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ドライヤーカン用軸受の潤滑不良が招く重大トラブル

目次
はじめに
工場の生産ラインにおいて、安定した稼働には設備一つひとつの細部まで配慮が求められます。
特にドライヤーカン用軸受は、製紙業やフィルム、鋼板など幅広い産業で不可欠な要素部品であり、その潤滑不良は生産性や品質、安全性に直結する深刻なトラブルの原因となります。
本記事では、ドライヤーカン用軸受の潤滑不良が引き起こす重大トラブルに焦点を当て、昭和から続くアナログ的現場の慣習と、現代に求められる課題解決へのヒントについて、現場目線で深く掘り下げます。
ドライヤーカン用軸受とは――産業現場を支える縁の下の力持ち
ドライヤーカンは高温・高速回転下で紙やフィルムを乾燥させるために設計された大型のローラー装置です。
その性能維持の要となるのが軸受部です。
この軸受は、回転時の摩擦抵抗低減や軸の保持だけでなく、潤滑維持によってスムーズな回転や耐久性の確保、安全な運用を保証します。
多くの現場では、古くからグリースやオイルによる潤滑が主流です。
しかし、こうしたアナログ的な方法は潤滑不良やメンテナンス不足に直面しやすく、時代に即した改善が求められています。
潤滑不良がもたらす特徴的なトラブル
焼き付き・損傷による生産ライン停止
ドライヤーカン用軸受の潤滑不良は、最も直接的には“焼き付き”を招きます。
焼き付きとは、十分な潤滑油膜が維持できず金属同士が直接接触し、急激な摩耗や表面損傷を起こす現象です。
この焼き付きが発生した場合、突如として生産ラインが停止し、ラインの再稼働に大きなダウンタイムが発生します。
たった数分の停止でも生産量や納期への影響は甚大であり、完成品の品質にも悪影響を及ぼします。
異音・振動増加による品質低下
潤滑が不十分だと、軸受部に異常な振動や異音が発生します。
これに気付かず運転を続ければ、不良品の発生や商品のバラつきが増えるだけでなく、最悪の場合は連鎖的な設備トラブルが発生する恐れがあります。
想定外のコスト増大
潤滑不良による軸受交換や修理費用はもちろん、突発的なトラブル対応に要する工数・資材コストは想像以上に高くつきます。
また、生産計画の調整や得意先からの信頼失墜による損失は、長期的な視点ではさらに深刻です。
なぜ昭和的アナログ管理が根強く残っているのか
製造現場では今なお、「長年の経験による間隔給油」「メモと紙での保守記録」など、昭和時代の手法が色濃く残っています。
これには以下のような理由があります。
現場担当者の属人的運用
ベテラン作業者の勘や経験だけに依存した潤滑管理は、現場では意外なほど多く存在します。
加えて、デジタル化や新ツールの導入に消極的な風潮も根強いです。
メンテナンスコストの抑制志向
「ムダを省く、コストを下げる」という企業文化が、かえって投資の抑制を招く場合もあります。
目先のコスト最小化を優先し、潤滑システムやIoT監視の導入を後回しにする傾向が抜け出せていません。
情報不足と時代の変化への対応遅れ
現場目線では「今まで大丈夫だったから」「異常時だけ対応すればいい」という発想もまだ一般的です。
新しい技術やツールの活用以前に、基礎的知識のアップデートが進んでいないことも問題です。
潤滑不良を防ぐための現場実践策
では、どうすれば昭和型のアナログ管理から新しい管理体制への転換ができるのでしょうか。
現場経験者の視点で、すぐに実践できる手順を紹介します。
1. 潤滑管理の標準化と手順書整備
属人的な作業から脱却するためには、「誰がやっても同じ品質が維持できる」標準化が不可欠です。
潤滑ポイント、給油量、交換時期、点検サイクルを明確にした手順書を作成し、現場の実務と合せて定期的に見直しましょう。
2. 潤滑油やグリースの選定見直し
近年は環境対応や高効率・長寿命の潤滑剤が多く開発されています。
メーカー推奨品や、現場の稼働条件に最適な潤滑剤へのアップデートを検討し、テスト運用から始めるのが現実的です。
3. 給油方法の自動化・IoT化による見える化
オートグリース給油装置や潤滑監視IoTセンサーの導入は、労働負担軽減とトラブル予防に直結します。
設備更新や大規模改修だけでなく、既存ラインへの後付け・小規模導入も十分可能です。
4. 異常予兆のデータ可視化
定期的な振動診断や油膜厚さ測定を実施し、潤滑不良の“予兆”をデータで把握できれば、人に依存しない攻めの予防保全が可能となります。
5. 教育と情報共有の強化
潤滑管理の重要性や、失敗事例・成功事例は社内で積極的に共有しましょう。
若手や非専門スタッフにも分かりやすく教育コンテンツを整備し、現場全体の意識向上につなげます。
バイヤー・サプライヤー視点で考える潤滑不良対策
バイヤーが期待する「可視化」と「信頼性」
購買担当者としては、調達先が「潤滑管理まで含めた設備トータル提案力」を持っているか、自動給油装置などの先端技術対応ができるかを評価軸にすると差別化が図れます。
また、可動部のメンテナンスしやすさやトレーサビリティ体制、アフターサポート体制なども調達判断の重要指標となります。
サプライヤーからみたアプローチ
サプライヤー側は「自社製品の潤滑保全まで見越した提案」を現場やバイヤーに届けることが取引拡大のカギとなります。
単なる部品供給でなく、実態調査・保全指導まで踏み込んだソリューション提案が“価値”となる時代です。
事例で学ぶ――潤滑不良による失敗と改善
某製紙工場で発生した全ラインストップ事件
定期給油が記録上は「問題なし」とされていたが、実際には一部ポイントでグリース経路の詰まりが発生。
焼き付きに至り主軸受が損傷、24時間以上のダウンタイムと多額の修理費用が発生しました。
この教訓から「点検結果の写真記録化」「グリース供給圧の定期測定」「要因分析をオープンに共有」などの改革が進められました。
IoT導入で“ゼロ・トラブル”を実現した例
一方、IoTセンサーによる潤滑監視を取り入れ、グリース供給圧や振動異常をリアルタイム通知する仕組みを構築。
ベテランの勘に頼らず、データ主導型の管理体制で突発トラブル“ゼロ”を達成した工場もあります。
これからの現場が目指すべきもの
ドライヤーカン用軸受の潤滑不良は、消耗・損傷という見えやすいリスクだけでなく、企業の“目に見えないコストロス”に直結しています。
時代遅れのアナログ管理から脱却し、データと標準化に基づく持続可能な生産体制にアップデートすることが急務です。
今の現場で何ができるのか、小さな一歩からでも着実に取り組むことが、日本の現場力を再強化し、製造業発展に貢献する道といえます。
まとめ
ドライヤーカン用軸受の潤滑不良が招くトラブルは一時的な損傷だけに留まりません。
生産性・品質・コスト・顧客信頼・サプライチェーン全体に波及する重大な経営リスクなのです。
昭和型の慣習に甘んじず、最新の知見や技術・現場の知恵を融合させ、真の予防保全を実現しましょう。
バイヤーもサプライヤーも、このリスク低減に向けて共に手を携え、新たな製造業のスタンダードを築いていくことが、これからの現場リーダーに求められています。
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