青果出荷に適した通気性段ボールの構造と事例紹介
青果出荷における通気性段ボールの重要性
青果物は収穫後も呼吸を続け、水分や二酸化炭素、エチレンガスなどを発生します。
これらのガスや湿気が箱内に滞留すると、腐敗や劣化を促進する原因となります。
そのため、出荷時の梱包資材には通気性が求められます。
特に近年では長距離輸送や一時的な保管が増加したため、従来の密封された段ボールに代わり、通気性を考慮した段ボールの需要が高まっています。
通気性段ボールが青果物の鮮度を維持する理由は、箱内の温度・湿度が安定しやすく、エチレンガスなどによる品質劣化を防ぎやすい点にあります。
結果として廃棄率の低減やクレームの減少に直結し、物流コストの削減や販売機会の増加を期待することができます。
通気性段ボールの基本構造
通気性段ボールとは、その名の通り箱外と箱内の空気を交換しやすいよう設計された段ボール箱です。
その構造には大きく分けて「通気孔タイプ」と「形状加工タイプ」が存在します。
通気孔タイプの段ボール構造
もっとも一般的なのが通気孔仕様です。
段ボール面の側面や天面、底面に小さな穴(パンチ穴)や長方形の切込み(スリット)が複数設けられています。
これらの通気孔から箱内外の空気交換が促進され、箱内の湿度調整にも寄与します。
また、商品や出荷ルートによっては、通気穴のサイズや位置・数をカスタマイズすることで最適な通気量を実現します。
通気孔のデザインは一見シンプルですが、強度とのバランスが非常に重要です。
穴の数が多すぎれば箱自体の耐荷重性能が落ちます。
そのため、輸送距離や積み重ね状況を考慮し、耐圧強度テストを行いながら設計されることが一般的です。
形状加工タイプの段ボール構造
箱自体を立体的に加工し、空気の流れを作るタイプもあります。
例えば、箱の両側面が湾曲もしくは凹みがついており、内側で青果と段ボール壁面との隙間を意図的に作る構造です。
青果物が段ボールに密着しないことで箱内の通気経路が保たれます。
この構造は特に果実類や葉物野菜など、傷みやすく呼吸量の多い商品で活用されています。
また、箱の組み立て方自体を工夫し、上下に隙間を作り出すことで箱同士を積み重ねても空気が通る設計の段ボールも登場しています。
青果ごとの適切な通気性段ボールの選び方
青果出荷と言っても、商品によって最適な通気性段ボールは異なります。
果実類(りんご、ぶどう、みかん等)
果物は呼吸量が比較的多く、エチレンガスの放出も多い傾向にあります。
そのため複数面に通気穴のある段ボールが推奨されます。
ぶどうは特にカビが発生しやすいため、底面の通気も意識した設計が多くなっています。
また、りんご等の傷みやすい果実は段ボール内にパルプ製のトレイや緩衝材が入るため、通気穴の位置もそれら内部構造に合わせて配置されます。
根菜類(じゃがいも、玉ねぎ等)
根菜類は比較的呼吸が少なく、湿度の上昇にもある程度耐性があります。
そのため、段ボールの強度重視で天面や側面に小さな通気孔のみを設ける仕様が多くなります。
ただし、新じゃがなどは呼吸量が高いため、出荷初期は多孔タイプの段ボールを用いる農家もあります。
葉物野菜(ほうれん草、レタス等)
傷みやすく蒸れやすいため、最も通気性が求められる品目です。
側面・天面・底面の三方向に通気孔があり、さらに内部に紙パックやプラスチックトレイとの組み合わせで湿度コントロールを徹底するケースもあります。
レタスなど結露が発生しやすい野菜には、水分吸収紙が追加される例も見られます。
通気性段ボールの最新事例と技術動向
リサイクル素材を活用した通気性段ボール
環境配慮型の素材として、リサイクル段ボールを用いた通気性タイプも増えています。
通常のリサイクル段ボールよりも高密度なパルプを利用し、強度を保ちつつ通気孔を増やせるよう改良を進めています。
また、植物由来のポリマーを配合し、耐水性や耐久性を向上させた素材も検証されています。
これにより、従来より寿命が長く、繰り返し利用できる段ボールが登場しています。
自動包装機との連携事例
農産地での出荷作業効率化のため、自動箱折り機や箱詰めロボットと通気性段ボールを組み合わせる事例が増えています。
機械でのピッキングに適した形状(取っ手付きや蓋部に窪みのある構造など)が採用されており、機械搬送時のズレや箱崩れが減少。
省人化・省力化と鮮度保持を同時に実現することが可能となります。
多段積み対応型通気性段ボール
物流現場では積載効率が重視されるため、多段積み対応の強度を保持しつつ通気性を確保した段ボールのニーズが高まっています。
具体的には、上下・左右にジョイント部がある構造、箱自体の角に補強材が組み込まれた段ボールが活用されています。
積み重ねた際にも箱全体で通気が確保できる設計となっており、出荷現場や輸送時の荷崩れも防ぎます。
通気性段ボール導入のメリット・デメリット
メリット
まず第一のメリットは、青果物の鮮度保持です。
箱内温度や二酸化炭素濃度が低減し、腐敗を防ぎやすくなります。
次に廃棄ロスの削減です。
クレーム減や返品減によってコストダウンが実現します。
また、商品によっては箱内の結露が抑えられるため、輸送後の見た目品質が維持されやすくなります。
さらに、消費者視点では「高品質な出荷」をアピールでき、ブランド力向上にも寄与します。
デメリット
デメリットとしては、箱の強度と通気性のバランスを取る必要があります。
通気孔が多すぎると段ボール自体が弱くなり、積載・輸送中の破損リスクが高まります。
また、箱の設計が特殊な場合は製造コストが高くなるケースがあります。
加えて、傷みやすい青果の緩衝対策(トレイやパッキング資材追加)が必要となるため、最終的な資材コスト全体を考慮しながら導入計画を立てることが重要です。
選定・発注時のポイント
通気性段ボールを採用する際は、以下のポイントを押さえることが大切です。
・輸送距離・期間の確認:長距離や長期間保管の場合は通気性重視、短距離・短期間は強度重視で選定する。
・積載重量・積み重ね数の考慮:途中で箱潰れが起きないかを事前にテストする。
・青果の品目と呼吸量データの確認:商品ごとに呼吸量やエチレンガス放出量が違うため、最適な穴位置・数をカスタマイズする。
・省力化や機械化との連携:今後自動化予定があれば、ロボット対応型や自動組立可能な箱を選ぶ。
・サンプル提供や試験導入:信頼できる包装資材メーカーに依頼し、サンプルでテストしながら改良を重ねる。
まとめ:青果物流の未来を支える通気性段ボール
気候変動や長距離輸送、消費者の高品質志向に対応するため、通気性段ボールは今や必須の梱包資材となりました。
構造や導入事例は日々進化しており、今後も青果出荷現場の効率化や品質保持の面で、ますます重要性が高まるでしょう。
最適な通気性段ボールの選定と運用によって、青果流通全体の品質向上とロス削減を実現できます。
各農家・販売業者・物流事業者は、最新の段ボール資材と技術情報を積極的に取り入れ、競争力のある青果流通を目指していくことが鍵となります。