防湿紙のPEラミネート膜厚と水蒸気透過率の実測比較

防湿紙のPEラミネート膜厚と水蒸気透過率の実測比較

防湿紙とは何か?

防湿紙は、主に包装材料として使われる紙であり、湿気の侵入を防ぐことを目的としています。
特に食品や医薬品、電子部品、精密機械など湿気の影響を受けやすい製品を保護するために広く利用されています。
防湿紙は単なる紙ではなく、様々な材料や技術によってその機能性を高めています。

なかでも多く使われているのがPE(ポリエチレン)ラミネートです。
PEは優れた防湿性と適度な強度、そして柔軟性を持つプラスチック素材であり、防湿紙の表面や片面・両面にコーティング(ラミネート)して利用されています。
ラミネート膜厚や加工技術により防湿性能は大きく左右されます。

PE(ポリエチレン)ラミネートの役割と仕組み

防湿紙に使用されるPEラミネートは、紙表面に極薄いプラスチック膜を連続的に貼り合わせることで、水蒸気や空気中の湿気の透過を抑制します。
PE膜自体は高いバリア性(遮断性)を持っていますが、その膜厚や密着度、加工方法によって性能が変わります。

ラミネートの方法には、押出ラミネート、ドライラミネート、ウエットラミネートなどいくつかの手法がありますが、防湿紙には一般的に押出ラミネートが用いられることが多いです。
この技術を使い、原紙に融解したPEを直接圧着することで、表面に均一な膜を形成します。

PEラミネート膜厚と水蒸気透過率の関係

PEラミネートの膜厚は一般的に10μm(0.01mm)から40μm(0.04mm)程度で製造されます。
膜厚が厚くなるほど、水蒸気の透過を抑える効果が高くなりますが、コストや紙の質感、加工性、柔軟性とのバランスも考慮する必要があります。

水蒸気透過率(WVTR)とは

防湿紙の性能評価で最も重要なのが「水蒸気透過率(WVTR : Water Vapor Transmission Rate)」です。
WVTRは、特定条件下で単位面積あたりに1日で透過する水蒸気量(g/m²·24h)で示されます。
JISやASTMといった規格で測定方法が定められており、一般的に温度や相対湿度も規定されています。

WVTRの値が小さいほど、防湿性能が高いことを示します。
つまり膜厚が厚くなることで、WVTRの値は小さく(防湿性が向上)なります。

防湿紙の実測で用いられるPE膜厚のパターン

防湿紙メーカーや関連業界では、下記のような代表的なラミネート膜厚を使い、水蒸気透過率を比較・検証します。

・PE10μm
・PE15μm
・PE20μm
・PE30μm
・PE40μm

これらは用途や要求性能に合わせ使い分けられており、たとえば食品業界ではPE20μm以上の膜厚がスタンダードになる場合が多いです。
包装の軽量化やコスト低減を目指す場合には薄膜(10μm~15μm)が選ばれますが、防湿性能とのトレードオフが常に求められています。

水蒸気透過率の実測方法

防湿紙の水蒸気透過率の測定には、「カップ法(JIS Z 0208準拠)」や「透湿度測定装置」を用いる方法が多いです。

カップ法では、試験紙の一方の面に一定濃度の水分を持つ空間(飽和水蒸気または乾燥剤)を設置して、もう一方には乾燥空間(乾燥剤)を設け、両側の湿度差によって試験紙を通過する水蒸気量(質量変化)を測定します。
この質量変化を基に算出されるのが水蒸気透過率(WVTR)です。

実際の測定は、温度40℃・相対湿度90%など厳しい条件下で実施されることが多く、得られた数値は包装設計や商品品質保証上の根拠となります。

PEラミネート膜厚別の水蒸気透過率 実測結果と解析

以下は代表的なPEラミネート厚別の防湿紙について、標準環境(40℃・90%RH)での水蒸気透過率の実測値例です。

・PE10μm:約8.0~9.5 g/m²·24h
・PE15μm:約6.0~7.0 g/m²·24h
・PE20μm:約4.5~5.5 g/m²·24h
・PE30μm:約2.5~3.5 g/m²·24h
・PE40μm:約1.2~2.0 g/m²·24h

