまずは形にして見せる、そして改善ポイントをその場で抽出する柔軟なマインドが試されます。
ステップ5:納期厳守と品質保証—現場が信頼を勝ち取る本番運用
商談成立後は、いよいよ量産スタートです。
ここで大切なのは、「小ロットから始めて徐々に拡大」モデルを狙うこと。
最初からフルキャパの投資をせず、実績を積みながら生産ラインを拡張します。
品質トラブル対応や工程改善のノウハウが、現場自体の成長を促します。
ステップ6:拡張と水平展開—第二、第三の多角化分野へ
一つのOEM分野で信用・実績を積むことで、他分野や別のバイヤー案件へ展開するチャンスが拡大します。
この時点で初めてPB(プライベートブランド)や自社開発製品の可能性も探れるようになります。
OEM現場での落とし穴と昭和的しがらみの現実
OEM多角化には、いくつかの「現場ならではの落とし穴」があります。
長年昭和時代の体制が根付いた製造現場で実際に起きやすい課題を整理します。
分業・縦割り文化による情報遮断
多角化やOEM商談を進めるには、営業・調達・生産・品質・技術の一体運営が不可欠ですが、縦割り文化が陥りがちです。
「うちの担当じゃない」「これまでのやり方でいい」「現場が混乱する」など、心理的バリアが現場に潜みます。
現場力=効率ではない、変化対応力が肝心
日本製造現場の強み「カイゼン文化」は素晴らしいものです。
しかし、新分野に挑戦する時は“前例主義”や“現状維持”ではなく、『知らないことに柔軟にトライする』変化対応力が求められます。
調達購買担当者とサプライヤー目線
調達側は常に「納期」「コスト」「品質」「提案力」の4軸でサプライヤーを評価しています。
OEM多角化を目指すサプライヤー側は、この基本心理を理解し、「どうすれば本音で頼られる存在になれるか?」を考えることがカギです。
アナログとデジタルの融合:昭和から令和へのロードマップ
いまだにFAXや電話文化が根強い製造業界ですが、デジタル技術をあえて“補助輪”として活用することで、多角化のスピードは劇的に早まります。
業務効率化ツールと現場ノウハウの掛け合わせ
BOM・図面管理・工程進捗のデジタルツール活用、またはスマホやタブレットを使った現場写真共有、コミュニケーションアプリによる進捗確認など、デジタルとアナログの“いいとこ取り”が今こそ重要です。
生産・調達の体制強化と属人化の回避
属人化が進むと、急な多角化案件やOEM新規対応が難しくなります。
「知識の見える化」「情報共有の文化」「複数メンバーによるOJT/ノウハウ伝承」が、今後の多角化経営には不可欠です。
まとめ:OEM技術による製品多角化の未来と可能性
OEM技術を活用した製品多角化は、製造業にとって今まさに挑戦すべき成長戦略です。
昭和型から脱却しつつ、現場で培った技術・ノウハウを最大限生かし、「小さく始めて大きく育てる」「顧客の本音を理解し信頼を勝ち取る」姿勢が大切です。
変化の激しい時代こそ、現場目線の実践力×やわらかい頭×業界慣習の理解、その3つがOEMによる製品多角化成功のカギです。
この記事が、今後の新たな一歩、成長のヒントとなれば幸いです。
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