衣料用ボタン素材の強度試験とリサイクル化対応の事例

衣料用ボタンの強度試験とは

衣料用ボタンは、日常生活において衣服の留め具として機能する大切なパーツです。

デザイン性だけでなく、着脱の繰り返しや外力に耐えうる強度が求められます。

そのため、製造過程ではさまざまな強度試験が実施されます。

ボタンの強度を評価することは、使用中の破損や脱落によるクレームを未然に防ぐだけでなく、製品全体の品質向上に繋がります。

ここでは、代表的なボタン強度試験の内容や意義について解説します。

主な強度試験の種類

衣料ボタンの強度試験にはいくつかの種類があります。

代表的なものとして、「引張強度試験」「衝撃強度試験」「捻回耐性試験」「耐摩耗試験」などが挙げられます。

引張強度試験は、ボタンを衣服から引き離す力を加え、どれだけの荷重で破断・脱落するかを調べるものです。

特に子供服や作業着など、繰り返し強い力がかかる衣料分野では重要視されています。

衝撃強度試験では、ボタンに一定の衝撃を与え、割れや欠けを生じずどれだけ耐えられるかを調べます。

一方、捻回耐性試験はボタンを回転させて各方向から力を加え、変形や破損の有無をチェックします。

さらに、日常の着用や洗濯による摩耗を想定した耐摩耗試験も行われ、長期間の使用に耐えるかどうかの評価材料となります。

強度試験の規格・JIS基準

衣料用ボタンの強度試験には、日本産業規格(JIS)やISO(国際標準化機構)など、定められた基準が存在します。

JIS L 4204は、ボタンの引張強さの試験方法を定めています。

規定荷重や加える速度、試験方法の詳細、判定基準などが明文化されており、メーカーや検査機関はこの規格に準じて試験を行っています。

また、樹脂製・金属製・ナチュラル素材など素材系列ごとに細かな基準値が設けられているのも特徴です。

基準値をクリアしない場合は製品化不可、あるいは再設計が必要となります。

主要な衣料用ボタン素材とその特徴

ボタンの素材は、衣料の用途やデザイン、求められる機能により多様です。

主に使用されている素材には、プラスチック(樹脂)、金属、天然素材(貝・木・ココナッツ・水牛角など)、最近ではリサイクル素材などがあります。

それぞれ強度やリサイクル性、加工性など異なる特性を持っています。

プラスチック(樹脂)ボタン

樹脂ボタンは、主にポリエステルやナイロン、ABS樹脂、アクリルなどを原料としています。

耐水性に優れ、軽量で低コスト、生産量が多いことが強みです。

一方で、安価なものでは耐久性や耐熱性が劣る場合もあり、製造時の配合や加工法で強度のムラが生じやすい側面もあります。

近年ではPETリサイクル樹脂を用いたエコな樹脂ボタンも普及しています。

金属ボタン

金属ボタンは、ジーンズやジャケットなどの重衣料・カジュアル衣料に多く使われています。

ステンレスや真鍮、アルミニウム、鉄などが主要素材です。

非常に高い強度と耐摩耗性を持つ一方で、重く、錆びやすいという弱点もあります。

最近ではアルミ合金や表面加工技術の向上によって軽量化や錆防止の性能が強化されています。

天然素材ボタン

貝ボタンや木・ココナッツ・水牛角等の天然素材品は、高級感や独特な風合い、ぬくもりのあるテイストが特徴です。

しかし、素材由来の強度のバラつきや水分・衝撃への弱さがデメリットとなるため、用途や衣料のグレードによって選定されています。

近年は、環境負荷の少ないエコ素材として人気が再燃しています。

衣料用ボタンのリサイクル化対応の最新事例

衣料業界では近年、SDGsや循環型経済の実現に向けた取り組みが加速しています。

その中で、ボタンなど副資材のリサイクル化やエコ素材へのシフトが注目されています。

特に「リサイクル樹脂ボタン」「生分解性ボタン」「使用済みボタンの回収再利用」など、さまざまな先端事例が出てきました。

