二次加工の印刷密着が弱く剥がれが発生する表面処理課題

二次加工の印刷密着が弱く剥がれが発生する表面処理課題とは

二次加工における印刷密着が弱く、剥がれが発生する問題は、多くの製造業者や加工業者が頭を悩ませる課題の一つです。

特にフィルムやプラスチック、金属や紙などの素材に対して印刷や加飾工程を行う際、表面処理の工程が不十分であることによって、印刷インキや塗工材が素材表面に十分密着せず、最終製品の剥離や印刷不良を引き起こします。

この問題に直面すると、製品の信頼性低下につながるだけでなく、クレームや再加工によるコスト増にもつながるため、早急な対策が求められます。

印刷密着不良の主な原因

1. 素材表面の化学的性質

表面の化学的性質は密着性に大きく影響します。

プリント基材となるフィルムやプラスチックは、もともと非極性や撥水性(疎水性)が強いものが多く、そのままではインキや接着剤がうまく載りません。

また、表面に微量な油分、離型材、可塑剤、静電気などの汚染物が残っている場合も、密着性は著しく低下します。

2. 表面エネルギーの不足

印刷やコーティング材料がしっかり付着するためには、素材表面の「表面エネルギー」が十分でなければなりません。

特にポリエチレンやポリプロピレンなど、低表面エネルギー素材は印刷適性が低いため、コロナ処理やプラズマ処理、フレーム処理などで表面エネルギーを高める必要があります。

3. 物理的な表面粗さや形状

素材表面が滑らかすぎると、インキや接着剤が物理的に引っかかる部分(アンカー効果)が少なく、密着強度が発揮されません。

逆に、粗すぎる表面や埃・異物が多い状態だと、塗布ムラやピンホール、密着不良が生じることもあります。

4. 不適切な前処理や不十分な脱脂

二次加工の前段階でしっかりと脱脂・洗浄処理されていない場合、表面に皮膜や汚染層が残り、それが密着不良の「層間剥離」の原因になります。

また、ウェブ搬送やロール工程で蓄積された微細な粉体、帯電による埃付着なども静電気除去やクリーン化の課題となります。

5. 加工インキ・接着剤自体の不適合

インキや接着剤は基材の種類、前処理の有無、使用環境によって適切な選定が重要です。

耐熱性や耐候性、柔軟性の要求内容によっては、通常の材料だと密着強度や耐久性が担保できないこともあります。

表面処理方法による密着向上のアプローチ

コロナ放電処理

コロナ放電は基材表面に高電圧を印加し、分子構造を切断して界面の官能基(親水化)を導入することで、表面エネルギーを上昇させます。

特にフィルムや樹脂などの低表面エネルギー素材に有効で、ロータリーコーターやグラビア印刷ラインにオンラインで組み込むケースが一般的です。

コロナ処理後は表面張力の数値で「ダインペン」測定を行い、基準値※に達しているか確認します。

※印刷適性は38dyn/cm以上が推奨されます。

プラズマ処理

大気圧プラズマや低圧プラズマを利用した表面処理は、より高度な親水化や官能基付与が可能です。

コロナ放電よりも表層部への反応が大きく、複雑形状や微細部分にも均一な処理を施しやすい利点があります。

また、表面組成変化が小さく、素材本来の特性へのダメージも比較的小さいため、高機能部材やエレクトロニクス用途でも利用が進んでいます。

フレーム処理(炎処理)

特殊なバーナーで高温ガス炎を当て、素材表面を酸化・官能基化する手法です。

自動車用バンパーやインテリア関連部材など、成形後の樹脂部品に広く採用されています。

一方で、熱ダメージや熱収縮、表面変色のリスクがあるため、素材への適応性や管理制御がよりシビアに求められます。

UV硬化やプライマーの使用

表面処理だけでは密着強度が足りない場合、密着促進プライマーやアンダーコートを塗布するのも効果的です。

また、UV硬化型塗料やインキを用いることで高い硬化密着性と耐摩耗性を両立できる場合もあります。

UV処理は高生産性・省エネルギーの観点でも注目されていますが、選定には素材との相性や照射条件の管理が不可欠です。

密着不良の検証と予防策

表面検査と品質管理

印刷密着の良否を判断するには、以下のような検査方法が用いられます。

– サンプルのクロスカットテスト、セロテープ剥離テストによる密着性確認
– ダインペンによる表面エネルギー測定
– 顕微鏡やSEMによる表層分析、粗さ計測
– 赤外分光分析(FT-IR)、XPSによる表面官能基評価

こうした検査で規格を下回る結果が出た場合は、前処理プロセス・材料選定の見直しや、工程間クリーン管理の強化などが必要になります。

工程の見える化とトレーサビリティ向上

密着不良の発生原因を素早く特定するためには、各工程ごとの処理状況や材料ロット、設備設定条件などを「見える化」して記録することが大切です。

また、異常発生時のトレーサビリティ確保、工程内の品質管理強化として、IoT化やセンサー連動による自動管理技術の導入も進んでいます。

作業現場での注意点

現場作業者が表面処理や前処理の重要性を良く理解し、正しい手順・基準を徹底することも密着不良対策では欠かせません。

脱脂や洗浄作業を省略したり、処理後の時間放置による再汚染(エイジング劣化)を避けるなど、小さな積み重ねが最終製品の品質に大きく影響します。

分野別:印刷密着強化が求められる事例

自動車部品のインモールド加飾

自動車のインテリアパネルやスイッチ、外装部材では加飾フィルム・インキの剥がれが商品価値を大きく左右します。

耐高温・耐薬品性、経年耐久性が要求されるため、基材設計から前処理・印刷条件まで一貫した品質管理が重要です。

プラスチックフィルムパッケージ印刷

食品包装、日用品パウチ包装などでは、フィルム層間の密着不良によるリード(封)剥がれやインキブロッキングが課題となります。

多層ラミネートや無溶剤接着剤利用時の界面管理、クリーンルームでのホコリ管理も不可欠です。

電子部品・フレキシブル基板への印刷

電子デバイスやFPC(フレキシブルプリント配線板)は、ミクロン単位での密着信頼性が要求されます。

表面エネルギーの精密管理、導電性インキ・保護コートの高密着化技術が進化しています。

今後の表面処理技術トレンドと選定ポイント

近年、サステナブル素材やリサイクル可能樹脂の活用も増えており、従来型の前処理だけでは十分な密着強度を得にくいケースも現れています。

今後は環境対応型の処理液やドライ処理法、低温プラズマ・UVナノ技術による新しい表面改質手法が注目されます。

新規採用技術の際は、
– 素材・インキとの相性評価
– 長期耐久性・安定性の確認
– 量産化ラインへの適応性
– 法規制・環境基準への準拠
といった複合的な視点が重要です。

また、技術支援を提供する表面処理メーカーや材料メーカーとの密な連携も密着不良課題の早期解決につながります。

まとめ:根本原因を押さえて最適な対策を

二次加工の印刷密着が弱く剥がれが発生する表面処理課題は、工程設計・材料管理・前処理技術と、多角的な観点からの取り組みが必要です。

素材特性の理解や最新処理技術の活用、現場の徹底したクリーン管理まで、各段階でのきめ細かな「密着対策」が、安定した品質とコスト低減につながります。

お困りの際は、実施中工程の現状把握から検証テスト・最適処理の選定まで、専門家への相談や材料メーカーのノウハウ活用も効果的です。

ものづくりの信頼性向上に向けて、根本原因の特定と現場にフィットした最適ソリューションの実践をおすすめします。

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