冷蔵食品出荷用二重段ボールの耐湿強度と比較検討
冷蔵食品出荷用二重段ボールの重要性
冷蔵食品を出荷・輸送する際、梱包資材として二重段ボールが広く利用されています。
冷蔵流通における梱包資材には、商品を安全に届けるための耐久性や、防湿、耐水などの特性が強く求められます。
特に低温環境や結露により、段ボールが湿気を受けることで発生しやすくなる強度劣化は、物流における大きな課題です。
二重段ボールは、一般のシングル段ボールに比べて構造が複雑で、耐久性や緩衝効果に優れています。
しかし、冷蔵流通向けには湿気による強度低下への備えが必須となります。
本記事では、冷蔵食品出荷用の二重段ボールに焦点を当て、耐湿強度の重要性とその評価、さらに他梱包資材との比較検討を行います。
二重段ボールの構造と特徴
二重段ボールの基本構造
二重段ボール(ダブルウォール段ボール)は、2層の波形中芯と3枚のライナー紙で構成されています。
A/F+C/FやB/F+E/Fなど、異なるフルート(波)の組み合わせが利用されることが多いです。
この構造により、耐圧縮強度や耐衝撃性が格段に高まっています。
特に重い商品や衝撃を受けやすい商品に適しています。
冷蔵食品出荷における仕様の工夫
冷蔵物流用の二重段ボールには、水分吸収を最小限に抑える耐水紙や特殊コーティングのライナーが使われることがあります。
また、中芯やライナーに撥水剤を添加することで、長時間の低温・高湿環境下でも構造の崩壊を防ぐ工夫がなされています。
二重段ボールの耐湿強度とは
耐湿強度の定義と重要性
耐湿強度とは、段ボールが湿気や水分に曝された場合に、物理的な強度(圧縮強度、破裂強度、層間剥離強度など)をどれだけ保持できるかを示した指標です。
冷蔵・冷凍物流では、商品が結露しやすいため、通常環境での強度測定だけでなく、湿潤状態での耐久性評価が欠かせません。
耐湿強度が低い場合、外装が崩れてしまい、内容物の破損や品質低下、流通トラブルにつながる恐れがあります。
耐湿強度を測定する主な試験方法
二重段ボールの耐湿強度を評価するためには、以下のような試験方法が用いられます。
1. 圧縮強度試験(段ボール箱を上下から圧縮し、潰れるまでの荷重を計測)
2. 破裂強度試験(ライナー中央部に圧力をかけて破裂させ、その値を測る)
3. 接着強度試験(中芯とライナーとの接着力を測定)
これらの試験を常温・常湿下と、湿潤(相対湿度90%などの環境で、一定時間放置した後)下で比較することで、耐湿強度を具体的に把握します。
冷蔵用二重段ボールの耐湿強度向上技術
耐水・耐湿素材の活用
冷蔵物流向け二重段ボールの耐湿化には、耐水性に優れた表ライナーや中芯紙の選定が効果を発揮します。
例えば、ワックス処理を施したライナーや、ポリエチレンコーティングを施した紙などが代表的です。
耐湿加工された段ボールは、結露水や直接水分が付着した場合でも、短期間であればきちんと形状と強度を保ちます。
また、紙自体に撥水剤や防水剤を染み込ませることで、箱の内部に湿気が染み込むことを抑えます。
接合部・カートン設計上の工夫
段ボール箱の組み立て時に、なるべく紙端が重なるような継ぎ目構造や、水分が侵入しにくい設計を採用することも有効です。
また、開口部や接合部にテープ止めやラッピングフィルムを併用することで、さらに耐湿性が向上します。
他梱包資材との比較
発泡スチロール箱との比較
冷蔵食品の出荷梱包資材としては、発泡スチロール箱(発泡ポリスチレン、EPS箱)も定番です。
これは優れた断熱性・防湿性を持ち、水濡れにも比較的強いというメリットがあります。
しかし、通気性が悪く、積載効率や保管効率、コスト面、廃棄時の環境負荷といったデメリットもあります。
それに対して二重段ボールは、軽量でリサイクル可能な点や、コストの安さ、多様な形状設計の自由度が強みです。
ただし発泡スチロールに比べると、十分な耐湿加工をしない場合には湿気による劣化リスクが高まります。
プラスチックコンテナとの比較
プラスチックコンテナ(通い箱)は、耐水性や耐熱性に優れ、衛生的で繰り返し使用できるというメリットがあります。
ただし、初期導入コストが高く、回収・洗浄の手間がかかります。
シングルユースで大量出荷する場合、二重段ボールの方がコスト面や手軽さで優位に立つケースが多いです。
冷蔵食品出荷現場での実際の運用ポイント
正しい箱選定と箱詰め作業
実際の現場では、冷蔵商品の重量・内容物のサイズ・輸送経路の長さなどをふまえて、適切な二重段ボール箱を選ぶことが大切です。
出荷前には箱全体の湿気や外観をチェックし、箱詰め時には内容物同士が緩衝材等で動かないように詰めることで、破損リスクを減らせます。
適切な積み付けとパレット管理
輸送時・保管時において、二重段ボール箱の上に過度な荷重がかからないように注意する必要があります。
また、パレット積みの際には箱の面が均等に接するよう配慮することで、圧縮強度の低下を防止できます。
倉庫温湿度管理の徹底
冷蔵物流センターでは、庫内温湿度を一定に保つことが重要です。
特に荷さばき場や一時保管スペースでは、外気との温度差による結露発生を回避するよう、風除室や除湿機の活用も推奨されます。
今後の課題と展望
現状の耐湿二重段ボールの技術は、一定の現場要求に応えられるレベルに達しています。
一方で、持続可能性や環境配慮の観点から、より循環性やリサイクル性に優れた素材開発も急務です。
例えばバイオマス系原料や、高機能再生紙、新たな撥水・耐湿技術の研究開発が進んでいます。
また、今後はIoTやセンシング技術の発展により、梱包状態や庫内環境をリアルタイムでモニタリングし、品質管理・トラブル防止の高度化も期待されています。
温湿度・加重情報を記録できるスマートパレタイジングと組み合わせることで、冷蔵食品の安心・安全輸送の実現が進むでしょう。
まとめ
冷蔵食品出荷用二重段ボールは、耐湿強度の維持がきわめて重要です。
耐水・耐湿処理や適切な設計によって、冷蔵流通に求められる安全性と効率性を高めることができます。
他の梱包資材と比較しても、コストやリサイクル性に優れ、今後さらに多様な用途で活用が広がるでしょう。
今後も耐湿・耐久性の技術向上、環境対応型素材の開発が物流業界の競争力を左右します。
現場での正しい運用や取り扱いを徹底し、安心・安全な冷蔵食品の供給に貢献することが大切です。