ウエストゴム縫製における伸縮均一性の確保と検査基準

ウエストゴム縫製における伸縮均一性の重要性

ウエストゴムは、パンツやスカート、ショーツ、スポーツウェアなど、さまざまな衣類に頻繁に使用されているパーツです。
ウエスト部分にゴムを使用することで、着用時の快適さやフィット感が大きく向上します。
しかしながら、ウエストゴム縫製において最も重要な品質特性の一つが「伸縮均一性」です。

伸縮均一性とは、ウエスト全体にわたりゴムが均等に伸び縮みし、着用した際にどこか一部だけがきつかったり、緩かったりしない状態を指します。
この均一性が保たれていないと、製品の品質が大きく損なわれ、お客様からのクレームや返品の原因となります。
そのため、伸縮均一性の確保は、ウエストゴム縫製工程における品質管理の中心課題といえるでしょう。

ウエストゴム縫製で起こりやすい伸縮不良の原因

ウエストゴム縫製において伸縮不良が発生する主な原因はさまざまです。
ここでは代表的な要因を解説します。

ゴムテープ自体の品質ばらつき

同じ製品名・型番のゴムテープであっても、製造ロットや保管状況によって、伸び率や張力が若干異なる場合があります。
品質管理が不十分なゴムテープの場合、所定の長さや張力で縫い付けても部分的に伸縮性が異なることがあります。

ゴムの裁断時のばらつき

ゴムテープを複数本まとめて裁断する際に、裁断精度が粗いと長さにムラが出ます。
この長さの違いがウエスト全体の均一性を損ねる要因となります。

縫製時の引っ張り強度の違い

縫製作業者の技量や慣れ、不手際などにより、縫製時のゴムの引っ張り加減が異なると、同じサイズの製品でもウエストの伸縮にばらつきが出ます。

縫製用糸のテンション不良

ミシンの糸調子(テンション)が適正でないと、縫い目部分でゴムが過剰に締め付けられたり、逆に緩んでしまうことがあります。
このため、部分的にゴムの伸びに偏りが出やすくなります。

伸縮均一性の確保方法

伸縮均一性を高いレベルで確保するためには、材料の選定から縫製技術、品質管理まで一貫した取り組みが重要です。

高品質なゴムテープの選定

まずは、品質の安定したゴムテープを使用することが最優先です。
信頼できるメーカーから仕入れ、納品時に抜き取り検査を行い、伸び率や反発力の測定を実施しましょう。
ゴムの幅や厚み、形状にも製品適性があるため、使用目的に合わせて最適なものを選定してください。

正確な裁断作業

ゴムテープを裁断する際、必ず専用の治具やカッター、スケールを用いて、1本ずつ丁寧に長さを測定しましょう。
大量カット時には、裁断機の定期的なメンテナンスや刃の摩耗チェックも忘れずに行い、1本ごとの長さムラを極力排除します。

プロフェッショナルな縫製技術

ウエストゴム縫製を行う際は、縫製スタッフの技量・熟練度に大きく依存します。
特にミシンの押さえや送布のテンション、ゴムの引き加減は均一が理想です。
縫製指示書や治具を使用して常に一定の張力で作業し、スピードの乱れや人的ミスを減らしましょう。

ミシン調整の徹底

ミシンの上糸・下糸のテンションや送り装置の設定が適正かチェックしてください。
定期的な試し縫いを繰り返し、縫い目がきれいでゴムの伸びが妨げられていないことを確認します。
縫い始めと縫い終わり部分は特にゴムの戻りやすさに注意を払いましょう。

中間検査・最終検査の強化

縫製工程の合間で数点ずつ抜き取り検査を実施します。
ウエストの伸び率や全周の締め付け具合を確かめ、基準に満たないロットや不良個所を早期発見できるよう努めましょう。

