再生ゴムを混ぜると物性が落ち使えないトレードオフ

再生ゴムを混ぜると物性が落ち使えないトレードオフ

再生ゴムは、廃棄されたゴム製品から回収・加工して再利用されるエコフレンドリーな材料です。
環境負荷の低減やコスト削減の観点から、自動車タイヤや工業用ゴム製品など多くの分野で活用が進んでいます。
しかし、再生ゴムを新ゴムに混合すると「物性が落ち使えない」というトレードオフが生じるのも事実です。
ここではその原因や課題、現場での対応策と今後の展望まで詳しく解説します。

再生ゴムとは何か、その特徴を理解する

再生ゴムの製造と主な種類

再生ゴムは、使用済みタイヤや産業用ゴムくずなどの廃棄ゴムを、脱硫などの処理を施し、可塑性を回復させた材料です。
一般的には、粉砕→加熱→化学処理という工程を経て原料に再生されます。
原料ゴムの種類に応じて「再生天然ゴム」、「再生合成ゴム」などに区分されます。

大きなメリットは、廃棄物削減・資源循環・コスト低減にあります。
一方で、化学的・物理的な特性は新品のバージンゴムには及ばず、「強度」「耐摩耗性」「弾性」などに課題を抱えることが知られています。

なぜ再生ゴムを混ぜるのか? その目的

再生ゴムの利用目的は主に2つです。
一つはコスト削減。
新ゴム原料に比べ安価なため、全体としての製品コストを抑制できます。
もう一つはサステナビリティ(持続可能性)の観点から、廃棄物削減や資源循環を目的に再利用するケースが多いです。

再生ゴムを混ぜると物性が落ち使えない理由

主な劣化点:強度・耐久性・弾性の低下

再生ゴムをバージンゴムに混合すると、物性の低下が避けられません。
主に以下の点で品質が劣化します。

・引張強度
・伸び(エラストマー特有の可伸性)
・耐摩耗性・耐老化性
・密着性や気密性

これは、再生段階でゴムの分子構造が損なわれ、架橋(加硫による分子同士の結合)の度合いが低下しているためです。
また、分散性が悪化し、材料間の一体化が難しくなることも影響しています。

分解・再加硫による分子レベルの限界

再生ゴムの製造では、使用済みゴムを化学的・物理的に分解し、再度可塑化処理を行います。
しかしこのプロセスで、架橋点(ゴム分子のつなぎ目)が不均一になり、分子鎖が切断されることが避けられません。
これによって本来の強さ・柔軟性が大幅に減少し、元通りに戻すことが物理的に難しいのです。

さらに、再生ゴムには不純物や添加剤の残存、微細な異物混入も起こりやすくなります。
これが製品品質のばらつきや長期耐久性の低下に直結します。

トレードオフはどこに現れるのか

再生ゴムとバージンゴムの配合比率に応じて、

再生ゴムを多く入れるほどコスト・環境面では有利
物性(とくに強度・耐摩耗性・耐久性)が低下しやすく、最終用途によっては「使えない・合格しない」という事態

という明確なトレードオフが生じます。
特に工業用の重要部品やタイヤのように厳しい物性基準がある部品では、再生ゴムの利用率に厳しい制約がかかります。

どの程度なら再生ゴムを混ぜても問題ないか?

適正配合比率と業界のガイドライン

実際の現場では、「再生ゴムの配合率をどこまで上げられるか?」は製品ごとに異なります。
一般的に、物性を極力維持したまま再生ゴムを利用できる比率は、製品によって5~20%程度とされています。
これ以上多くなると物性低下が顕著となり、「使えない」リスクが高まります。

例えば、自動車用タイヤや高圧ホースなどは、耐久性・耐熱性・安全性が最重視されるため、再生ゴムの配合はほとんど認められません。
一方で、ゴムマット・防振パッド・土木部材など「多少の性能低下が許容される製品」では、20%以上の高配合もみられます。

用途別・物性基準の参考例

– 自動車タイヤ:0~5%(基本的にはバージンゴム100%)
– 工業用ゴムホース:5~10%
– ゴムシート・ポリマーマット:10~20%
– 土木建材用部材:20~50%

ただし、再生ゴム自体のグレードや元になる廃ゴムの品質、さらに混合時の練り技術によって、最終物性は大きく左右されます。
製品仕様書やメーカー規格に十分注意が必要です。

再生ゴムを混ぜた場合の物性評価方法

必ずチェックすべき物性評価項目

再生ゴム配合製品では、下記の物性評価が必須となります。

・引張強度、破断伸度
・引裂き強度、耐摩耗性試験
・硬度・弾性率測定
・耐老化性(加熱・オゾン・紫外線)
・接着力・密着性評価

また、JIS・ISO規格に基づいた試験法(例:JIS K6251 引張試験、K6253 引裂き試験)で客観的な性能評価を行うことが求められます。

実験室検証→現場実装までの流れ

1. 少量生産によるサンプル試作
2. 複数回にわたる各種物性評価
3. 長期耐久試験(オーブン加熱、連続負荷など)
4. 現場使用テスト(実際の環境下での劣化確認)
5. 合格した場合のみ本生産へ移行

物性評価基準をクリアした範囲内で、最大限まで再生ゴムの配合比率を高めることが現場技術者の挑戦であり、各社のノウハウとも言えます。

再生ゴム配合による物性低下への対策

添加剤・補強剤による性能補助

再生ゴム独自の弱点を補うため、補強剤(カーボンブラック・シリカなど)、可塑剤、加硫促進剤などの添加剤投入が積極的に行われます。
とくにカーボンブラックの最適配合は、強度・耐摩耗性をある程度改善可能です。

また、相溶性向上処理剤(界面活性剤、相溶化剤)によって、バージンゴムとの分散性を高める研究も進んでいます。

再生技術そのものの改良・高度化

近年、再生ゴムの品質向上にも技術革新が進んでいます。
たとえば「脱硫プロセス」の高機能化、「ナノレベルでの分散制御」など最新技術により、元の物性により近づいた高品位の再生ゴムが開発されています。
これにより従来よりも高配合が可能になる事例が増えてきています。

今後の展望と再生ゴム利用のポイント

サステナビリティと経済性の両立

再生ゴムの活用は、企業の環境負荷削減・SDGsへの対応としても極めて重要です。
しかし、「安く・環境にやさしい」だけではなく、「使える品質」が絶対条件となります。
本質は、製品の用途・必要性能を明確化し、「再生ゴム%」と「物性」のバランス管理を徹底することです。

ユーザー・取引先からの信頼獲得が必須

顧客やサプライチェーンの信頼を得るには、再生ゴム配合率を明確に公開し、かつ十分な試験データで安全性・性能を保証することが不可欠です。
また、「バージンゴム100%に比べどの程度物性が変動するのか?」を納得できる形で示し、適切な品質管理を徹底することでリスクを低減できます。

まとめ:持続可能な再生ゴム利用には物性低下との賢い折り合いが重要

再生ゴムの活用は、環境負荷削減やコストダウンの面で大きなメリットがある一方、物性低下という重要なトレードオフがあります。
配合率を安易に上げれば「使えない」リスクが高まる一方、適正な範囲内で活用し、添加剤や技術力で弱点をカバーすることが重要です。

製品ごとの用途・必要物性を十分に掴み、最先端の評価・改良を継続することで、機能とサステナビリティを両立したゴム製品づくりが可能となります。
今後も再生ゴムの技術革新が進めば、ますます広い分野で「物性と環境配慮のバランス」を取った高機能リサイクルゴム製品の登場が期待できるでしょう。

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