PVC‐NBR耐油ホースとバイオディーゼルB30膨潤試験

PVC‐NBR耐油ホースとバイオディーゼルB30膨潤試験

PVC‐NBR耐油ホースとは

PVC‐NBR耐油ホースは、主にPVC(ポリ塩化ビニル)とNBR(ニトリルゴム)の複合素材からなる工業用ホースです。
この組み合わせは、PVCの柔軟性および耐候性と、NBRの優れた耐油性を両立させることができます。
一般的には、化学薬品、油類、燃料、さらには一部の溶剤など、幅広い流体を搬送する用途で用いられています。
特に、産業機械や自動車関連、船舶、農業機械の給油系統など、多様な分野で支持されています。

ホース自体の構造は、内層となるNBRが外部から浸透する油や燃料に強く、外層や補強層にPVCが用いられることで、ホース全体のコストパフォーマンスと寸法安定性を高めています。

バイオディーゼルB30とは

バイオディーゼル燃料とは、植物油や動物油脂由来の脂肪酸メチルエステル(FAME)を主成分とし、ディーゼルエンジンで使用可能な再生可能燃料です。
B30は、従来の石油由来軽油にバイオディーゼルを30%混合した燃料を指します。
環境負荷の低減や、化石燃料への依存削減を目的に世界各国で普及が進んでいます。

B30は、通常の軽油に比べ、溶剤性や酸化安定性、含水性、ゴムや樹脂への影響が異なる特徴を持っています。
そのため、燃料系統に使われるホースやパッキン素材の選定において、従来のディーゼルだけでなくバイオディーゼルに対する化学的耐性や膨潤耐性の確認が重要となります。

PVC‐NBR耐油ホースとバイオディーゼルの相性

ディーゼル燃料自体に対してNBR(ニトリルゴム)は優れた耐性を持つことで知られています。
しかし、バイオディーゼルB30は含まれるエステル成分が既存のゴムや樹脂と反応しやすく、従来のホース材質よりも膨潤、軟化、ひび割れ、表面劣化などのリスクが高まることがあります。

特にNBRは極性溶剤やエステルに対して一般的に耐性が低いとされており、バイオディーゼルの長期接触による材料劣化の懸念が指摘されています。
一方で、PVCは耐薬品性が高いものの、柔軟性や耐油性の面でNBRほど強くはありません。
PVC‐NBR耐油ホースはこれら材質の特長をバランスよく組み合わせることで、一定の耐性を保っているのが一般的です。

膨潤試験とは?

膨潤試験とは、特定の流体(今回の場合はバイオディーゼルB30)に一定期間ホースを浸漬し、重量や寸法変化、物理強度の低下、外観変化などを評価する材料試験の一種です。
短時間の試験では分からない、長期間使用時の材料の劣化や性能の低下を事前に評価できるため、燃料用部品や配管材料の選定には欠かせません。

主な評価項目

膨潤試験における主な評価項目は以下の通りです。

・外観変化(ひび割れ、変色、軟化等)
・質量変化率
・体積変化率
・引張強度や伸び率の変化
・表面硬度の変化

これらのデータは、ホースが長期に渡りバイオディーゼルB30を取り扱った場合の耐用年数やメンテナンス周期の設計指針となります。

PVC‐NBR耐油ホースのバイオディーゼルB30膨潤試験の重要性

環境規制の強化やカーボンニュートラルへの移行により、再生可能ディーゼル燃料(バイオディーゼル)の利用は今後さらに拡大すると予想されます。
実際、B30といった高混合率燃料の普及にともない、燃料に接触するホースやパッキンなどの部品材料の適合性評価がより一層必要となります。

膨潤試験は、経年変化や材料劣化による漏れ・破損等のリスクを事前に低減し、設計の信頼性を高めるために不可欠です。
とくに、予期せぬ材料の膨潤や軟化を放置してしまうと、ホースの継手部からの燃料漏れ、加圧時の膨張、ホース自体の裂傷など重大な事故につながる恐れがあります。

バイオディーゼルB30はエステル分が含まれているため、ホースの内層NBRと化学的反応が起きやすく、想定以上の膨潤や軟化、機械的強度低下が発生する可能性があります。
これを事前に評価することで、現場でのトラブルを未然に防ぐことができます。

膨潤試験の進め方

PVC‐NBR耐油ホースを用いたバイオディーゼルB30膨潤試験は、以下のような手順で実施されます。

1. 試験前評価

ホース試験片の外観、寸法、質量、引張強度などを事前に測定します。
これが基準値となり、試験後の変化と比較します。

2. 試験環境の設定

・試験流体:バイオディーゼルB30
・試験温度:常温またはエンジン稼働想定温度(40~60℃程度)
・試験期間:短期(24時間、7日間)から長期(1か月、3か月以上)など用途に応じて選択

3. 浸漬・保管

所定条件下でホース試験片を完全にバイオディーゼルに浸漬し、定められた期間静置します。
実際の使用環境を模した加熱や外力の負荷試験も併用する場合があります。

4. 試験後評価

・外観の変化(膨張、ひび割れ、変色)
・質量、寸法の変化
・引張強度や伸びの低下
・表面硬度の変化
これらの項目について、規格値や初期測定値との比較を行います。

膨潤試験結果から得られる知見

膨潤試験を実施することで、PVC‐NBR耐油ホースがバイオディーゼルB30の長期利用時にどれだけ信頼できるかを評価できます。

代表的な結果としては、
・規格内であれば特に問題なく利用可能
・膨潤や軟化が一定以上発生し、ホース寿命の低下や交換頻度増が懸念される
・ひび割れや著しい劣化が認められる場合、そもそも使用不可
といった結論が得られます。

とくに設備や車両導入前に適合性確認をすることで、現場での燃料漏れや事故リスクを抑制し、保守計画の精度向上につながります。

PVC‐NBR耐油ホースの選定ポイント

バイオディーゼルB30の用途でPVC‐NBR耐油ホースを選ぶ際は、以下の点に注意が必要です。

・製品カタログや仕様書に「バイオディーゼル対応」や「B30対応」と明示されているか
・流体温度、圧力への許容値が使用条件にあっているか
・膨潤試験や耐油試験データがメーカーから開示されているか
・必要に応じて現物で短期膨潤テストを実施すること

また、長期運用を考える場合には、耐油性NBRだけではなく、さらなる耐エステル性を持つFKM(フッ素ゴム)製ホースや、特殊な多層構造ホースの検討も視野に入れることが重要です。

PVC‐NBR耐油ホースの保守と管理

バイオディーゼルを取り扱う現場では、ホースの定期点検と保守が安全性と稼働の安定性を維持する上で不可欠です。

・使用開始後3~6か月ごと、もしくは年1回など、定期的な外観・手触り・硬度チェック
・膨潤や柔軟性低下、ひび割れ等の兆候があれば即交換
・バイオディーゼル対応品以外の流用は絶対に避ける

これらを徹底することで、設備や車両の長期安定稼働、及び環境負荷低減、安全トラブル回避につながります。

まとめ

バイオディーゼルB30の普及に伴い、燃料系統のホース選定および事前の膨潤試験の重要性は今後ますます増していくといえます。

PVC‐NBR耐油ホースはコストパフォーマンスや耐油性、柔軟性をバランス良く兼ね備えていますが、バイオディーゼル燃料、とくに高混合比B30に対する膨潤や材料劣化のリスクを正しく把握し、適切な製品選定と定期保守が不可欠です。

実際の運用環境や燃料種に即した膨潤試験を活用し、リスクを最小限に抑えるとともに、安全・安定した燃料供給とSDGs達成への寄与を目指しましょう。

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