ウエストゴムの伸縮均一性を評価する検査基準

ウエストゴムの伸縮均一性は、定性的な目視判断だけでなく、定量的な検査基準を設けて評価することが重要です。

伸び率測定の基本

ゴムを伸ばさない状態(静止長さ、いわゆる仕上げ長さ)と、定められた力で一定時間引っ張った際の長さを計測します。
この差を伸び率(%)として算出し、基準値内に収まっているかを評価します。
一般的には、例えば静止長さが60cmなら、一定の張力(例:1kgfや2kgf)で80cmまで伸びることが求められる、などの基準を設定します。

全周均一性のチェック

ゴム全体をいくつかの等間隔ポイント(前後左右・4分割、または8分割)で小分けし、各区間ごとに伸び率測定を実施します。
このとき、いずれかの区間のみが著しく伸び率から外れていないか(±数%以内等、許容誤差設定)が判定基準となります。

締め付け感(フィット性)の評価

出来上がった製品を実際に着用し、またはマネキン胴体に装着して、ゴム周囲の締め付けが適正かを触感・見た目で確認します。
ピッチ差や段違い、部分的なたるみ・絞まりがないかを点検します。

耐久性・復元性テスト

繰り返しの引き伸ばしや洗濯をシミュレートする耐久試験を実施します。
一定回数の伸縮運動後や洗濯後に、元の長さ・パワーにどれだけ戻るかを評価します。
試験前後で伸縮均一性が大きく損なわれる場合は、不良と判断します。

検査基準の具体例

実際のアパレル工場やOEM工場で採用されているウエストゴムの伸縮均一性および検査基準例をいくつか紹介します。

・ウエスト全周伸び率:60cm仕上げに対し、1.5kgfの力で80〜84cm(伸び率133〜140%)になること
・全周の区間ごとの差:最大値と最小値の差が2cm以内であること
・縫い目・途中での段違い・ねじれ:なし
・ゴムのパワー感(締め付け具合):各区間とも等しく着用者に不快感なし
・洗濯10回後の再測定で、初期伸び率の−5%以内であること

これらの基準は製品タイプや用途、着用対象によって柔軟にカスタマイズされるべきですが、定量数値を基に運用することが高い品質安定につながります。

トラブル事例と対応策

ウエストゴムの不良は、製品不良率や返品率の主要因となるため、出荷前の厳格な検査が不可欠です。
過去のトラブル事例として多いものを挙げ、合わせて対応・防止策について解説します。

ゴムの部分的な締まりすぎ・緩みすぎ

ウエストの一部が強すぎて痛く感じたり、逆にズレやすくなるケースが報告されています。
これは縫製スタッフごとの作業ばらつきや、ゴム自体の品質変動、糸の締め付け不良が重複原因となっています。
作業ラインの標準化とロットごとの抜き取り検査頻度の増加によって、未然検出と再発防止を徹底する必要があります。

ゴム自体の劣化・食い込み

摩耗しやすい安価なゴムテープや染色不良品を使用した場合、短期間でゴム自体が硬化したり、皮膚に食い込んだりする事例もあります。
ゴム資材の入荷段階での検品、サプライヤーからの品質保証(QC工程表の確認など)、定期的なサンプル試験の実施が重要です。

パターンとゴム仕様のミスマッチ

パターン設計とゴムテープの幅・厚み・パワー規格が合致しないケースです。
商品企画時点での仕様決定ミスやコミュニケーション不足によって発生するため、設計〜試作段階での現物検証を徹底してください。

まとめ:伸縮均一性の確保こそが信頼ブランドへの道

ウエストゴム縫製の品質は、最終製品の快適性やブランドイメージに直結する要素です。
伸縮均一性を確保することで、顧客満足度の向上やリピート購入につながるのはもちろんのこと、アパレルメーカーとしての信用度も飛躍的に高まります。

高品質なゴム資材の調達、精密な裁断、プロフェッショナルな縫製・ミシン調整、定量的な検査基準とその現場定着が肝要です。
定期的な社内教育や品質改善ミーティングを実施することで、技術とチェック体制の常時アップデートにも務めましょう。

ウエストゴムの伸縮均一性こそが、他社との差別化・ブランド価値の源泉であることを認識し、将来的な商品開発や品質管理強化の指針として、日々の現場に活かしていくことが重要です。

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