食品製造現場で採用される紙フィルターの除菌性能評価

食品製造現場における紙フィルターの重要性

食品製造現場では、食品の安全性を維持するために徹底した衛生管理が求められます。
その中でも、原料や製品のろ過工程で使用される紙フィルターは、異物や微生物などの混入を防ぐ有効な手段です。
特に、紙フィルターが持つ除菌性能は、製品の品質や消費者の安全を左右する極めて重要な要素となっています。

紙フィルターはミクロン単位で微細な構造を持つため、物理的に菌や微粒子を捕捉する性能を有しています。
しかし、食品メーカーが安心して導入するためには、その除菌性能を正確に評価することが不可欠です。
ここでは、食品製造現場で実際に採用されている紙フィルターの除菌性能の評価方法や、選定時のポイントについて詳しく解説します。

紙フィルターの除菌性能とは

紙フィルターの除菌性能とは、フィルターを通過する前後での微生物数を比較し、どの程度細菌やカビ、酵母などを除去できるか、を数値的に示したものです。
この性能を把握することで、ろ過工程における衛生管理がどれほど徹底されているかを把握できます。

一般的な指標としては、ろ過前後の微生物数の減少率や、それを対数値(Log値)で表した「除菌効率(Log Reduction Value:LRV)」が挙げられます。
例えば、LRV4(対数4減)であれば、1万分の1まで菌を減少させることができた、ということになります。

紙フィルターの種類とそれぞれの特性

紙フィルターには多くの種類がありますが、代表的なものとして次の3タイプが知られています。

セルロース系紙フィルター

最も一般的な素材で、天然由来のセルロース繊維を使用しています。
化学薬品との相性が良く、コストも抑えられるため広く利用されています。
ただし、ろ過精度は製品により異なり、細菌やウイルスの除去には限界があることも。

グラスファイバー系紙フィルター

高温にも強く、吸着性能や耐薬品性が高いのが特徴です。
微粒子や微生物の除去にも優れており、より高い除菌性能が求められる工程で採用されます。

機能性コート紙フィルター

表面に抗菌剤や特定の機能性樹脂をコーティングしたものです。
物理ろ過だけでなく、化学的に微生物の増殖を防ぐ効果も期待できます。

食品製造現場では、ろ過する品目や目的に合わせて、適切な紙フィルターを選定する必要があります。

食品製造現場での除菌性能評価方法

紙フィルターの除菌性能を現場で評価するには、以下のような方法が採用されています。

微生物チャレンジテスト

特定の菌株(一般的には大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌など)を用いて、あらかじめ濃度を調整した菌液を紙フィルターでろ過します。
ろ過前後の液体から微生物数をプレート培養法や濁度測定法によって数値化し、除菌効率を算出します。
このテストは、実際に食品衛生法に基づく指標菌を使うことで現場に近い評価となるのが特徴です。

粒子径分布測定

微粒子計数器や顕微鏡観察を用いて、ろ過前後の液体中の粒子径分布を測定します。
サイズごとの除去効率データから、たとえば「1μm以上99.99%カット」といった具体的な性能を把握できます。
細菌や真菌はおおむね1μm以上の粒径を持つため、この結果から間接的に除菌性能を推察することも可能です。

官能評価や長期テスト

実際の製品製造ラインで一定期間紙フィルターを使用し、その後ろ過液や最終製品の微生物検査を行います。
また、風味や物理的な外観への影響も合わせて評価します。
これらは現場での品質保証(QA)の観点で有効な方法です。

紙フィルター選定時のポイント

食品製造現場で紙フィルターを選定する際には、以下のポイントに注意する必要があります。

ろ過精度(ミクロン、μm)

使用目的に応じて最適なろ過精度を選ぶことが重要です。
非常に細かい微生物の除去には、0.45μm以下の精密ろ過タイプが適しています。

除菌性能のデータ有無

メーカーが公表しているチャレンジテストや第三者機関での実証データがあるかを確認し、信頼性の高い製品を選びましょう。

耐久性やコスト

ろ過性能だけでなく、耐水性・耐薬品性・コストパフォーマンスも選定基準となります。
頻繁な交換が求められる現場では、経済性と性能のバランスが不可欠です。

最新の紙フィルター技術と動向

近年では、除菌性能をさらに高めるため、新しい技術も開発されています。
例えば、銀イオンや亜鉛イオンなどの抗菌成分を練り込んだ紙フィルターは、捕捉した微生物の増殖を抑制する効果が期待できます。

また、高機能コート技術やナノファイバーを活用した複合構造フィルターは、目詰まりしにくく、長期間高い除菌効率を維持できる点で注目を集めています。
とくに微生物と同等レベルのナノサイズの孔構造を実現した新素材は、食品安全性向上に貢献しています。

導入事例からみる紙フィルターの実力

国内大手飲料メーカーでは、飲料原料の最終ろ過工程でミクロンオーダーの紙フィルターを使用し、清涼飲料水や乳製品の長期保存に成功しています。
また、調味料メーカーや発酵食品業界では、発酵中の菌のコントロールや異物混入防止目的で使用され、歩留まりや品質の安定化に寄与しています。

現場担当者からは、「紙フィルターの除菌性能データが公的機関の試験で裏付けられているため安心して使用できる」といった評価の声が多数あがっています。

食品製造現場における紙フィルター除菌性能の課題と今後

一方で、紙フィルターによる除菌には限界もあり、すべてのウイルス類の完全除去までは難しい場合があります。
また、目詰まりや機械との相性、フィルターの使い分けなど運用ノウハウの蓄積も求められます。

今後は、新素材技術の進化や、AI・IoTを活用したオンライン監視による紙フィルター性能管理の自動化も期待されます。
さらに環境配慮型のバイオマス紙フィルターやリサイクル材活用製品の開発動向も注視される分野です。

まとめ:紙フィルターが実現する食品製造現場の安全

食品製造現場で紙フィルターを選ぶ際は、除菌性能の明確な数値データを基準に、現場の特性や目的、コストパフォーマンスを考慮して最適な製品を選択することが大切です。
検証方法や評価基準を正しく理解し、日々進化する紙フィルター技術を取り入れることで、より高品質で安全な食品製造が実現します。

今後も、食品業界での衛生管理水準向上を目的とした新しい紙フィルターの開発と実証が進み、消費者に安心と安全を届ける基盤として、ますます重要な役割を担っていくでしょう。

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