燃料油の長期保管で酸化物が増え品質が落ちる本音

燃料油の長期保管で酸化物が増え品質が落ちる本音

燃料油と品質低下の関係

燃料油は、発電所や工場、船舶などのさまざまな現場で利用されている重要なエネルギー資源です。
私たちの生活を支えるインフラに欠かせない燃料油ですが、保管期間が長くなると品質劣化が起こりやすいという課題があります。
特に、酸化による品質低下は現場でも悩みの種です。

酸化は、燃料油が空気中の酸素と反応することで進行し、製品の化学的組成が変化してしまいます。
この作用により、目に見えないうちに燃料油の特性が変わり、最終的にはエンジンやボイラーの性能低下、機材のトラブル、あるいは環境負荷の増大につながります。

燃料油の酸化とは何か

酸化のメカニズム

燃料油は、主に炭化水素からできています。
保管中、この炭化水素が大気中の酸素と反応して「酸化物」を生成します。
この反応速度は、温度や光、触媒、不純物の存在によって変化します。
特に高温・多湿の環境や、タンク内に水分が見られる場合、酸化が進みやすくなります。

酸化によって生じる主な成分は、過酸化物やアルデヒド、酸、スラッジ(沈殿物)などがあります。
こうした成分が蓄積すると、粘度の変化、悪臭、沈殿物の発生、引火点の低下といった、目に見える品質低下が発生します。

なぜ酸化物が問題となるのか

長期保管した燃料油を使うと、エンジンやボイラーのフィルター詰まり、噴射ノズルの目詰まり、燃焼の不安定化、排ガス中の有害物質増加など、多くの問題が発生します。
これは酸化でできた沈殿物や酸性化合物が、燃焼したときに装置内部に堆積しやすくなるためです。
また、酸化物は金属部品の腐食も促進し、機器の寿命を縮めるリスクも高めます。

燃料油の品質指標と酸化の影響

どの指標で品質劣化を確認できる?

燃料油の品質劣化は、主に以下の項目でチェックします。

– 粘度
– 酸価
– セタン価やオクタン価
– スラッジ含有量
– 引火点
– 残留炭素分

これらの数値は、油種ごとに規定値が定められており、品質が低下するとその基準を簡単に超えてしまいます。
例えば、酸化が進むと酸価が上昇し、引火点が低くなる傾向があります。
また、スラッジの発生量も増加し、配管やフィルターのトラブルとなります。

目立つ兆候と実際のトラブル事例

実際の現場で起こるトラブル例には、以下のようなものがあります。

– エンジンが始動しない
– フィルターやノズルが詰まる
– 燃焼効率の低下
– 排気ガス煙や臭いが悪化する
– 配管やタンクの腐食

これらは全て、長期保存中の酸化や、それに伴う沈殿物・酸性成分によるものです。
定期的な検査を怠ると、突然の設備停止や高額な修理費につながる場合もあります。

酸化を防ぐための保管方法

基本は「三つの管理」

燃料油の酸化をできるだけ抑えるには、三つの管理が重要です。

1. 温度管理:高温では酸化が急速に進みます。可能な限り涼しい場所で保管しましょう。
2. 水分の除去:水分は酸化だけでなく微生物の繁殖の温床にもなります。タンク内の水抜きや乾燥剤の利用が効果的です。
3. 空気遮断:密閉性の高いタンクや、窒素封入による酸素の排除が有効です。

添加剤の使用で品質維持

近年では、酸化防止剤やスラッジ分散剤などの添加剤を利用する現場も増えています。
これらの添加剤は、酸素との反応を妨げたり、沈殿物の生成を抑える働きを持ちます。

ただし、添加剤も万能ではないため、入念な管理が必要です。
添加剤の種類や量は、油の種類や保管期間によって適切に選定する必要があります。

実際の現場で求められる対策

定期的な品質検査

どんなに管理していても、燃料油の酸化や品質劣化は完全には防げません。
そのため、一定期間ごとに燃料油のサンプリングと品質試験を実施しましょう。
とくに、粘度、酸価、残留炭素分、スラッジ量などの項目は必ずチェックしたい指標です。

在庫回転の徹底

「先入れ先出し」の原則も重要です。
古い油がタンクに残り続けることで、劣化した燃料が現場に供給されるリスクが高まります。
定期的に在庫を入れ替えて、できるだけ長期間の保管を避けましょう。

保管装置のメンテナンス

タンク自体も定期的な清掃や点検を行い、スラッジや腐食の発生を未然に防ぐことが重要です。
特に、底部にたまりやすい水分や沈殿物は、定期的なドレン抜きで管理しましょう。

酸化した燃料油を使用した場合のリスク

コスト増加

酸化による品質低下を放置したまま利用を続けると、機械が故障したり燃料効率が低下したりします。
補修・清掃に必要なコストだけでなく、発電や生産が止まることで事業損失につながるケースも多々あります。

安全・環境面での懸念

酸化燃料を使用すると、有害な未燃焼成分が増加し、排ガス規制に抵触する場合もあります。
また、スラッジや酸によるタンクや配管の腐食は、燃料漏洩などの大事故に発展するリスクもはらんでいます。

まとめ:燃料油の品質低下は「保管管理」で決まる

燃料油は「ストックしておけば何年も使えるもの」と誤解されがちですが、現実には保管に伴う酸化と品質低下が避けがたい性質を持っています。
酸化物の増加による品質低下は、現場の効率低下やトラブル、コストの増大、環境負荷の増大につながります。

酸化を防ぐには、保管温度や湿度の管理、密閉、空気との接触の遮断、添加剤の活用、定期的な品質検査の実施などの地道な管理が欠かせません。
また、古い油をため込まず、在庫回転を意識することも重要です。

最終的には「品質が命」という視点で、燃料油の保管と活用に対する意識改革を持つことが、安心・安全で高効率な運用につながります。
燃料油の長期保管にはリスクがあることを十分に理解し、適切な管理でトラブルや損失を未然に防ぎましょう。

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