アンダーカットの形状で離型がスムーズにいかない難易度の高さ

アンダーカットの形状が離型を難しくする理由

アンダーカットとは、成形品や鋳造品の設計において、金型や型から直接引き抜くと部品がひっかかったり、外すことが難しくなる形状を指します。
プラスチック射出成形やダイカスト、ゴム成形など、さまざまな製造現場で頻繁に話題となりますが、その離型難易度は設計者や現場担当者を悩ませる原因となっています。

離型とは、成型や鋳造後に製品を金型または型枠から取り出す工程であり、このプロセスがスムーズに行えない場合、生産効率が大きく低下したり、製品不良の発生や金型の損傷に繋がります。
アンダーカットは、まさにその離型工程の天敵とも言える形状なのです。

なぜアンダーカットは離型を困難にするのか

アンダーカットが難しいとされる理由は単純です。
金型の開閉方向だけで成形品を抜き取ろうとした場合、アンダーカット部分が引っ掛かってしまい、製品が金型から外れなくなります。
また無理に外そうとすれば、成形品が破損する可能性が高まりますし、場合によっては金型自体が損傷することもあります。

たとえば穴あき形状や、横方向に張り出した凹凸、逆テーパ形状などがアンダーカットに該当します。
これらは開閉部の直線方向に型が分離した場合に取り出しが困難になるため、通常の単純な金型設計では対応しきれないのが現状です。

実際に発生する課題例

・成形品のひび割れや欠け
・金型内での取り残しや製品の張り付き
・金型構造の複雑化とコスト増加
・離型時間の延長と生産性の低下

このように、アンダーカットの存在は製品品質や生産コスト、納期全てに大きく影響を与えてしまいます。

アンダーカットへの対策と型設計の工夫

アンダーカット形状での離型問題を解決するには、主に以下の三つのアプローチが考えられます。

1. スライドコアやアンダーカット用部品の設置

最も一般的な方法は、金型に「スライドコア」や「リフタ」と呼ばれる可動部品を組み込み、成形後にこれらのパーツが側方向へ移動してアンダーカットを解除するものです。
スライドコアが動くことで、通常の直線開閉運動では抜けない部分も型から安全に取り外せるようになります。

この方法の長所は、形状自由度が増し設計上の制約が緩和される点です。
一方で型構造が複雑化し、初期費用やメンテナンスコスト、故障リスクが高まるという課題もあります。

2. アンダーカットを避ける設計変更

製品自体の設計段階でアンダーカットを極力排除した形に変更するケースも多いです。
たとえば、角部のR加工、キャビティの分割線変更、凹凸の位置変更などで金型の引き抜き方向と平行になるよう調整します。

この方法は、金型構造が簡素になり生産コストが抑えられる反面、どうしても製品形状に妥協が発生します。
意匠や機能性を重視する場合は、できるだけ早い設計段階で成形プロセス側の意見を取り入れ、妥協案を探ることが重要です。

3. 後加工や部品構成の工夫

どうしてもアンダーカット形状が避けられない場合、成形後に機械加工でアンダーカット部を切削したり、複数パーツ構成にして後で組み立てるといった工夫が取られることがあります。
こうした対応策は、初回成形時の金型コストは削減できる反面、後加工や組立ての手間でトータルコストが高くなるケースも多いです。

金型によるアンダーカット対策の実例

実際の生産現場では、下記のような具体的な工夫がよく見られます。

スライドコア+バネ機構

成形終了時、金型を開く際にバネ力でスライドコアが引き抜き方向へ自動で動く設計です。
自動化率は高いですが、動きの精度やメンテナンス性が問われます。

エアブローによる離型支援

アンダーカット部分に圧縮空気を一瞬吹き付け、製品と型の間に空隙を生じさせることで離型を補助します。
しかし、製品形状や材料によっては効果が限定的です。

特殊離型材や表面処理

アンダーカット部分や型全体にフッ素系コーティングや離型オイルを使い、成形品の離型抵抗を最小化します。
定期的なメンテナンスと材料選定が重要です。

アンダーカット形状の設計ポイントと注意点

アンダーカットを伴う製品設計では、下記の点に最大限注意する必要があります。

早い段階で金型設計者と連携する

3D CADなど設計段階から、金型・成形のプロと連携し、離型性や工程コスト、製品品質への影響を事前検証します。
製品デザインが完全に固まった後ではアンダーカット修正が難しくなるため、「設計イテレーション」の初期段階からの協業が不可欠です。

アンダーカットの寸法公差・肉厚を十分考慮する

微小なアンダーカットでも、部品サイズや型締め圧、材料流動性次第では離型が極端に難しくなることがあります。
特にプラスチック射出成形では肉厚バランスが離型性に大きく作用するため、均一になるよう設計します。
またアンダーカット部の角度(テーパ)も十分に意識しましょう。

製品用途・材質による離型性の違いを把握する

たとえばABSやポリカーボネートのような樹脂は弾性があるため、ある程度のアンダーカット部分でも変形して離型できる場合があります。
一方アルミや亜鉛のダイカスト、硬質樹脂の場合は変形しにくいため、無理な離型は割れなどの不良につながります。

アンダーカット型設計によるコスト構造とリスク

アンダーカット形状が及ぼす金型コストへの影響は大きいです。
スライド機構やリフターなどの追加部材、加工難易度の上昇により、型代が1.5倍〜2倍に跳ね上がることもあります。

また、アンダーカットには以下のようなリスクもついて回ります。

・量産時に金型の摩耗や故障が発生しやすくなる
・離型不良による歩留まりの悪化
・型交換・メンテナンス頻度の増加

これらを踏まえ、高コストでもどうしてもアンダーカットが必要な場合は長期的な製品計画やメンテナンス体制を見越した設計・調達が必要となります。

まとめ:アンダーカット対応には設計段階からの戦略が必要

アンダーカット形状は、製品のデザイン性や機能性を大きく向上させる一方で、離型時の技術的難易度やコスト増大をもたらします。
スムーズな量産や品質確保のためには、できるだけ初期設計段階での調整・妥協案模索が肝要です。
どうしてもアンダーカットが不可避な場合は、スライドコアや特殊機構の導入、後加工や部品分割など複数パターンを比較検討し、現場の知見を活かした最適解を導き出しましょう。

最終的には、「アンダーカット形状=高難易度・高コスト」という基本を理解し、製品ライフサイクル全体で最良の選択をとることが、品質と収益性の両立に直結するのです。

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