青果用紙箱の耐湿性強化による輸送ロス削減事例
青果用紙箱の耐湿性強化による輸送ロス削減事例
青果物の輸送において、段ボールなどの紙製コンテナが一般的に用いられています。
しかし、紙箱は湿気や水分に弱いという欠点があります。
このため、悪天候や青果物から発生する水分によって箱が変形し、輸送中に商品の破損や品質低下が発生しやすいという課題が生まれてきました。
近年では、こうした課題を解決するために紙箱の耐湿性を向上させる技術の導入が進んでおり、数多くの輸送ロス削減事例が誕生しています。
本記事では、青果用紙箱の耐湿性強化による輸送ロス削減の代表的な事例や技術、導入メリットについて詳しく解説します。
青果物輸送時の紙箱の課題
水分による強度低下と変形
青果物は、収穫後も水分を多く含み続けています。
輸送中には青果物自身の発汗や結露、さらには冷蔵輸送時の温度差によって紙箱が湿気を吸収します。
従来の紙箱は、十分な耐湿性がないため湿度が高まると強度が低下し、次のような問題が発生します。
・積み重ね中に箱が潰れる
・台車やコンベアでの移動時に底抜けが発生する
・箱がふやけてテープが剥がれる
これにより、輸送中の青果物が傷つき、市場での商品価値が低下したり、そもそも廃棄せざるを得なくなるロスが生じていました。
従来対策の限界
これまで、紙箱のコーティングや内袋使用などの対策が取られてきましたが、十分な効果が得られないケースも多くありました。
また、耐水性を高める加工はコスト増となり、普及の妨げとなっていました。
耐湿性強化技術の発展と新しい紙箱
耐水・耐湿素材の開発
近年、特殊な耐水糊や耐湿シートでラミネート加工を施した段ボールが開発されるなど、紙箱自体の耐湿性が大きく強化されるようになりました。
また、リサイクル対応した水性コーティング技術の進歩により、環境負荷を低減しつつ耐湿性を確保する箱が誕生しています。
構造設計の工夫
箱の設計自体にも改良が加えられています。
例えば、湿気の影響を受けやすい底面の厚みを増したダブルカートン仕様や、水分が溜まりにくい通気孔の工夫などが実践されています。
高機能紙素材の導入
耐久性の高い高機能紙を一部の仕様に組み合わせたり、紙自体に撥水機能・防湿機能を付与する最新の素材が使われる事例も増えています。
耐湿性強化紙箱による輸送ロス削減の具体事例
大手青果チェーンにおける導入と効果
全国展開する某青果卸売チェーンでは、カット野菜や生鮮果物の流通に耐湿強化紙箱を全面採用することで、輸送時の箱潰れや内容物の液漏れトラブルが85%削減しました。
従来は湿気の多い時期になると毎日のようにクレームや返品が発生していましたが、強化紙箱への切替え後はほぼ皆無になりました。
その結果、輸送ロスや返品費用が大幅に削減され、青果の品質保持期間も延長されました。
地域農協での事例
ある地域農協では、夏場の果物(特に桃)の輸送で紙箱の耐湿性強化に取り組みました。
従来の段ボール箱では、冷蔵コンテナ輸送時に箱底の湿気が原因で箱が変形し、中身の果物が傷つくことが多発していました。
そこで耐水ボンドと特殊積層構造を採用した強化紙箱へ切り替えたところ、箱の変形率が10分の1に減少。
さらに外箱破損に伴う青果物の廃棄量も70%以上カットされました。
物流現場スタッフからも「積載作業が安心してできる」と高評価が得られました。
輸出用柑橘類の実証試験
柑橘類の海外輸送では、長期間冷蔵コンテナを使用するため湿気対策が必須です。
ある産地では、コーティング紙と防湿シートを組み合わせた耐湿紙箱を採用し、通常品と比較する実証を行いました。
その結果、通常の紙箱では輸送後に約30%が箱潰れ・内容物損傷となったのに対し、耐湿紙箱では損傷率が5%未満に改善され、輸出先からの評価も向上しました。
耐湿紙箱導入のメリット
商品価値・ロス削減による経済効果
青果用紙箱の耐湿性強化は、直接的な「廃棄ロスの削減」だけでなく、「商品価値の維持」「クレーム対応コストの低減」など多方面で経済的なメリットをもたらします。
納入先や市場での格付け評価が安定するため、取引単価の維持にも寄与します。
作業効率・物流安全性の向上
箱の変形や強度低下が少なくなることで、積み下ろし・移動時の事故リスクが軽減されます。
底抜けや箱潰れを心配せず効率よく作業できるため、現場担当者の精神的・肉体的負担も減らすことができます。
SDGs・環境対策との両立
従来型の耐湿性向上策(例えばプラスチック内装や過剰梱包)は廃棄物や環境負荷の増加につながりがちでした。
しかし、リサイクル対応型コーティングやバイオマス素材を使用した耐湿紙箱であれば、SDGsの観点からも持続可能な物流が実現できます。
耐湿性紙箱選定のポイント
商品特性・輸送環境の把握
最適な耐湿性紙箱を選ぶには、輸送する青果物の種類、水分量、輸送距離、気温・湿度などを十分に分析することが必要です。
商品ごとに必要な強度や防湿レベルは異なるため、現場の生の声と物流データの蓄積が欠かせません。
コストと耐久性のバランス
耐湿性強化には若干の箱コスト増が伴う場合が多いですが、廃棄ロスやクレーム対応にかかっていた「隠れコスト」を明確化しましょう。
長期的なコストパフォーマンスを試算すると、十分な投資価値があるケースが多く見られます。
サステナブル資材の活用
包装資材サプライヤーの多くが、リサイクル対応型やバイオマスを活用した耐湿紙箱ラインナップを拡充しています。
企業の環境方針に応じて、こうした資材の採用も検討しましょう。
今後の展望・まとめ
青果物のフードロス削減、品質保持、環境対応は社会的要請が高まっているテーマです。
耐湿性強化紙箱の導入はこの3つを同時に実現する有効な手段として、今後ますます普及が加速していくでしょう。
現場の試行錯誤や新技術導入の積極性が、物流現場を持続可能で効率的なものへと導いています。
輸送ロスや廃棄ロスでお悩みの青果物関連事業者は、ぜひ自社商品の特性や物流フローを振り返り、耐湿性強化紙箱の選定・導入を検討されてはいかがでしょうか。
今後ますます多様化・高度化する流通の現場へ向けて、紙箱技術は進化し続けています。
輸送ロスゼロを目指し、青果物流の“命を守る箱”として最適な紙箱を活用しましょう。