飲料OEMにおける小ロット対応が難しい根本的理由
飲料OEMにおける小ロット生産の現状
飲料OEM(Original Equipment Manufacturer)業界では、顧客の多様なニーズや新商品のテストマーケティングの需要から、小ロット生産への関心が高まっています。
しかし、実際には多くのOEM工場で小ロット対応が難しいとされています。
この問題の根本的な理由について詳しく解説します。
飲料OEMの基本的な流れとボリュームの考え方
- 原料の調達
- レシピの設計
- 製造ラインの準備
- 充填・パッケージング
- 検品・出荷
飲料OEM工場は大量生産を前提とした設備や工程が組まれていることが一般的です。
そのため、最小生産ロット(MOQ:Minimum Order Quantity)が設定されており、ある程度の数量を受注しないと生産が成立しません。
原材料と小ロット生産の壁
原材料の調達ロット
飲料の原材料は、例えば果汁、香料、糖類など多岐にわたります。
これらの素材を仕入れる際にも最低注文数(仕入れロット)が設定されています。
小ロットのオーダーで原材料を仕入れようとすると割高になる、またはそもそも発注できない、在庫過多になるという問題が発生します。
原材料の劣化リスク
少量しか使用しない原材料が余る場合、保管していても劣化や風味の変質が起こりやすいです。
そのため、工場側は大量使用できる案件を優先し、小ロットには消極的になりがちです。
ライン稼働効率と洗浄・切替コスト
生産ラインの特性
飲料工場の設備は、ボトリングや缶詰など1分間に数千本単位で生産できる高速ラインが主流です。
このため一回の製造ごとに設備を洗浄・調整・準備しなければならず、少量の生産では設備稼働の効率が極めて悪くなります。
洗浄・消毒・滅菌作業の負担
飲料の種類や味、アレルギー対応などによって都度ラインの洗浄・消毒・滅菌作業が必要となり、この工程には多大な人手と時間がかかります。
小ロット生産の場合、洗浄と生産の比率が逆転しコスト高になります。
生産切替えのロス
異なる商品の切替えには、材料の入れ替え、機械設定の調整、初期流しの廃棄など多くのロスが発生します。
ここでも小ロット対応は非効率となり、工場としては敬遠しやすくなります。
包装資材・パッケージの制約
パッケージ資材のMOQ
飲料OEMのボトル、缶、ラベル、キャップ、ダンボールなどの包装資材も、資材メーカーごとに最小ロットが定められています。
例えばオリジナルデザインのラベルやキャップを作る場合、万単位のオーダーが必要となることがほとんどです。
小ロットではどうしても単価が上がり、採算が取れなくなります。
在庫管理と資材ロス
仕入れた資材を次回生産まで在庫として保管する必要があり、専用資材が余ると廃棄せざるを得ません。
こうした点も小ロット生産を躊躇する一因となっています。
コスト構造の問題
固定費の比重が大きい
飲料OEM生産は設備投資、工場維持、人件費など大きな固定費がかかります。
固定費は生産数が増えれば分散されますが、小ロットだと1本当たりのコストが跳ね上がります。
見積が割高になる理由
多くの工場が小ロット見積もりを割高に設定するのは、原材料や資材、人件費、ライン稼働などの非効率をカバーするためです。
結果的に、大手飲料メーカーが行う大量生産と比べると、マーケットで戦える価格になりにくくなります。
品質保証と規格管理
ロット管理の必要性
飲料は食品衛生法により排出ロットごとの履歴管理や品質保証が厳格に求められます。
小ロット生産ではこうした管理工数が相対的に大きくなり、生産コストへ転嫁せざるを得ない状況になります。
検査コストの負担
官能検査や微生物検査、理化学分析など商品ごとに必要ですが、サンプル数や分析数が少なくてもマンパワーや分析設備は一定のコストがかかります。
小ロット対応可能な製造業者の特徴
多品種・少量生産向き設備の充実
近年は多品種少量生産に特化した小規模OEM工場や、セミオートマチックな設備を導入している事業者も存在します。
こうした事業者では生産ラインが柔軟に切り替えられるため、小ロットでも生産効率を落としにくくなっています。
在庫資材の標準化
また、既存規格ボトルや既成ラベルを利用することで資材コストを抑え、小ロットでも低コストで対応できるよう工夫しているケースもあります。
原材料バルク仕入れの工夫
他社案件と同時に原材料を仕入れたり、同時多発的に複数小ロット品目を生産することで材料ロスや余剰を最小限に抑えている事業者も登場しています。
クラウドベースの受発注・品質保証システム
ITの導入により、リアルタイムで原価計算や原料在庫、ロット管理、検査データ管理などが効率化している近年。
こうした環境下ではロットスケールの調整も以前より容易になりつつあります。
今後の展望と選ぶべきOEMパートナーのポイント
飲料OEM業界における小ロット生産対応の難しさは、工場の生産効率や原材料、資材コスト構造など産業側の事情に根本要因があります。
その一方で、技術革新や供給体制の多様化により、柔軟な対応を進める事業者も増えています。
小ロットでのOEM生産を検討する際には、以下のポイントを押さえてパートナー選びを行うことが重要です。
- 既存で小ロット実績や多品種生産経験があるか
- 標準資材や既成レシピの利用可否
- 原材料や資材の調達・保管体制
- ラインの洗浄・切替しやすさ(生産スケジュール融通性)
- 見積の明確性(コスト明細や割増部分の説明)
今後も健康志向やニッチ商品の増加、SDGs・フードロス対策の流れから、飲料OEMにおける小ロット生産へのニーズは高まることが予想されます。
根本的な難しさを理解したうえで、最先端の取り組みを行うOEMメーカーの活用が、ビジネス成功への近道となるでしょう。