マイクロフォーカスX線ラミノグラフィとBGAボイド三次元評価

マイクロフォーカスX線ラミノグラフィとは

マイクロフォーカスX線ラミノグラフィは、半導体や電子部品の内部構造を詳細に観察するために用いられる非破壊検査技術です。

近年、電子デバイスの高密度実装や微細化が急速に進んでいます。

これにより、従来の観察方法では検出が難しい欠陥や微細な構造も、高い解像度で三次元的に評価する必要性が高まっています。

ラミノグラフィは、X線を狭いスポットで集中的に照射し、多角度から投影画像を取得する技術です。

これをコンピュータで再構成することで、非破壊かつ高解像度の三次元画像を得ることができます。

特に、マイクロフォーカスX線源を採用することで、より細かな欠陥やボイドの可視化が可能となっています。

BGAとは何か

BGA(Ball Grid Array)は、ICチップなどの半導体デバイスで利用される端子の実装方式の一つです。

従来のリード型パッケージとは異なり、パッケージの裏面全体に等間隔ではんだボールを配置することが特徴です。

この方式のメリットは、接続端子数を増やしつつ実装面積を小さくできる点や、電気的性能の向上、放熱特性の改善などが挙げられます。

しかし、BGAは外観検査が困難で、内部のはんだ接合部などが直接目視できないため、信頼性確保のためには高度な非破壊評価技術が欠かせません。

ボイドとは

ボイドとは、BGAなどのはんだ接合部に形成される空洞や気泡のことです。

はんだリフロー工程において、フラックスの揮発や基板・パッケージ内部のガス発生などが原因で発生することが多く、ボイドの発生は接合部の信頼性に大きく影響します。

ボイドが大きいと、電気的特性の低下、熱伝導の阻害、さらにははんだクラックの誘発や経年劣化を促進するといった不具合につながるため、ボイドの検出や評価は極めて重要です。

従来のBGAボイド評価手法の課題

ボイド評価には従来、二次元X線検査や断面観察などが利用されてきました。

しかし、二次元X線では複数のはんだボールが重なることで解像度が低下し、正確なボイド位置や形状の特定が困難です。

断面観察は高精度な情報が得られるものの、切断を伴うため再利用ができず、工程管理や大量サンプルへの適用には適しません。

また、最近では実装密度が上昇し、微小なボイドや複雑な欠陥の三次元評価ニーズが高まっているため、より進化した非破壊、かつ高精度の画像評価技術が必要となっています。

マイクロフォーカスX線ラミノグラフィによる三次元評価の仕組み

マイクロフォーカスX線ラミノグラフィは、従来の透過X線装置とは異なり、試料とX線源、検出器の位置関係を最適化しながら、様々な角度からX線像を撮影します。

これにより、断層画像の合成や三次元的な再構成が可能になります。

具体的には、マイクロフォーカスX線源(μX線源)がミクロンレベルの微小なスポットで高精細なX線を照射し、回転や傾斜を加えながら連続撮影を行います。

得られた大量の画像データを、CT(コンピュータ断層撮影)同様のアルゴリズムで解析・再構成することで、三次元的な内部構造を非破壊で鮮明に可視化できるのです。

こうした仕組みにより、BGA内部の各はんだボールごとに、ボイドの位置・大きさ・体積や複雑な形状を精密に測定できます。

高解像度の利点

マイクロフォーカスX線の最大の強みは、その解像度にあります。

一般的な工業用X線検査装置は数十ミクロン程度の解像度ですが、マイクロフォーカスX線ラミノグラフィでは数ミクロン単位まで微細化が可能です。

これにより、BGAのような高密度パッケージでも、微小なボイドやデルタ状、クラックとの複合欠陥も見逃さずに解析できます。

さらに最新装置では、解像度向上と撮影スピードの高速化を同時に実現し、大量サンプルの検査にも対応できるようになっています。

BGAボイドの三次元評価がもたらすメリット

BGAボイドを三次元で評価することで得られる主なメリットを挙げます。

1. ボイド位置・体積を正確に把握

三次元で可視化できるため、各はんだボール内におけるボイドの正確な座標や、ボール中心部・周辺部といった主要領域への発生傾向を詳細に調べられます。

また、ボイド体積の定量評価も高精度で可能となり、規格や設計値に基づいた品質判定を行えます。

2. 欠陥メカニズムの解明

三次元データにより、ボイドが集中発生している場所や、複数のボイド同士のつながり、クラックや剥離との関連性まで詳細に解析できます。

これにより、設計不良や工程条件不良など、根本的な欠陥メカニズムの特定と改善開発へのフィードバックが容易となります。

3. 歩留まりと信頼性の向上

全数または抜き取りで継続的に三次元データをモニタリングすることで、工程変動にいち早く気付くことができます。

これにより、歩留まり低下や工程異常を未然に防止し、製品信頼性の高い管理が可能となります。

4. お客様への可視化報告資料

三次元画像や動画としてボイド解析結果を顧客へ説明できるため、トラブル時にも科学的根拠を示しやすく、技術的な信頼性も高まります。

マイクロフォーカスX線ラミノグラフィの実用例

電子部品メーカーやEMS企業の現場では、以下のような用途でマイクロフォーカスX線ラミノグラフィが活用されています。

BGA実装基板の量産検査

最新の高速X線ラミノグラフィ装置を活用し、量産現場で工程サンプルの抜き取り全数について三次元撮像を行い、ボイドの発生傾向や分布を詳細に管理します。

異常が見られた場合、迅速にフィードバックし工程改善までのリードタイム短縮に寄与しています。

不具合解析・リワーク品質評価

リワークや修理後の実装部品に対して施工品質を非破壊で三次元評価し、隠れたボイドや残留欠陥の発見・原因調査に活用されます。

また、顕在化しにくい微小クラックや異常接合の判定にも有効です。

研究開発・新規設計のフィージビリティ確認

新規パッケージ技術やリフロー工程条件の評価時に、プロセスパラメータに応じたボイド形状や発生頻度を系統的に可視化・数値化し、設計最適化・工程開発に役立てています。

今後の課題と技術動向

マイクロフォーカスX線ラミノグラフィは非常に優れた評価技術ですが、現状の課題も存在します。

代表的なものは、撮像データ量の大規模化と解析アルゴリズムのさらなる進化、装置コストの低減、ユーザビリティの向上などです。

また、AI画像解析との連携が進めば、欠陥自動判定や異常パターンの自動検出など、一層の省力化と高精度化が期待できます。

さらに、今後5G/IoT/自動車向けなど、より小型・高密度化が進展することで、三次元非破壊評価の重要性はますます高まるでしょう。

装置メーカーも、より高解像度・高速検査モードの開発や、大型サンプル・複雑構造基板への対応等、技術革新を続けています。

まとめ

マイクロフォーカスX線ラミノグラフィは、BGAなど高密度実装部品の内部構造を非破壊かつ高精度に三次元評価できる革新的な技術です。

特にBGAボイドの体積・位置・形態の正確な特定と可視化により、故障メカニズムの解明、信頼性管理や工程改善、顧客への技術報告まで幅広く貢献しています。

これからも半導体・電子部品業界の発展とともに、ラミノグラフィ技術の更なる高度化と実用化が技術革新を牽引していくことでしょう。

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