UHMW-PE光安定メッシュ漁網と海洋抗汚付着3年観察
UHMW-PE光安定メッシュ漁網とは何か
UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)は、近年の漁業や水産業分野で特に注目を集めている高性能樹脂材料です。
このポリエチレンは通常のPEに比べ分子量がはるかに高く、耐久性や強度に優れているだけでなく、軽量で取り扱いやすいという特徴も持っています。
さらにここ数年、「光安定処理」を施したUHMW-PEメッシュ素材が開発され、紫外線による劣化を大幅に抑制できるようになりました。
従来の漁網では、太陽光による劣化や変色、強度低下などが問題となりやすいですが、光安定メッシュ漁網ではこれらの課題をクリアしています。
このことで漁網の長寿命化、メンテナンスコストの削減、効率的な操業などにつながり、漁業現場の働き方改革にも貢献しています。
光安定メッシュ漁網が求められる理由
海洋に設置される漁網は、常に過酷な自然環境下にさらされています。
紫外線、潮流、波などによる物理的ストレスだけでなく、海水による塩害や、バイオファウリング(抗汚付着)、物理的衝撃といった多様な影響を受け続けます。
そのため、従来のナイロンや一般的なPEでは網の劣化や破損、交換頻度の増加によりコスト・手間がかかりました。
また、漁網に海洋生物(藻・貝・フジツボなど)が付着することで、網目が目詰まりし、漁獲効率や水流通過性が落ちることも問題でした。
こうした課題解決のために、耐久性と光安定性を兼ね備え、さらには抗汚付着性を強化したUHMW-PEメッシュ漁網が強く求められるようになっています。
抗汚付着とは何か―海洋環境でのバイオファウリングの実態
「抗汚付着」とは、水環境下での生物の付着や汚染を防ぐ性質を指します。
特に海洋に長期間設置する設備や道具では、フジツボ・貝類・藻類・バクテリアなどの「バイオファウリング」が深刻です。
漁網表面にこれらの生物が付着して繁殖すると、網目が埋まり、水流阻害・漁獲作業の非効率化、網の重量増加による破損、網の沈降による漁場の変動など、多様な悪影響が現れます。
また、付着生物の除去作業も漁業者に負担となり、コストや手間の増加につながります。
このため、抗汚付着性能を強化した漁網開発が海洋環境下では非常に重要です。UHMW-PEにはもともと表面が滑らかで、生物の初期付着を防ぎやすい特性があります。それに加え、近年は更なる抗汚改質やコーティング技術も進化しています。
3年観察でわかったUHMW-PE光安定メッシュ漁網の海洋耐性
実際に、UHMW-PE光安定メッシュ漁網を海中に長期設置し、その抗汚付着や素材の劣化状況を観察したフィールドテストが複数報告されています。
この記事では、代表的な「設置3年間の観察結果」に焦点をあてて紹介します。
観察方法の概略
漁業現場または海洋実験施設にて、比較対象として従来PE・ナイロン・光安定処理有無のUHMW-PEメッシュ漁網を複数設置。
3年間にわたり、海中での各素材の外観変化、表面生物付着状況、機械的強度変化、色褪せ、重量増減、清掃後の復帰性などを、定期的に記録・測定しました。
表面付着状況の比較
従来ナイロン・通常PE漁網では、数か月で表面に藻やバクテリアの膜が形成され、1年もしないうちに貝類やフジツボといった固着生物でびっしりと覆われました。
対して、UHMW-PE光安定メッシュは設置1年後でもバイオファウリングが比較的軽度で、付着しても手や水で容易に除去できる状態を保つことが多いです。
また、光安定処理を施していないUHMW-PEでも一定の抗汚効果はみられましたが、光安定処理ありの方が長期間にわたって清潔な表面環境を維持できていました。
素材自体の劣化について
網素材の強度や柔軟性、色褪せなどの経年劣化も重要な評価ポイントです。
従来素材では2年目以降から明確な強度低下や繊維の粉化、白化現象がみられました。
対して、光安定UHMW-PEメッシュ網は3年経過後も初期強度の8割以上をキープした例が複数報告されています。
また、色あせ・黄変もほとんど見られず、摩耗具合・柔軟性も良好に維持されたという結果も出ています。
清掃・洗浄後の「生き返り」効果
バイオファウリングが生じても、網を引き上げて洗浄(高圧水洗やこすり落としなど)すると、UHMW-PE光安定メッシュ網は比較的短時間でキレイな表面を取り戻します。
従来素材では、繰り返しのバイオファウリングと清掃で繊維が傷みやすく、次第に付着しやすくなったり、網目が崩れたりすることが多いですが、本素材は何度洗っても形状・強度共に大きな変化が出ませんでした。
長期運用面でも高いパフォーマンスを維持できることが、実観察からも示唆されています。
UHMW-PE光安定メッシュ漁網の実際の活用事例
漁業や水産養殖の現場では、サケ・マス・ブリなどの魚類養殖、貝類・甲殻類養殖、沿岸定置網、資源保護柵など幅広い用途で本素材が使われ始めています。
特に魚類養殖用のケージ網では、1年を超える設置期間でもバイオファウリングが少なく、頻繁な網交換が不要となり、メンテナンス経費・作業工数の大幅削減が実現しています。
また、沿岸の海藻栽培場や、海洋生物の生息域制御(マリンプロテクション)の現場でも、従来比で2~3倍近い耐久年数で高い評価を得ています。
さらに、ゴミの絡み付きや藻類の塊を除去しやすい点や、漁獲物の品質劣化を抑える効果も報告されています。
今後のUHMW-PE光安定メッシュ漁網に期待される展開
現在も新しい光安定剤技術やスーパーハイドロフォビック(超撥水)コーティング、抗菌・抗藻処理技術など、UHMW-PEメッシュ漁網の高性能化が進んでいます。
生分解性素材やリサイクル技術との連携も今後の大きな潮流となるでしょう。
また、気候変動による海水温の上昇や、新たな生物の移動など、海洋環境の多様な変化にも柔軟に対応する必要があります。
機能性漁網の研究・開発が加速することで、持続可能な水産・漁業経営、自然共生型の海洋利用の実現につながると期待されています。
まとめ―3年観察が示すUHMW-PE光安定メッシュ漁網の価値
3年間の現場観察を通して、UHMW-PE光安定メッシュ漁網は「優れた耐紫外線性」「バイオファウリング抑制」「高い耐久性」「メンテナンス容易性」「清潔な漁場維持」に大きな強みがあることが示されました。
従来素材からの置き換えが進むことで、漁業現場の働き方が改善され、経済的にも環境的にもサステナブルな生産体制が築けます。
これからも現場の声を反映しながら、UHMW-PE光安定メッシュ漁網のさらなる改良と普及が重要になっていくでしょう。