紙のにおいクレームが意外と多い裏側
紙のにおいクレームが意外と多い理由とは
紙に関連する商品やサービスを提供していると、意外と多いのが「におい」に関するクレームです。
紙そのものは匂わないと考える人も多いですが、実際には「紙のにおいが気になる」「開封したときに独特なにおいがした」といった苦情が多く寄せられます。
この現象の裏側には、どのような事情があるのでしょうか。
ここでは、紙のにおいクレームが多い理由や、紙ににおいがつく原因、そして企業が行っている対策などを詳しく解説します。
紙製品のにおいに対する消費者意識の高まり
コロナ禍で高まった衛生意識
ここ数年で、消費者の衛生意識は非常に高まっています。
新型コロナウイルスの流行以降、マスクや消毒液だけでなく、身の回りのあらゆるものに「清潔」「安全」「無臭」を求める傾向が強くなりました。
その流れで、今まで気にならなかった紙のにおいも、多くの人が気にするようになっています。
においに敏感な人が増えている
ストレスやアレルギー体質の増加も指摘されています。
化学物質過敏症や香害(こうがい)という言葉も浸透し、些細なにおいにも過敏に反応してしまう人が増加しています。
こうした消費者から「紙のにおいが気になる」「体調が悪くなった」というクレームが寄せられているのです。
紙のにおいの正体とその原因
紙原料や製造工程に由来するにおい
紙は、木材パルプや古紙などの原料から作られます。
このパルプを化学処理し、水に溶かし、抄紙機で薄く伸ばして乾燥させるという工程を経て紙になります。
この際に、原料自体のにおいや、加工のための薬品(漂白剤や接着剤)、インクなどの化学物質が残留して、独特のにおいが発生します。
保存・運搬中の環境によるにおい移り
紙は湿気やその他の周囲のにおいも吸収しやすい性質を持っています。
倉庫や運搬トラックが湿気っぽい、あるいは他の商品(洗剤、食品、木材など)と近くに置かれていた場合、そのにおいが紙に移ることが珍しくありません。
紙そのものが劣化して発するにおい
保管期間が長いと、紙に含まれている成分が酸化し、いわゆる「古本のにおい」や「カビ臭」が発生する場合もあります。
こうした劣化に由来するにおいもクレームの大きな原因となります。
紙のにおいクレームが絶えない理由
多様な「においの感じ方」
同じ紙のにおいでも、「懐かしさを感じる」という人もいれば、「不快で頭痛がする」という人もいます。
体質や体調による個人差が大きいため、万人にとって完全に「無臭」にするのは困難です。
ネットやSNS時代のクレーム拡散
消費者が不満を持った場合、SNSや口コミサイトなどですぐに声を上げやすい時代です。
「紙から異臭がした」「開封したら嫌なにおいがついていた」といった投稿が拡散すれば、たとえごく一部の人の指摘だったとしても、企業全体への評判に大きく影響することがあります。
企業側の「盲点」になりやすい
作業現場や工場、または販売現場では紙のにおいに慣れてしまい、社員自身が鈍感になってしまうことが多いものです。
当事者が気づきにくいからこそ、お客様から指摘を受けて初めて気付くというケースが後を絶ちません。
紙のにおいに関する主なクレーム事例
広告やカタログでのにおいクレーム
企業のカタログ・パンフレットは、紙質やインク独自のにおいが残りやすい分野です。
特に高級感を狙った厚手の紙や光沢紙は、インクやコーティング剤のにおいが強く残ることも多いです。
書籍・文房具類でのクレーム
書店の新刊本なども、印刷直後特有のにおいが店内に漂うことがあります。
読書を楽しみにしていたのに、においがきつくて読む気になれないという声も実際に寄せられています。
食品の包装紙や紙袋に対する苦情
食品の包装紙や紙袋に他のにおいが移ってしまい、食べ物自体にそのにおいが感じられることでクレームになることもあります。
また、ギフト包装でも「臭いがする包装紙では贈り物が台無しになった」といった申し立てがなされています。
企業が行う紙のにおい対策
素材選びと製造工程の見直し
においの元となる薬品を極力使用しない製法や、原料となるパルプを高品質のものに切り替えることで、においを抑制する取り組みが進んでいます。
また、洗浄や乾燥工程を強化し、余分な化学物質の残留を減らす努力も行われています。
通気性や保管方法の工夫
できる限り湿気にさらさず、通気の良い環境で紙を保管することが重要です。
出荷前にしっかりと「紙を乾かす」「エアレーション(空気循環)」を取り入れることで、残留したにおいを飛ばす企業も増えています。
消臭技術の活用
特殊なフィルムコーティングや、消臭成分を配合したインクを使う取り組みも一部の企業で試されています。
また、におい検査を専門に行う担当者を配置し、「においなし」という明確な基準に合格した製品のみを出荷するという厳しい運用も取り入れられています。
消費者自身ができる紙のにおい対策
開封後の自然換気
商品を受け取ったときににおいが気になる場合は、まず風通しの良い場所にしばらく置いておきましょう。
多くの場合、数時間から数日でにおいが軽減されます。
こまめな手洗いや手袋の使用
紙の薬品が手に付きやすいため、作業後や読書の合間にはこまめに手を洗いましょう。
敏感な方は使い捨ての薄手手袋を使用するのもおすすめです。
消臭剤や重曹の活用
においが強いままの紙製品には、重曹やコーヒーかすを入れた密封容器と一緒に保管することで、においが徐々に取れることがあります。
ただし、商品や印刷物によっては色あせの原因になることもあるため、少量でのテストをおすすめします。
今後の紙業界とにおい問題の展望
紙離れが進みデジタル化が加速する一方で、なおも冊子・包装紙・文具などは根強く需要があります。
サスティナブル素材へのシフトや、生活者の安全安心志向の高まりによって、紙製品の「無香料」「低臭」「自然志向」はさらに重視される流れです。
各社は今後も製造工程の改良や素材選定に力を入れる必要があります。
また、消費者との対話を重ね、「どんな場面でどれくらいのにおいが許容されるのか」という、きめ細かな調査・ヒアリングも欠かせません。
まとめ
紙のにおいクレームは、想像以上に多く、しかも繊細な問題です。
消費者の健康意識の高まりと情報拡散時代の影響で、企業への指摘が増加しています。
製造時の工夫・保管方法の改良・消臭技術の導入など、業界全体で真摯な対策が求められています。
また、消費者自身も正しい対応方法を知ることで、ストレスやトラブルを最小限にできるでしょう。
今後も「紙とにおい」は、業界・ユーザー双方が向き合い続ける重要なテーマとなりそうです。