加硫プレスが古すぎて温度ムラがひどく品質が揺れる問題

加硫プレスの老朽化による温度ムラと品質問題

加硫プレスとは、ゴムや樹脂などを加熱・加圧して製品に仕上げる工程で使用される重要な機械設備です。
自動車部品や工業用パッキン、医療用途のゴム製品にも広く活用されています。
この加硫プレスが古くなると、様々なトラブルを引き起こすことが知られています。
その中でも特に多いのが加熱時の温度ムラと、それに伴う製品品質のばらつきです。
ここでは、その要因と悪影響、対策について詳しく解説します。

加硫プレスの仕組みと温度ムラが生じる原因

加硫プレスは主に、以下の三つの基本構造によって成り立っています。

加熱装置

プラテン(加硫盤)に設置されたヒーターや蒸気パイプで金型全体を均一加熱します。

圧力装置

油圧・空圧シリンダーで金型に強い圧力をかけ、ゴムや樹脂素材をしっかりと成形します。

温度制御システム

サーミスタや温度センサーと連動して、ヒーターのON/OFFや蒸気量を制御し適切な温度環境を保っています。

しかし、古い加硫プレスでは下記のような原因によって、制御したはずの温度が均一にならず温度ムラを生じてしまいます。

プラテン内部の劣化

長年の使用によるプラテン内部のヒーター断線、蒸気配管の詰まりや腐食が起こり、熱が均一に伝わらなくなります。

温度センサーの精度低下

熱電対などの温度センサーが経年変化で感度を失い、正確な温度を計測できなくなります。
結果として制御ユニットへのフィードバックが誤差を含み、本来の温度と異なる加熱が行われます。

温度制御装置本体の老朽化

制御盤やサーモスタット、リレーなどの電子部品も、老朽化による動作不良や応答遅れが発生します。
古い制御盤では細かなPID制御ができず、ON/OFFの幅が広がってしまいます。

パッキンや断熱材の劣化

ガスケットや断熱材の傷みから熱漏れも増え、本来伝えたい場所へ熱が届かなくなります。

温度ムラが与えるゴム/樹脂製品への悪影響

適切な加硫条件(温度・圧力・時間)が守られなければ、ゴムや樹脂本来の性能が発揮されません。
温度ムラによって、以下のような製品不良が現れやすくなります。

物性値のバラツキ

硬さ、引張強度、圧縮永久歪などの機械的物性が大きくばらつくため、品質保証が難しくなります。
特に温度が低かった領域は架橋反応が不充分になるため、軟らかく、脆くなります。

外観不良(色むら・気泡・焦げ)

温度が高すぎた箇所は表面が過度に反応して変色や焦げを生じます。
逆に温度が低い箇所は成形不足でウェルドラインや亀裂の原因となりやすいです。
また十分な発泡反応が進まず、気泡の大きさが不均一になることもあります。

寸法・成形精度の不安定化

熱膨張の差や架橋の違いによって、成形品の寸法精度、厚みの均一性も崩れます。
後加工でのバリや反り、取り付け時の不良品率が増加します。

長期耐久性・信頼性の低下

自動車やインフラ部品では、長期間の耐熱・耐油・耐候性能が重要となります。
温度ムラ内部不良があると、早期劣化やクラック発生のリスクが高まります。

加硫プレスの温度ムラを放置するリスク

温度ムラを放置して生産を続けることには、以下の深刻なリスクが伴います。

– 不良率の増加による歩留まり低下、コスト増加
– 顧客への納品品質トラブル(クレーム・リコール)
– 製造管理工程での手戻り発生、納期遅延
– 品質管理データの不信感、ISO/TS監査での指摘

さらに、品質が安定しないことで、最終製品の安全性やブランドイメージまでも損なう結果となります。

温度ムラ対策の具体的方法

古い加硫プレスをすぐに入れ替えるのは難しい場合も多いですが、以下の方法で温度ムラ対策が検討できます。

設備診断・メンテナンスの徹底

まずは、専門業者や装置メーカーによるプラテン内部、ヒーター、センサー、断熱材の点検を受けます。
配線・配管の腐食、詰まり、断線の有無、熱電対および制御機器の交換、清掃、劣化部品の部分更新を推奨します。

温度センサーの多点設置とモニタリング

金型の複数箇所に熱電対やサーミスタを追加し、リアルタイムで各部温度を記録する方法です。
データロガー等を活用して、温度分布を見える化し、異常を早期に発見します。

制御システムのアップグレード

古いON/OFF制御盤をPIDコントローラやPLC制御に更新することで、細かな温度制御が可能になります。
インバータ制御やヒーターパワーモジュールを導入することで、安定した昇温・保温動作が実現します。

加熱方式の見直し

従来の蒸気加熱では古い配管によるムラが大きくなりがちです。
電気ヒーターや油加熱など、別方式への部分的な変換も効果的です。

製品設計・工程適正化

流動解析や温度分布シミュレーションなどを活用し、金型内部の熱伝導設計やゲート位置の最適化を行います。
また、品質要求に応じてサイクルタイムや加硫条件の見直しも検討してください。

加硫プレスのリプレース・更新時期の目安

加硫プレスの耐用年数は、おおよそ15年から20年が目安とされます。
以下の状況が複数当てはまる場合は、更新を推奨します。

・部品の調達が困難、メーカーサポート終了
・修理費用・ダウンタイムが増加傾向
・温度ムラや圧力ムラによる不良率が高止まり
・設備監査やISO関連での重大指摘

更新投資は大きいですが、不良削減・コストダウン・生産性向上・将来的な信頼性確保に直結します。

まとめ:設備の現状把握と計画的な対策実施の重要性

加硫プレスの古さによる温度ムラと品質揺れは、現場でよくある悩みの一つです。
しかし、問題を放置せず、「現状の見える化」「適切なメンテナンス」「制御システムの改善」もしくは「リプレース計画」を進めることで、確実な品質安定、生産性向上が実現できます。
毎日使う設備だからこそ、定期点検と小さな改善の積み重ねが、長期の信頼性を生み出します。
加硫プレス設備を起点とした品質経営で、顧客満足度とコスト競争力の両立を目指していきましょう。

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