オフィス家具の耐火試験とJIS規格適合性の検証

オフィス家具の耐火性が求められる理由

企業や公共機関において、重要な書類や電子機器、備品を保護するためには、オフィス家具自体の耐火性が欠かせません。
火災が発生した際、オフィス家具が燃焼しやすい素材で作られていると、延焼を助長するばかりでなく、内部に保管している資料やデータも失われる危険性があります。
そのため、多くの企業では、耐火性に優れたオフィス家具の選定が、リスク管理やBCP対策(事業継続計画)の一環として重視されています。

また、オフィスの安全基準をクリアすることは、従業員の安全確保や、企業イメージの向上にも寄与します。
近年では、SDGsへの取り組みの一環として、火災リスクの低減や、環境負荷の小さいオフィス設計も注目されています。
このような背景から、オフィス家具の耐火性評価やJIS規格への適合性確認がますます重要となっています。

耐火試験とは何か

耐火試験とは、家具や建築材料、各種製品が火災にどの程度耐えることができるかを評価するための試験です。
この試験では、規定の温度条件や加熱時間下で製品を燃焼させ、その間の変形、貫通、伝熱などの性能を確認します。
家具の耐火性を証明するための大切な指標となっています。

耐火試験の目的は、火災発生時に製品が可燃性物質や有害ガスを発生させないこと、内部の重要資産を一定時間守り続ける能力があることを証明することです。
たとえば、耐火キャビネットの場合、30分、60分といった耐火時間の等級が設定されており、重要書類がその時間内は安全に守られることを意味します。

また、耐火試験は素材ごとや製品ごとに評価方法が異なり、詳細な試験基準が規格内で定められています。
オフィス家具メーカーは、このような試験を自社ないし第三者機関で実施し、結果に基づき製品の品質や信頼性をアピールしています。

JIS規格とは

JIS規格とは、日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の略で、日本国内における工業製品やサービスの標準化を促進し、品質の向上や安全性確保を目的とした国家規格です。
オフィス家具にもJIS規格は複数定められており、耐火性に関する基準だけでなく、強度・耐久性・寸法・安全性など様々な観点から厳格な基準が設けられています。

JIS規格の対象となる主なオフィス家具には、デスク、チェア、キャビネット、ロッカー、書庫などが含まれます。
JIS規格に適合した製品は、品質管理の徹底や、消費者への信頼性の証明となります。
特に、公共調達においてはJIS規格適合製品が標準とされる場面も多く、導入検討時の大切な指標となります。

JISの耐火性規格に合格したオフィス家具は、火災時にも所定の性能を維持できることが第三者機関により証明されています。
また、JISマークは業界内外で高い信頼性を持つため、安全性を重視する企業や自治体からの需要も高まっています。

耐火試験の具体的な流れと評価基準

オフィス家具の耐火試験は、主に以下のような手順で行われます。

1. 試験条件の設定

試験を実施する前に、規格で定められた温度曲線や加熱時間、必要な機器類を準備します。
耐火キャビネットの場合、JIS S 1037(事務用耐火保管庫及び金庫)などが評価基準として用いられます。
温度上昇のカーブは、ISO834曲線または定められたJIS独自曲線に従って設計されます。

2. 試験の実施

試験体(家具本体)を耐火炉の内部に設置し、所定の時間、炉内の温度を基準に従い上昇させます。
たとえば、30分耐火試験であれば、約840℃程度まで炉内温度が上がります。
この間、家具内部の温度センサーで温度の上昇や変化を監視します。

3. 評価と合否判定

試験終了後に家具内部から取り出したサンプル(紙片模擬物等)が燃焼していないか、炭化していないかなどを確認します。
また、扉や側板の変形、断熱性能維持の有無など、規格で定められた試験項目で総合的に判定されます。

例えばJIS S 1037の場合、内部温度が177℃を30分または60分間超えないこと、扉や引き出しが所定の変形限度を超えていないことが合格条件となります。

よく使われるオフィス家具のJIS耐火規格

オフィス家具の主なJIS耐火規格には、以下のものがあります。

JIS S 1037(事務用耐火保管庫及び金庫)

この規格は、書類や貴重品保管のための耐火キャビネットや金庫の評価基準です。
耐火試験、落下試験、衝撃試験など厳しい基準をクリアしなければなりません。

JIS S 1091(家具の安全性試験方法)

この規格は、オフィス家具全般の構造安全性を評価するものですが、耐火性に関連する部材や引き出し、扉部分の耐熱性能にも言及しています。

JIS S 1204(事務用スチール家具)

主にスチール製キャビネットやデスクなどを対象とし、耐火性や強度、耐久性をバランスよく評価する規格です。
商業施設や官公庁など大型案件でも、JISマーク取得品が指定されることが多いです。

JIS適合性の検証方法

オフィス家具メーカーがJIS適合性を証明するためには、公的または認証された第三者機関での耐火試験・構造試験の合格が必須です。
適合が認められると、商品の仕様書やカタログ、製品本体にJISマークを表示することができます。

JIS適合性検証の主な流れは以下の通りです。

1. メーカーが自社または外部検査機関でJIS規格に則った耐火試験を行う
2. 試験結果を証明書類として発行し、JIS適合申請を申請
3. 日本工業標準調査会など認証機関が結果を審査し、合格時にJIS表示許可を発行
4. 製品やパッケージ、カタログなどにJISマーク・規格番号を記載

各工場での品質管理や、出荷時にも定期的なサンプル試験が行われるため、適合性と品質の維持が保たれる仕組みです。

オフィス家具選定時にチェックすべきポイント

耐火性やJIS規格への適合性は、オフィス家具選定時の重要項目です。
導入時には次のポイントを押さえて検討を進めましょう。

JISマークの有無

カタログや製品本体にJISマークがあるかを必ず確認しましょう。
表示がない場合はメーカーまたは販売代理店への問い合わせが必要です。

耐火時間(等級)の確認

キャビネットや金庫など、重要書類やメディアを収める場合は耐火時間が求められます。
最低でも30分(JIS1時間耐火など)、できれば60分耐火製品がおすすめです。

保証書・試験成績書の存在

主要メーカーの場合、試験成績書や保証書を別途発行しています。
これらが用意されているかも公的性の判断材料となります。

材質・構造のチェック

火災時に有毒ガスを出しにくい材質であるか、断熱材の配置や構造がJIS規格に準拠しているかなども確認しましょう。

価格とコストパフォーマンス

耐火性やJIS規格対応製品は、一般家具よりも若干コストが高めですが、リスク対策の観点で長期的にはメリットが大きいです。

耐火・JIS適合オフィス家具導入事例

多くの大手企業や官公庁では、重要文書やマイナンバー関連資料などを保管するために、1時間耐火のJIS適合キャビネットを採用しています。
また、テナントオフィスビルでは防災対策の強化に伴い、階ごとの耐火収納の導入が進んでいます。

近年の事例では、BCP対策の一環として、一時避難用備蓄収納を兼ねた耐火ロッカーを導入したケースもあり、有事の際の従業員保護や情報流出対策に役立っています。

まとめ

オフィス家具の耐火試験とJIS規格適合性は、安全・安心なオフィス環境構築に不可欠な要素です。
火災リスクがゼロでない現代において、家具の耐火性や公的基準であるJISマークの有無は、重要な導入判断基準となります。

高性能・高品質な耐火オフィス家具を選ぶことで、事業継続性や従業員の安全、大切な資産の保護が実現できます。
導入検討時には、JIS規格への適合性だけでなく、耐火性能やアフターサービスまでトータルにチェックし、最適なオフィス環境づくりを進めましょう。

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