アパレル副資材のエコ化動向と生分解性素材の採用事例
アパレル副資材のエコ化が進む背景
近年、アパレル業界では環境負荷低減への取り組みがますます重要視されています。
その中心にあるのが「副資材」のエコ化です。
副資材とは、衣服そのものを作る生地以外のすべてのパーツを指します。
ボタン、ファスナー、タグ、糸、芯地、ラベル、パッケージ素材などが含まれます。
これまで、アパレル副資材には石油由来のプラスチックやコスト重視の素材が多く使われてきました。
しかし地球温暖化や海洋プラスチックごみ問題、消費者のサステナビリティ意識向上を背景に、環境配慮型素材への転換が迫られるようになっています。
大手ブランドや世界規模のファッションイベントからも、環境配慮に関する「サステナビリティガイドライン」の導入が進み、副資材のエコ化は一過性の流行ではなく重要な取り組みとなっています。
エコ化のアプローチ:副資材選定の3つの軸
アパレル副資材のエコ化は、大きく三つのアプローチに分けられます。
リサイクル素材の活用
ペットボトルや工場廃棄物由来のリサイクルポリエステル、再生ナイロンを原料としたファスナーやボタン、芯地などの副資材が多く開発されています。
これにより、石油由来のバージン資源使用量が削減され、廃棄プラスチックの再利用が可能となっています。
天然由来素材への転換
コットン、麻、木材パルプ由来繊維など、自然分解可能な素材を採用。
例えば、綿糸のタグや木製ボタン、紙ベースの芯地などがあります。
近年は竹繊維やトウモロコシ澱粉由来のPLA(ポリ乳酸)樹脂なども注目されており、素材の多様化が進んでいます。
生分解性副資材の導入
廃棄後に土壌や水環境で微生物によって分解され、自然に還る「生分解性素材」の導入が最先端のエコ化アプローチです。
合成樹脂を使わず、植物由来や特殊加工により、生分解スピードを早めた副資材が相次いで登場しています。
生分解性素材とは?特徴とメリット
生分解性素材とは、一定の条件下で微生物の働きにより水と二酸化炭素などの自然成分にまで分解される素材を指します。
アパレル副資材における生分解性素材の代表例には以下が挙げられます。
- ポリ乳酸(PLA)
- セルロース系樹脂(木材やコットン由来)
- バイオマスプラスチック(トウモロコシ、サトウキビ由来)
- 生分解性紙素材
- シェル(貝殻由来)や天然木材
メリットは、使用後に焼却や埋立処分をしても有害なマイクロプラスチックや温室効果ガス排出を抑制できることです。
正しく廃棄・回収されることで、地球環境への負荷を最小限に抑えられます。
また消費者のサステナビリティ志向強化に合致し、ブランドイメージ向上にも寄与します。
アパレル副資材での生分解性素材の採用事例
ここでは、実際に生分解性素材を副資材として採用している国内外ブランドやサプライヤーの事例を紹介します。
紙製タグと生分解ラベル
従来はPETやナイロンフィルムを使用していた下げ札やブランドタグの素材を、100%生分解性パルプ紙やバガス(サトウキビ搾りかす)パルプに切り替える動きが広がっています。
また、接着ラベルも植物由来の糊と生分解性フィルムの組み合わせが採用される例が増え、下げ札や包装が最終的に土に還る商品が登場しています。
PLAボタン・生分解性ファスナー
大手副資材メーカーでは、トウモロコシ由来のバイオ樹脂PLAを主原料とするボタンやバックルが発売されています。
ファスナーのテープ部分にも生分解性ポリエステル繊維を用いたものや、ファスナー全体が微生物によって分解可能な設計のものも商品化されています。
天然由来糸・芯地
使用後に自然分解されるコットン糸を縫製や刺繍に使う事例や、紙やセルロースを主成分とした芯地、副資材の導入が進んでいます。
海外ブランドでは、天然ゴムとオーガニックコットンのみで作られたタグの採用も進み、金属や化学樹脂フリーの副資材が拡大しています。
生分解性パッケージ・袋
商品包装・個装袋にも生分解性素材への置き換えが進行中です。
PLA製やバイオマスポリエチレン、紙素材への転換だけでなく、認証取得済みの堆肥化可能(コンポスタブル)パッケージも注目されています。
アパレル副資材のエコ化事例:先進ブランドの取り組み
グローバルブランドでは、2020年代から副資材のエコ化を戦略的に推進しています。
パタゴニア
アウトドアブランド大手のパタゴニアは、ペットボトル由来のリサイクルポリエステルだけでなく、商品の芯地・ラベル・タグにオーガニックコットンやフェアトレード認証素材を採用。
近年は、バッグのパッケージも100%堆肥化可能な生分解性袋へ移行しています。
ユニクロ
ユニクロは、一部商品で生分解性パッケージの使用を開始。
またタグや下げ札にも紙製や再生素材を積極活用し、循環型ファッションの推進に取り組んでいます。
H&M
H&Mグループはサステナビリティ戦略として、副資材含めた全素材の「リサイクル・リニューアブル化」を公約。
下げ札やラベル、ショッピングバッグ等に生分解性・再生資源由来の素材を採用し、2030年までに全副資材のサステナブル化を目指しています。
副資材エコ化推進の課題と今後の展望
生分解性素材やリサイクル副資材の採用は、サステナブルファッションに不可欠ですが、普及拡大にはいくつかの課題も挙げられます。
コストと供給安定性
生分解性やバイオマス素材は生産量・生産効率が限定されており、従来素材よりコスト高となる場合があります。
安定した大量供給体制の構築が課題です。
機能性とのバランス
衣類副資材は強度や耐水性、耐熱性などの性能が不可欠ですが、生分解性素材はすべての用途で従来素材に劣らない性能を発揮できるとは限りません。
技術改良や最適用途の研究開発が求められます。
回収・処分インフラ
生分解性副資材は適切に廃棄・処分されない場合、本来の環境配慮効果が十分に発揮できません。
バイオマス素材の認証制度や堆肥化システム、リサイクル回収インフラ整備も必要です。
まとめ:アパレル副資材のエコ化で持続可能なファッションを
アパレル副資材のエコ化、特に生分解性素材の採用は、業界全体の環境負荷低減を加速する重要な一手になります。
消費者意識の高まり、法規制や国際認証の導入、ブランド戦略としてのサステナビリティ重視の潮流も追い風です。
コストや性能、流通インフラの課題は残りますが技術革新と産業連携を通じて、今後ますます環境にやさしい副資材が広がっていくでしょう。
企業は自社に適したエコ副資材の選定と実装、消費者への分かりやすい発信を進めましょう。
副資材のサステナビリティを高めることは、ファッションの未来に貢献し、ブランド価値向上につながります。