アウトドアウェアの防水透湿テスト方法と試験条件設定

アウトドアウェアの防水透湿性とは何か

アウトドアウェアにとって防水性と透湿性は非常に重要な性能です。
登山やハイキング、キャンプなど、自然環境下で活動を行う際には、雨や雪から体を守るだけでなく、内部の湿気や汗を効率的に外部へ逃がす必要があります。
これにより、衣服内の蒸れや冷えを防ぎ、快適な着用感と安全性を確保できます。

防水性とは、生地が水を通さず、中に水が浸入しない性質を指します。
一方、透湿性とは、生地が水蒸気を通過させる性質を指し、これにより汗による湿気が衣服外へと排出されます。
この二つの性能が高いほど、アウトドアウェアの価値はより高まります。

防水透湿テストの重要性

アウトドアウェアの防水性と透湿性はカタログや製品ラベルで確認できますが、これらの数値は試験によって得られています。
メーカーやブランドが掲げるスペックを信頼するためには、適切なテスト方法と公正な試験条件が守られていることが重要です。
消費者にとっては数値が高い製品=快適な製品と考えがちですが、実際には環境や用途によって「十分なレベル」は異なります。
そのため、防水透湿テストの方法や試験条件を知ることは、自身の活動目的に合ったウェア選びの指針となります。

防水性テストの主な方法

防水性を評価するためのテスト方法はいくつか存在します。
日本国内外で主流となっている方法を以下に説明します。

耐水圧試験

耐水圧試験は、防水性能を評価する際に最も一般的な方法です。
この試験では、生地に徐々に水圧をかけ、生地裏側に水滴が染み出した時点の水圧を測定します。
大半の日本製アウトドアウェアはJIS L 1092という日本工業規格を基準にしています。
この規格では、耐水圧10,000mmが「大雨でも耐えられる」目安です。

具体的な試験方法としては、「静水圧法」と「動水圧法」があります。
静水圧法は、円筒状の装置の中に生地を張り、一定速度で水を加えながら裏側の浸透を観察します。
動水圧法は実際の着用シーンを想定し、生地を伸縮やひねりなど運動を与えた状態で耐水圧を測定します。

シャワーテスト

シャワーテストは完成した衣服単体での防水性を確認する方法です。
高い位置から一定量の水を降らせ、縫い目やファスナー部、ポケットなど水が侵入しやすい箇所の状態をチェックします。

透湿性テストの主な方法

透湿性のテストにも代表的な方法がいくつかあり、アウトドアの用途に合わせて選択されます。

水蒸気透過度測定(カップ法)

日本工業規格JIS L 1099の「カップ法」では、生地で蓋をしたカップ内部に塩化カルシウム(乾燥剤)を入れ、所定温度・湿度環境下で一定時間放置します。
カップ内の乾燥剤が吸収した水分量から、水蒸気の透過量(g/㎡・24h)を計算します。
数値が大きいほど優れた透湿性を持つといえます。

水分損失法および発汗ボディ法

より実際的な条件下で透湿性を評価する方法として、「発汗ボディ法」があります。
人間の肌温度や湿度差を人工的に再現し、生地を介してどれだけの水分が外部へ逃げるかを測定します。
この実験はアウトドアウェアの現場着用時に近い条件で評価できるため、より現実的な透湿性の数値を示します。

試験条件の設定と規格基準

防水透湿テストの評価結果は、試験条件の設定によって大きく異なります。
そのため、基準となる温度や湿度、風速などを明確に定めています。

防水性試験の条件

耐水圧試験では、通常、気温20±2℃、湿度65±5%という条件下でテストを行います。
水圧の上昇速度も定められているため、各メーカーでのバラつきを最小限に抑えられます。
また、縫製後の製品試験時は洗濯や摩耗、加水分解など製品寿命に影響する要素も加味することが求められます。

透湿性試験の条件

透湿試験のカップ法では、35℃・90%など高温多湿条件で24時間放置して、水分がどの程度透過するかを測定します。
現実に近い環境下での性能値とするため、温度・湿度のほか、生地の表裏を逆転させて試験することもあります。
ボディ法ではさらに運動や発汗量など着用時の変化も再現しています。

スペック数値の読み方と選び方

アウトドアウェアの選定時、製品ラベルや説明書に記載されている防水性・透湿性の数値の意味を正しく読み取りましょう。

防水性の数値の目安

耐水圧10,000mm
– 一般的な雨に十分対応できる防水性能
– ハイキングやライトな登山におすすめ

耐水圧20,000mm以上
– 激しい雨や長時間の悪天候でも浸透を防止
– 高所登山・長期縦走・スノーアクティビティに最適

透湿性の数値の目安

透湿度5,000g/㎡・24h
– 汗をかく軽い運動に十分

透湿度10,000〜20,000g/㎡・24h
– 本格的な登山・激しい運動中も蒸れにくい

ただし、数値が高いほど快適と単純に比較できるものではありません。
構造や使用するフィルム、ウェアの設計、通気性や防風性などのバランスも重要です。

耐久性試験と実際の着用テスト

ラボでの防水透湿試験は新品状態が前提となりますが、アウトドアでは摩耗や洗濯、経年劣化がつきものです。
そのためメーカーでは、摩擦・屈曲・引き裂きなどの耐久試験も同時に実施し、一定の耐水圧・透湿性を維持できるかを検証しています。
また、実際のフィールドにおける着用テストも欠かせません。
現場で数日間着続けた場合の快適性やトラブルの有無を確認することで、ラボ試験だけでは分からない製品の実力が明らかになります。

国際規格と各ブランドの独自基準

日本のJIS規格や欧米のISO規格、さらにゴアテックスのような独自ラボでの厳格な基準などが存在しており、ブランドごとに表記方法や数値が異なる場合があります。
たとえば、同じ耐水圧10,000mmでもJIS規格とEN(欧州規格)で条件が微妙に違う場合があります。
スペックだけでなく、どの試験方法・どの規格に準拠しているかも確認しましょう。

まとめ:防水透湿テストと自分に合った選び方

アウトドアウェア購入時には、製品カタログなどに記載された「耐水圧」「透湿度」の数値、その裏付けとなるテスト方法や試験条件を必ず確認しましょう。
防水透湿性はアウトドア環境下での安全と快適を左右する重要な性能です。
また、実際の使用シーンや活動強度をイメージし、「必要十分なスペック」と「バランスのとれた設計」を選択することが満足度の高いウェア購入に繋がります。

数値が高ければ高いほど良いというわけではなく、構造や耐久性、アフターメンテナンスのしやすさなども総合的に比較検討しましょう。
各社のテスト方法や基準を知ることで、より自分自身のアウトドアスタイルに合った最良の一着を見つける助けになります。

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