Fizeau干渉の透過波面測定と結合器アライメント最適化

Fizeau干渉法とは? 透過波面測定の基本原理

Fizeau干渉法は、光学系の波面品質を評価するための代表的な干渉計の一つです。
1862年、フランスの物理学者Armand Fizeauによって開発されました。
干渉計は複数の光路からの光を重ね合わせることで微小な光路差を高精度に測定できます。
Fizeau干渉計の構造は、比較的シンプルながら極めて高精度な測定が可能です。

Fizeau干渉計を用いた透過波面測定は、特にレンズ、ガラス基板、光ファイバー結合器など透過型光学素子の光学性能評価に欠かせません。
この測定法では、テスト対象を干渉計にセットし、参照波と対象を通過したテスト波との干渉縞を観察します。
縞模様の歪みやずれを解析することで、テスト対象を透過する波面の精密な凹凸、歪み、面精度などを知ることができます。

なぜFizeau干渉法が結合器アライメント最適化に適しているのか

近年、光通信やレーザー機器分野において、光ファイバーや光結合器のアライメント精度が全体のシステム性能を大きく左右します。
特に多心ファイバー結合器や波長多重結合器では、微細な光学的ズレが損失やノイズの原因となります。

Fizeau干渉法は、非接触・高分解能かつ広範囲な波面情報取得が可能なため、これらの光学結合器のアライメント最適化に最適です。
干渉縞のパターン解析によって、単なる表面形状の評価だけでなく、光路上の傾きや偏芯・非点収差といった欠陥箇所の検出も簡単に行えます。
測定結果をリアルタイムでアライメント制御にフィードバックすることで、効率的に最良の結合状態を実現できます。

Fizeau干渉計による透過波面測定の具体的な手順

1.装置構成と準備

Fizeau干渉計の基本構成は、コヒーレントな光源、分割器、参照鏡(Fizeauプレート)、テスト対象(結合器など)、イメージセンサ(CCDカメラ)、および解析用PCから成ります。
光源には波長安定性の高いグリーンレーザーやHe-Neレーザーがよく用いられます。

まず、Fizeauプレートとテスト対象を干渉計にセットします。
参照面と対象の間には空気ギャップを十分小さく保つことが重要です。
このギャップが大きいと気流などによるノイズが計測精度に影響します。

2.干渉縞の観察

セットアップ後、レーザー光が分割器で二つの光路に分けられ、一方は参照面、他方がテスト対象を通過して再び合流します。
この時、べき等な波面であれば均一な縞模様となり、波面に歪みがあればそれに応じて干渉縞が曲がったり、ズレたりします。
CCDカメラなどでこの干渉パターンを撮影します。

3.干渉縞パターンの数値解析

取得した画像をPC上でフーリエ変換や波面再構成プログラムによって数値解析します。
干渉縞の位相情報を抽出することで、透過波面の「絶対形状」や「局所的歪み量(λ単位)」を高精度にマッピング可能です。

とくに、パワー(球面成分)、アスフェリシティ(非球面成分)、コマ収差や非点収差といった高次収差成分まで定量的に特定できます。

結合器アライメント最適化への応用

一次アライメント:機械的位置決め

結合器をFizeau干渉計の測定系にセットアップした直後は、まず粗調整段階として機械的な位置決めが必要です。
干渉パターンが観察できるおおよその位置に結合器を持っていきます。
この時、あらかじめ取り付けられたX-Y-θ微調整台(マイクロステージ)などを使うことで迅速な粗アライメントが可能になります。

二次アライメント:光学的最適化

粗調整後、得られた干渉パターンをリアルタイムで観察しつつ、微調整台を用いてテスト対象を少しずつ動かしていきます。
正しいアライメントでは、干渉縞パターンの「曲がり」が最小となり、ほぼ真っ直ぐかつ均一な縞模様となります。
わずかな歪みやねじれを見逃さないため、最新のFizeau干渉計ではリアルタイムで数値化された波面マップや収差量の表示もできます。

たとえば多心結合器で各心の透過波面を順次測定しながらアライメントを調整すれば、全心で最適な結合効率を実現できます。

最適化条件のフィードバック制御

ロボティクスや自動制御との組み合わせでは、Fizeau干渉計の測定データをそのままアクチュエータ制御系にリアルタイムでフィードバックすることもできます。
これにより最適化プロセスが「自動化」され、人手による主観的なアライメントに依存しない高再現性・高精度化が実現されます。
自動化ラインでの光学部品組立や大量生産現場においても極めて有効です。

Fizeau干渉測定と他方式(Twyman-Green干渉法など)の比較

光学アライメント用の干渉法としては、Twyman-GreenやMichelson干渉計も知られています。
Fizeau干渉法と比較したときの主な利点は以下の通りです。

Fizeau方式は、
– 測定系の調整がシンプル(参照面とテストサンプルを対向設置するのみ)
– 参照面(Fizeauプレート)を複数形状(平面、球面、非球面)に簡単に切り替え可能
– コンパクト設計に向く(横型構成が主流)
– 振動に比較的強い(光路長差が小さくて済むため)

特に大量生産現場では、装置の堅牢性と再現性、設置の簡単さ、測定スピードが重要です。
この点でFizeau干渉法は競合方式よりも優れているため、結合器のアライメント最適化に最良の選択となります。

Fizeau干渉測定による透過波面評価で得られる主なデータ

– 透過波面の全領域プロファイル(3Dマップ)
– パワー(曲率半径・焦点深度成分)の定量値
– アスフェリシティ(非球面性)、非点収差、コマ収差など高次収差量
– 弓形、ラップオフ、エッジゾーン誤差など局所欠陥の詳細位置
– λ/20(0.03μm)以下の高分解能での面精度評価

これらの情報は、結合効率、損失特性、ビーム品質の最適化などにダイレクトに活用できます。

結合器アライメント最適化における導入メリット・品質保証

Fizeau干渉法による透過波面測定結果は、
– アライメント完了時の「品質保証データ」としてそのままエビデンス化できる
– NG品の初期原因を即座に解析・特定できる(不良低減、歩留まり向上)
– 最適な調芯条件・組立基準を定量値で設定・管理できる

大量生産だけでなく、医療光学機器や研究目的の超高精度光学結合器など、品質・性能が求められる全ての分野で利用されています。

Fizeau干渉法の最新動向と今後の展望

高分解能CMOSセンサや高速画像処理の発展により、Fizeau干渉測定もより高精度・高速化・自動化が進んでいます。
AIによる画像解析・異常判定の応用例も増加しています。
また、多波長干渉測定や複数のFizeau干渉計を連携させた大面積同時評価、曲面結合器(球面ファイバー端など)への直接応用など多様な技術進化が期待されています。

具体的には、分光干渉やマルチチャネルFizeauを使った波長依存性結合特性のその場評価、小型自動ステーションへの組み込みなどが注目分野です。

まとめ

Fizeau干渉法による透過波面測定は、光学結合器のアライメント最適化に極めて強力なソリューションです。
非接触・高分解能・広範囲一括評価によって、結合効率と波面品質の両面から最適化プロセスを支援します。
今後もFizeau干渉計は、不良低減や省人化、品質保証力強化など、光学産業のさまざまな現場でより重要な役割を担っていくでしょう。

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