EVOH共存リサイクル多層ボトルと再粒FPF1合格
EVOH共存リサイクル多層ボトルとは
EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)は、優れたバリア性を持つため、食品包装や化粧品ボトルなど多くの分野で利用されています。
特に酸素バリア性が高いことから、内容物の酸化を防ぎ、品質保持期間を大幅に延長することが可能です。
これまでEVOH樹脂はその特性から、多層構造ボトルの一部として採用されてきました。
しかしEVOHを含む多層構造ボトルは、その複雑な素材構成によりリサイクルが難しいとされてきました。
現代のサステナビリティ要求やプラスチック資源循環促進の流れを受けて、EVOHを含むリサイクル可能な多層ボトルの技術開発が進んでいます。
この「EVOH共存リサイクル多層ボトル」は、EVOHを廃棄することなく他素材と一緒に効率よくリサイクルできることが最大のポイントです。
再粒FPF1合格とは何か
プラスチック容器包装リサイクルの現場では、回収された使用済みプラスチックを破砕・洗浄し、新たにペレット(再生樹脂粒)へと再生します。
この再生されたペレットについて、さまざまな試験・評価基準が設けられています。
そのひとつが「再粒FPF1」です。
FPFは「Flake/Pellet for Food」 の略で、特に食品用途での再生ペレット利用の適性を判定するための規格です。
FPF1はその中でも最も厳しいグレードに該当します。
つまり、EVOH共存リサイクル多層ボトルで作られた再生ペレットがFPF1に「合格」することは、「他素材多層容器であっても、食品用途に適合可能な高品質な再生原料になる」ことを意味します。
従来の多層ボトルリサイクルの課題
従来、飲料や調味料、化粧品などの多くの容器で使われてきた多層ボトルは、通常、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの主素材に、EVOHをバリア層として挟み込んでいる構造です。
一方、素材ごとにリサイクル方法が異なり、異素材が共存していると再生プラスチックとしての品質低下や、最終的な用途制限につながります。
特にEVOHは、PPやPEに比べて分解しやすく、耐熱性も低いため、再生工程で物性が悪化しやすい課題がありました。
結果として、多層ボトルは単一樹脂からなるボトルに比べて再生利用が難しく、焼却処分に回されることも多かったのです。
EVOH共存リサイクル多層ボトル技術の進化
新しいリサイクル技術では、EVOHを主材料とする多層構造ボトルであっても、異素材を分別することなく一括してリサイクル可能とする工夫がなされています。
そのポイントは、EVOHの配合比率や添加剤・改質剤の開発にあります。
たとえば、EVOHがPEやPP層の10%未満であれば、性能面で大きな悪影響を及ぼさず、しかも高い機械的物性や耐熱性をもつ再生原料として利用が可能になることが分かっています。
さらに、界面相溶化剤やコンパチビライザーと呼ばれる特殊添加剤を使用し、EVOH層と主材料との界面での物性低下を抑える技術も進化しています。
こうした技術進歩によって、EVOH共存リサイクル多層ボトルは、素材分別不要のワンストップリサイクルが可能となり、回収効率と再生品質の両面で大きな改善が見られるようになりました。
EVOH多層ボトルの再生プロセス
EVOH共存リサイクル多層ボトルの一般的な再生工程は次のとおりです。
1. 収集・選別
使用済み多層ボトルを回収し、異物や他容器と分別します。
しかしEVOH共存多層リサイクルの場合、単一素材への厳格な選別が不要となるため、回収効率が大幅に向上します。
2. 破砕・洗浄
容器を細かく裁断し、水やアルカリ洗浄で内容物・ラベルなどの付着物を除去します。
3. 押出成形・再ペレット化
洗浄後のフレークを押出成形機で高温で溶融し、押し出された樹脂をカットしてペレット化します。
4. 品質検査・FPF1適合評価
出来上がった再生ペレットは、異物含有量、におい、色相、溶融流動性などを厳しくチェックされます。
食品用途にふさわしい高品質な条件を満たせば「FPF1」グレードとして認定され、広範な用途に応用が出来ます。
EVOH共存リサイクル多層ボトルのメリット
EVOH共存リサイクル多層ボトルには、さまざまなメリットが備わっています。
多層ボトルの回収率向上
従来のような単一樹脂ボトルの回収にこだわらず、多層容器も一括回収・一括リサイクル可能になるため、プラスチック容器として捨てられるはずだった多層製品までリサイクル機会が拡大します。
高品質な再生ペレットの安定供給
異素材の共存による品質低下が抑制されているので、再生原料の品質安定性が向上します。
これにより食品容器や化粧品ボトルなど、高付加価値な用途への再生原料利用が現実的となります。
環境負荷の低減
焼却廃棄物量の削減、CO2排出削減、省資源化が期待でき、資源循環型社会への移行に貢献します。
EVOH共存リサイクル多層ボトルがFPF1合格で広がる可能性
再生利用が困難とされてきた多層ボトルが、リサイクル適合性の最高ランクであるFPF1に合格したことで、これまで焼却処理せざるを得なかった多層ボトル資源のリサイクル利用が一気に拡大します。
企業側は、内容物の酸化制御や品質保持のためにこれまで通りEVOHを活用しつつも、リサイクル対応を両立させることができ、サステナブルパッケージ市場で大きな競争優位性を獲得できます。
また、欧州のプラスチック規制(SUP指令)、国内の「プラスチック資源循環促進法」などにおいても、EVOHのような添加材や異素材多層ボトルのリサイクル対応は重要なキーワードです。
規制適合やSDGs選定商品としての訴求効果も高まります。
今後の展望
今後、EVOH共存リサイクル多層ボトル技術のさらなる普及拡大に向け、以下のような動きが期待されます。
・大手飲料・調味料メーカーによる多層リサイクル対応ボトルの採用拡大
・ボトル以外のトレー、パウチ、成形容器への技術応用
・自治体・自治会などによる分別収集・リサイクルインフラ整備
・包装設計段階からリサイクルしやすい容器デザイン(デザインフォーリサイクル)
これらが進展すれば、EVOHのバリア性を活かした製品開発と循環型社会の実現、その両立が加速していきます。
まとめ
EVOH共存リサイクル多層ボトルと、それによる再粒FPF1合格は、従来リサイクル困難だった多層容器の大幅な資源循環を可能とするブレイクスルーです。
高品質な再生ペレットの安定供給による食品・包装分野での持続可能性の確立、焼却・廃棄物量削減による環境負荷低減など、メリットは計り知れません。
今後も技術進展とともに、さまざまな分野での実用化と普及が進むことが期待されます。