再生材を混ぜると物性が安定せず評価が終わらない苦労

再生材を混ぜると物性が安定せず評価が終わらない苦労

再生材の利用は、環境負荷低減や資源循環の観点から現代社会で非常に重要視されています。
一方で、再生材を新材に混合して使用する場合、その物性の安定化が非常に難しいという課題があります。
とくに、樹脂やプラスチックの分野では、再生材混合による物性劣化や変動が現実的な問題となり、評価工程がいつまでも完了しない、という苦労に直面する場面が多くあります。

再生材利用の必要性と現場の課題

再生材利用拡大への社会的要請

地球温暖化対策や環境負荷低減の観点から、メーカーには再生材利用が強く求められています。
リサイクル原料を使うことで、廃棄物削減、CO2排出量の抑制、循環型社会の実現など多くのメリットが示されます。
自動車、家電、包装材、建材など、さまざまな分野で再生樹脂や再生プラスチック材料の利用拡大が加速化されています。

新材と再生材の混合が生む物性の不安定さ

実際の現場では、新材100%では問題なかった製品が、再生材を20%、30%と混ぜていくと物性ばらつきが顕在化します。
たとえば、樹脂の引張強度や衝撃強度、耐熱性、流動性が安定しなくなり、量産試作でも毎回結果が変動する事態になります。
これにより製品評価や認証が通らなくなり、評価サイクルが何度も繰り返され、時間ばかり過ぎていくという苦労を多くの開発現場が経験しています。

なぜ再生材混合品は物性が安定しないのか

再生材は「どこから来たか」が違う

再生材には原料の由来やリサイクル工程の違いにより品質のブレがあります。
回収品のグレード、汚染物質の混入、分子量分布のばらつき、前回利用時の熱劣化レベルなど、原料ごとに異なる背景を持っています。
これが新たな素材に混ざることで、物性の予測が難しくなります。

添加剤や劣化促進物質の影響

再生材の中には、断熱、加熱、機械的粉砕などのプロセスで分解由来成分や添加剤残留が生じる場合があります。
たとえば、界面活性剤、難燃剤、プラスチサイザー、酸化防止剤など、過去の利用や加工によって加えられた成分が混在するパターンが多く、これらが新材との混合時に悪影響を及ぼすこともあります。

バッチごとに異なる物性

リサイクル材はバッチごとに原料が違うことがあり、昨日と今日で同じ比率で混ぜても物性が異なって出てくることが珍しくありません。
ときにはロットごとで大きく色調・見た目・物性が変わることもあり、安定した製品保証が難しくなります。

評価工程が終わらない現場の苦労

試験結果が毎回異なる

再生材を含む新製品の評価では、成形サンプルを使って強度や耐熱性、寸法精度などの試験を繰り返します。
しかし、毎ロットで原料特性が異なるため、一度合格しても次のサンプルでは基準をクリアできない…ということが頻繁に起こり、「いつになったらOK出せるのか」と担当者が頭を悩ませます。

トラブル発生時の原因究明が困難

量産移行後に不良品が発生しても、「再生材由来なのか」「混練工程の問題か」「バッチミスか」と、原因特定に時間がかかります。
再生材の由来特性のバラつきがあるため、設計側や品質保証側が一致した判断を下せず、長期にわたり評価や再設計がループしてしまうケースが多いです。

顧客からのクレームリスク増大

物性が安定しないことで、顧客納入品での性能トラブルや外観不良が発生しやすくなります。
取引先からの問い合わせやリスク説明に多くの時間を取られ、現場担当者の精神的負担も増大します。

再生材利用現場での安定化への取り組み

原料仕入先と連携したトレーサビリティの強化

再生材の由来や製造履歴情報を明確に管理し、バッチごとにロットトレースを徹底することで、「この材料ならどの範囲の物性にあるか」を予測しやすくなります。
最近はサプライヤーと協力して、素材ごとの履歴や性状データを共有する取り組みが拡大しています。

バッチ調整と品質チェックの自動化

混練工程や配合比管理を自動化・センサー化することで、バッチごとの物性をリアルタイムで検知し、フィードバック制御する生産ラインを構築するメーカーも登場しています。
AIやIoTを活用した品質モニタリングにより、ブレが大きいと判断された原料は二次的な用途へ回すなど、用途別マネジメントが実装され始めています。

添加剤や安定化剤での物性補正

再生材由来の劣化や物性低下を補うために、物性改善添加剤や安定化剤、補強繊維などをブレンドする技術も進化しています。
たとえば、界面親和性を高めるコンパチビライザーや、耐熱・耐候安定剤を適切に組み合わせることで、物性ムラを低減する事例が増えています。

今後の再生材利用拡大に向けて

標準化と素材データベースの構築

業界全体で再生材の格付けや標準仕様の策定、物性評価方法の統一に動き始めています。
メーカー間やサプライヤー間で共通フォーマットの素材データベースを整備し、どの原料ならどの程度の再利用性・物性安定性があるか、外部評価に基づく選択基準を作成する流れが進んでいます。

クローズドリサイクルの推進

外部から不特定多数の廃材を集めるのではなく、自社内で出た廃材や限られたサプライチェーン内で循環させる「クローズドリサイクル」の動きも強まっています。
由来が確かな材料でループさせることで、物性の安定性向上が期待されます。

まとめ:評価が終わらない苦労と未来への展望

再生材を混合しての製品開発現場では、物性が安定せず何度も評価・試験を重ねる苦労が現実問題となっています。
その根底には、原料由来のばらつき、トレーサビリティの困難さ、品質コントロールの限界など、多岐にわたる課題があります。
しかし、サプライチェーン全体での品質トレースの強化、混合技術や添加剤活用の進歩、業界での標準化推進によって、徐々に物性安定化に向けた活路が見えてきています。
再生材のメリットを最大化しつつ、「評価が終わらない」苦労を克服するためには、現場の工夫とデータ活用、業界全体の横断的取り組みが不可欠です。
今後も循環型社会の実現を目指し、再生材利用がよりスムーズで安心して進められるよう、現場の声を取り入れた技術革新が期待されています。

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