撥油加工を施したユニフォーム素材のクリーニング試験評価
撥油加工を施したユニフォーム素材のクリーニング試験評価とは
最近、さまざまな業種でユニフォームの機能性向上が求められる中、特に注目されているのが撥油加工を施したユニフォーム素材です。
撥油加工技術は、ユニフォームに付着する油分を防ぎやすくし、清潔さや美観を長く保つために活用されてきました。
しかし、実際の現場でその効果がどれほど維持されるのか、クリーニングによる加工の耐久性や性能の変化など、明確な評価方法や試験データを知りたいという声が高まっています。
ここでは、ユニフォーム素材において撥油加工がどのように機能しているのか、クリーニング試験によってどんな評価ができるのか、また効果を永続させるための取り組みについて詳しく解説します。
撥油加工とは何か?
ユニフォーム素材における撥油加工の役割
撥油加工とは、布や繊維などの素材の表面に油をはじく機能を付与する特殊加工です。
一見、水や油を同時にはじく「撥水・撥油加工」とまとめられがちですが、実は油と水では分子レベルでのはじき方や加工剤の種類が異なります。
ユニフォームは食品工場・厨房・飲食店・工業など、油汚れのリスクが高い職場で多用されています。
ここで撥油加工された素材を用いることで、調理時に飛んだ油や機械まわりのグリース汚染が繊維内部に浸透しにくくなり、見た目の清潔感や快適性が保たれやすくなります。
撥油加工の主な技術
近年では環境への配慮から、フルオロカーボン等の従来型薬剤に代わる新しい撥油加工剤も登場しています。
それぞれの技術で撥油性の持続性やクリーニング耐性に差があります。
撥油加工素材のクリーニングへの耐久性
クリーニングと撥油加工の関係性
ユニフォームは着用後、必ずと言って良いほど洗濯・クリーニング工程を経ます。
この時、撥油加工の効果がどれほど持続するのかが重要なポイントとなります。
加工剤の種類や繊維との結合強度、そしてクリーニング時の温度や洗剤の成分によって、撥油効果の減衰速度は異なります。
クリーニング試験の具体的評価方法
撥油加工素材のクリーニング耐久性を評価するには、JIS(日本産業規格)やISO(国際規格)で定められた試験方法が用いられます。
代表的な評価手法は以下の通りです。
1. 撥油度テスト(オイルスコア法)
規格で規定されているさまざまな種類の油(通常ヌジョン油)を素材表面に一滴ずつ垂らし、どこまで染み込まずに”はじく”ことができるかを評価します。
数値が高いほど撥油性能が優れているとされ、クリーニング前後でこの値がどれだけ低下するかによって耐久力が測定できます。
2. 洗濯繰返し試験
あらかじめ設定した洗濯工程(回数、温度、洗剤等)を一定回数繰り返し、毎回撥油度を測定します。
一般的な目安として「5回洗濯」「10回洗濯」後でも撥油度が規定値を維持できているかどうかで判断されます。
3. 洗剤による影響
強力なアルカリや漂白成分を含む業務用クリーニング剤が撥油機能にどのような影響を及ぼすか、検査されます。
一部の洗剤は撥油被膜を劣化させやすいため、実運用に近い条件で検証することが求められています。
撥油加工ユニフォームの現場事例と性能評価
食品工場・厨房現場での実用効果
食品製造や給食施設では、特に「揚げ物」や「炒め物」などの油はね対策に撥油加工ユニフォームが重宝されています。
スタッフの作業後、クリーニング施設で繰り返し洗濯した後でも表面の油染みや臭いが軽減されているという報告が多数寄せられています。
社内テストでは、10回の業務用洗濯後もJIS規定に基づく撥油度5等級(ヌジョン油5番)以上を維持し、従来加工品と比較して汚れの残り方が30%減少したとするデータもあります。
病院や介護施設での採用事例
医療・介護現場では血液や消毒アルコール、皮脂など、多様な汚れへの強さが求められます。
撥油加工素材が用いられたユニフォームは、クリーニングの繰返しによる性能低下が少なく、衛生面・見た目の清潔感の維持に大きく貢献しています。
撥油加工素材とクリーニング方式の相性
自社洗濯とリネンサプライ(外部委託洗濯)の違い
ユニフォームのクリーニングは大きく分けて「自社洗濯(施設内洗濯)」と「リネンサプライ(業者委託)」があります。
リネンサプライの方が大型の業務用洗濯機や専用の洗剤を使用するため、撥油加工効果の持続性テストでは、より厳しい条件が想定されます。
一方、自社で定期的に洗濯する場合は、家庭用洗剤ややさしい水温設定も選択できるため、撥油機能がより長持ちしやすい傾向も見られます。
適切なクリーニング条件の設定
撥油加工ユニフォームの性能を長持ちさせるためには、洗濯温度は60℃以下、洗浄力が強すぎない中性洗剤の使用、脱水や乾燥時の熱負荷を抑えるなど、メーカーごとに推奨条件があります。
現場で運用開始時には、必ず素材メーカー・ユニフォーム業者の取り扱い説明書に従うことが大切です。
試験評価結果の活用とユニフォーム選定ポイント
試験データの見方と選定基準
撥油加工素材を導入する際は、メーカー発表や第三者機関による評価データを参照しましょう。
撥油性の等級(JISやISOなど)、クリーニング回数ごとの撥油度の推移、実際の現場での汚れ残り率や耐久性能など、複数項目の情報を総合的に確認します。
また、現場特有の汚れ(油、皮脂、グリース、墨、血液など)相手にどれだけ効果が発揮されるか、現地テストやサンプル試用も積極的に行うことが失敗しないユニフォーム選びにつながります。
定期的な評価と再加工の提案
使用開始から時間経過とともに、撥油機能が低下してきた場合は、撥油再加工(後加工)や、部材入れ替えなども選択肢に入れましょう。
繰り返しのクリーニング条件の見直しや、より高耐久の新素材へのリプレイス提案も効果的です。
まとめ
撥油加工を施したユニフォーム素材のクリーニング試験評価は、汚れ防止や機能性を維持しながら、衛生的で快適な職場環境を作り上げる上で非常に重要です。
素材選定時には、クリーニング耐久性を評価した第三者データや実運用現場でのフィードバックを重視し、適切な運用条件や再加工プランも考慮に入れましょう。
このようなPDCAサイクルを確立することで、より長期間にわたって高い撥油効果とコストパフォーマンスを発揮するユニフォーム運用が実現できます。
現場で実際に使用する担当者、ユニフォーム選定や管理を担う管理者の方々は、定期的な試験評価と運用の見直しを積極的に行うことが、清潔で快適な職場作りの第一歩となるでしょう。