パーティングラインが目立ち外観品として扱えない問題

パーティングラインが目立ち外観品として扱えない問題とは

パーティングラインが目立ってしまうことで、製品を外観品として出荷できないという問題は、プラスチック成形や金属鋳造など、さまざまな成形加工現場で起こる代表的な課題です。
この現象は、品質要求が高まり続ける現代の製造現場においては、クレーム・返品・歩留まり悪化などの原因となり、生産効率やコスト面にも大きな影響を及ぼします。

この記事では、パーティングラインが目立つ原因や対策、そして外観品への影響とその防止策について詳しく解説します。

パーティングラインとは?

パーティングラインとは、成形品を金型から取り出す際にできる、金型の合わせ面(分割面)に生じる線状や段差のことを指します。

成形工程とパーティングラインの発生原理

多くの樹脂成形や金属鋳造製品は、取り外しを容易にするために複数の金型パーツで挟み込むようにして成形されます。
そのため、金型の接合部にはどうしてもわずかな隙間やズレが発生してしまいます。
このわずかな隙間から樹脂や金属が漏れ出す、またはそのズレの部分に材料が段差として残ることで、パーティングラインとなって製品表面に現れます。

パーティングラインの一般的な特徴

パーティングラインは製品の形状によって直線状・曲線状となり、肉眼でわかる線やわずかな段差が発生します。
色の濃淡や光沢の違い、エッジ部分でのバリの発生なども、このラインの目立ちやすさに影響します。

なぜパーティングラインが目立つと外観品として扱えないのか

製品の中には、見た目の美しさや高級感が求められる「外観品」と呼ばれる部品が多く存在します。
これらの製品の品質検査において、表面のムラや傷、そしてパーティングラインが許容基準以上に目立つ場合は、不良品としてはじかれてしまいます。

市場ニーズの変化と外観品質要求の向上

現代の消費者は、見栄えや高級感、精緻なディティールに強いこだわりを持つようになっています。
特に自動車・家電・OA機器・スマートフォン部品など、外部に見えるパーツでは、パーティングラインの有無が顧客満足度やブランドイメージを大きく左右します。

外観検査での許容基準

企業によって異なりますが、一般的に外観品の検査では以下のような基準が設けられています。

– 目視距離〇cm以内で確認されるパーティングラインの高さや幅
– 光を当てた時の見え方(光沢差やアイライナー現象)
– タッチで感じる段差の有無
– バリ・欠け・色ムラの有無

これらの基準を超えてパーティングラインが目立つ場合、「外観品」として市場には出せなくなります。

パーティングラインが目立つ主な原因

パーティングラインの目立ちやすさは、金型設計・成形条件・材料特性など複数の要因が絡み合って発生します。

金型の設計・加工精度

一番の要因は金型の合わせ精度です。
金型プレート同士の精密な加工がされていない場合、必然的にズレや隙間、段差が生じやすくなります。
また、金型そのものの摩耗や冷却構造の癖、定期メンテナンス不足により、金型の合わせ面に経年変化による段差や変形が発生する場合もあります。

成形条件のズレ

射出圧力が高すぎる、または型締め力が適切でないなど、成形工程の物理的要因もパーティングラインの発生に大きく影響します。
過度な射出圧力は型の隙間から樹脂を押し出す力が強くなり、はみ出し(バリ)や段差が大きくなります。

材料の物性・選定不良

樹脂や金属の流動特性や収縮率によってもパーティングラインが目立ちやすくなります。
特にガラス繊維入り樹脂の場合、パーティングライン上で繊維が偏って線が強調される場合があります。

成形サイクルや温度管理の不備

金型温度や材料温度、射出速度・冷却時間のバラツキも影響します。
特に量産中の連続成形時に金型温度が不安定な場合、パーティングライン部分の色調や段差の発生が顕著に現れます。

パーティングラインが目立つことによる生産現場のリスク

外観品でパーティングラインが目立つ場合、様々な現場トラブルやリスクに直結します。

不良品・不具合増加によるコスト増

目視検査や自動化検査で基準外と判定される部品は、全て廃棄・再加工の対象となり、材料費・生産工数・検査コストが一気に増大します。

顧客からのクレーム・返品リスク

外観不良製品が市場に出荷された場合、エンドユーザーからのクレームやリコール、返品のリスクが生じます。
これはブランドイメージや信頼性にも大きく影響し、長期的なロスとなります。

歩留まり悪化による納期遅延

外観品の合格率が低下すると、生産スケジュールが狂い、最悪の場合は納期遅延や契約違反につながります。

パーティングラインを目立たなくする対策

現状のままでは製品の競争力や品質が担保できないため、各現場ではさまざまな対策が行われています。

金型精度の徹底向上

高精度な加工技術を用い、金型パーツの合わせ面をμオーダーで仕上げることが重要です。
また、基準ゲージや光学測定を用いて、金型の合わせ精度・再現性を確認することも有効です。

パーティングライン位置の工夫

設計段階で、視線が集まりにくい裏面や合わせ面が目立たない部位になるよう、パーティングラインのレイアウトを工夫することも有効です。

補修(二次加工)プロセスを導入

どうしてもラインが目立つ場合は、表面研磨やバフ掛け、ショットブラスト、塗装など、二次処理によって目立たなくする方法もよく使われます。
ただしコストや時間増になるため、多用は好ましくありません。

成形条件の最適化

型締め力や射出圧力、樹脂温度・金型温度、冷却時間など、成形条件を最適化してバリや段差の発生を抑制します。
実験計画法(DOE)などを用いて条件最適化を繰り返すことがポイントです。

材料選定・調合の見直し

流動性や収縮が小さく、表面仕上げ性に優れる材料を選ぶことで、パーティングラインが目立ちにくくなります。
着色剤やコンパウンドの最適化も効果的です。

設計・生産部門が連携しパーティングライン低減を目指す

本質的な解決を目指すには、金型設計担当・成形担当・品質管理部門・生産技術部門、すべてが役割を分担し、連携して取り組むことが必要です。

設計段階の品質作り込み

意匠性が重視される部分は、できるだけパーティングラインが生じない設計とし、発生部分には意匠筋やリブ等でラインを目立たせない工夫も大切です。

金型図面・成形レポートの情報共有

各部署間で金型の合わせ精度、複雑なパーティング構造、成形サイクル時の温度・圧力分布などを可視化し、事前にリスクを共有します。
早期段階から課題発見・対策が打てます。

品質検査基準の明確化

「どこまで許容できるか」を明確な基準として定め、実製品と見本サンプルを用いて組織内ですり合わせておくことも重要です。

まとめ:パーティングライン問題への本質的アプローチで外観品の品質向上へ

パーティングラインが目立ち外観品として扱えない問題は、製品設計から金型製作、成形条件管理、材料選定、検査基準まで、多様な工程に影響する重要な品質課題です。

各工程での精度向上・最適化とともに、現場・品質・設計の密な連携、そして最新の加工機や解析技術の活用が不可欠となります。
根本的な品質作り込みと、適切な補正・対策のバランスをとることで、高い外観品質の製品を安定して顧客に提供できるようになります。

製造現場や設計現場においては、パーティングラインという一見地味な現象が、経営や顧客満足に直結する非常に重要なテーマであることを再認識する必要があります。
本記事で紹介した情報を参考に、ぜひ自社製品の品質向上・競争力強化に活かしてください。

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