このように、PE膜厚を増やすことで、明らかに水蒸気透過率(WVTR)が低減していることがわかります。
とりわけ20μmを超えると、防湿効果の向上が顕著になり、30μmや40μmではほとんど湿気の影響を最小限に抑えることができます。

膜厚選定における注意点

単純に膜厚を増やせば防湿性は上がります。
しかし、コストアップ、紙の柔軟性や風合いの損失、リサイクル性の低下、封緘性(シール性)への影響など、総合的な用途適合性を考慮しなければなりません。

また、同じ厚みのPEでも分子構造や樹脂グレード、原紙との密着性によって防湿性能や物理的強度に差が出ることもあります。
製造メーカーによって配合や技術ノウハウが異なるため、実使用を前提としたサンプル評価や実測データの蓄積が重要です。

防湿紙の選定ポイントと用途別の推奨膜厚

用途により求められる防湿性能やコストバランスは異なります。

食品包装用途

食品の変質・劣化防止には、一般的にPE20μm~30μmのラミネートが多用されます。
より高湿度環境や長期保存が求められる場合はPE30μm以上が選ばれるのが一般的です。

工業部材・電子部品の包装

錆や湿気侵入による電極損傷を防ぐため、防湿紙には最低でもPE15μm、標準的にはPE20μm~30μmのラミネートが用いられます。
特に防錆紙と併用する場合は、PE20μm以上が目安です。

医薬品・化粧品用途

品質保持にシビアな医薬品や化粧品包装には、PE30μm以上の高バリアタイプ防湿紙を推奨します。
安全性や成分移行の観点から、グレード管理がさらに厳格に求められます。

文具・一般包装

汎用的な包装や防湿が多少求められるだけの用途であれば、PE10μm~15μmの膜厚で十分な場合もあります。
ただし、保存期間や使用環境によっては見直しが必要です。

実測データに基づく防湿紙選定の重要性

カタログ記載値や推奨スペックだけで防湿紙を選ぶと、実際の輸送・保管現場でトラブルが発生することがあります。
特に食品や医薬品など品質変動リスクが重大な製品では、サンプルによる独自測定や、実際の現場環境を模した耐湿性試験を必ず実施することが重要です。

また、同じ厚み・素材記載でも、メーカーによる原料樹脂や製造条件の違いでバリア性能が異なるのが現実です。
比較検証の際には、延伸有無や紙原紙の吸湿特性、複合加工(アルミ蒸着・他プラスチックフィルムとの積層)も考慮する必要があります。

PEラミネート防湿紙の今後と環境対応

昨今、サステナビリティの観点から「プラスチック使用量削減」や「紙単体での防湿化」、「バイオマスPE」など環境対応型防湿紙へのニーズも高まっています。
一方で、現時点でPEラミネート膜は高いコスト対効能から主力防湿材料としての地位を維持しています。

これからは素材技術の進化とともに、可視化された実測データを元に「必要最小限の膜厚で最大のバリア性を発揮させる」高度な設計が要求されるでしょう。
また、ラミネート加工の改良や新たなバリア技術との組み合わせ、環境負荷低減の両立も今後の研究課題となります。

まとめ:適切なPEラミネート膜厚選定が安心・安全の決め手

防湿紙のPEラミネート膜厚と水蒸気透過率は密接な関係があり、膜厚が増すほど高い防湿性を得られます。
実測データによる違いは明瞭であり、製品用途や保存期間、コストとの兼ね合いを見極めて最適な膜厚の防湿紙を選定することが重要です。

今後も環境配慮や技術進歩のもと、防湿紙市場は多様化していきますが、現場の要望に合致した確実な防湿設計には、正確な水蒸気透過率の実測値と膜厚ごとの性能比較が欠かせません。
これらの知見を活かし、より安全で信頼性の高い製品パッケージづくりをご検討ください。

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