PETリサイクル樹脂を利用したボタン

ペットボトル由来の再生PET樹脂を用いた「PETリサイクルボタン」は、ここ数年で急速に拡大しています。

加工性・外観性も向上しており、学生服、作業服、カジュアルウエアを中心に採用実績が増加しています。

従来のバージン材よりもCO2排出を大幅に抑え、廃棄プラスチックの削減に効果的です。

JIS基準に準拠した強度試験もクリアしており、品質と環境性を両立したアイテムとして高く評価されています。

生分解性・天然素材系エコボタン

土中や水中で分解されて自然に還る生分解性樹脂や、トウモロコシ澱粉・シェル(貝殻)などを用いたエコナチュラルボタンも登場しています。

環境負荷を極限まで抑えることを目指しており、特にオーガニック指向のブランドや制服メーカーなどで採用事例が増加中です。

ただし、強度や熱安定性では従来品に劣るケースもあるため、使用用途によっては改善開発の余地が残されています。

使用済みボタンの回収・再利用

自治体やアパレル企業による「ボタンリサイクルプロジェクト」も盛んになっています。

不要な衣類からボタンを分別回収し、特殊な洗浄・再加工を施すことで、新たな衣類や雑貨の資材として再利用されています。

この再利用ボタンは「アップサイクルボタン」とも呼ばれ、一般消費者にもエコ意識が浸透するきっかけになっています。

また、廃棄コスト削減やソーシャルグッドなイメージ作りにも貢献しています。

リサイクル対応ボタンの強度保証と組み合わせ事例

リサイクル原材料を使ったボタンでも、一般的なボタンと同様に強度や安全性を保証する必要があります。

そのため、製造メーカーは独自の強度試験や長期耐久評価を実施しています。

JISに準じたリサイクル・エコボタンの強度試験

例えば、PETリサイクルボタンは材料の異物・不純物混入や添加剤により物性が左右されがちです。

そのため、バージン材と同じくJIS基準の引張・衝撃・摩耗・変色・耐熱など多角的な試験をクリアできる設計が求められます。

BtoB用途では、OEM先ブランド独自の審査基準への対応事例も増えています。

リサイクル材ならではの品質ばらつきに対しては製造ロットごとの追加検査も実施され、安心して採用できる仕組みが拡大しています。

エコ素材ボタンの衣服組み合わせ事例

リサイクル樹脂ボタンは、制服や学生服、作業服、ホテルユニフォームなど、エコ化が求められる分野で存在感を増しています。

また、生分解性素材のウッドボタンやシェルボタンは、カジュアルウエアやキッズアパレル、ナチュラル志向ブランドの高級ラインで多用されています。

企業のSDGs推進や脱炭素社会への対応の一環として、副資材までトータルエコ対応とする動きがトレンドになっています。

今後の展望と課題

衣料用ボタンの強度試験やリサイクル化対応は、SDGsによる社会的要請と消費者意識の高まりで今後さらに技術開発が加速すると考えられています。

一方で、リサイクル素材特有の品質安定化やコスト競争力の確立は未だ課題です。

省資源化や環境負荷低減と、製品の長寿命・高品質な使用性とをどうバランスさせるかが重要なポイントです。

今後は、AIやIoTを活用した自動検査・選別技術や、新規素材開発、高度な素材混合制御など、テクノロジーを駆使した「サステナブルボタン」の進化に期待が寄せられています。

まとめ

衣料用ボタンは、日常生活で重要な機能を担うだけでなく、強度・耐久性の裏付けとなる厳格な試験が行われています。

また、近年はリサイクル素材や生分解性素材を利用したエコ対応品の開発が進み、環境配慮と機能性の両立が強く求められるようになっています。

メーカーや消費者、社会全体が連携しながら、より良い品質・安全性・持続可能性を追求していく姿勢が、新しい衣服づくりのスタンダードとなるでしょう。

You cannot copy content of this page