ローズヒップシードオイルの酸化を防ぐ低温圧搾製法

ローズヒップシードオイルとは

ローズヒップシードオイルは、野ばらの果実であるローズヒップの種子から抽出される植物油です。
ビタミンCやビタミンA、リノール酸、リノレン酸などの必須脂肪酸を豊富に含み、古くから美容オイルとして愛用されています。
特に肌のターンオーバー促進、保湿、エイジングケアに役立つことで知られています。
しかし、その高い美容効果を裏付ける栄養素は酸化に弱く、抽出方法や保存状態によって品質が大きく左右されます。

酸化しやすい理由

ローズヒップシードオイルが酸化しやすい最大の要因は、リノール酸とα‐リノレン酸という多価不飽和脂肪酸を多く含む点にあります。
これらの脂肪酸は二重結合を複数持つため、空気中の酸素と結びつきやすく酸化が進行しやすい性質があります。
酸化が進むと、香りが変化し独特の油臭が出たり、赤褐色の色味がくすみ、さらには遊離脂肪酸の増加による肌への刺激リスクも高まります。
そのため、酸化を最小限に抑えながら栄養素を守る抽出法が求められます。

低温圧搾製法とは

低温圧搾製法とは、加熱を極力避けた状態で種子をゆっくり圧搾し、油を搾り取る抽出技術です。
英語ではCold Pressとも呼ばれ、40℃前後以下の温度域で圧力をかけるのが一般的です。
化学溶剤を使用しないため、溶剤残留の心配がなく、種子由来の栄養素をそのまま保持できる点が大きなメリットです。

低温圧搾のプロセス

1. 収穫後のローズヒップを洗浄し、果肉と種子を分離します。
2. 種子を乾燥させ、外殻を砕く前処理を行います。
3. 40℃以下を維持しながらスクリュープレスでゆっくり圧搾します。
4. ろ過して微細な固形分を除去し、ボトリングします。
この一連の流れで加熱工程を省くことで、熱による脂肪酸の変性やビタミンCの損失を防ぎます。

通常圧搾との違い

一般的な高温圧搾や溶剤抽出では、処理温度が80〜100℃に達することが多く、短時間で大量生産できます。
しかし、加熱により脂肪酸が酸化・変質しやすく、デリケートなビタミン類や酵素は失活してしまいます。
一方、低温圧搾は歩留まりがやや低くコストは上がるものの、高品質オイルを得られる点が決定的な違いです。

低温圧搾が酸化を防ぐメカニズム

低温状態を保つことで、脂肪酸の自動酸化反応速度を著しく遅らせられます。
温度が10℃下がると酸化速度は半分以下になるともいわれ、40℃以下に制御する意義は大きいです。
さらに、加熱による過酸化物価（油の酸化度合いを示す指標）の上昇を抑えられるため、抽出直後の鮮度が高まります。
また、溶剤不使用により残留化学物質による二次酸化や肌刺激を回避できる点も重要です。
結果として、開封後もフレッシュな香りと美しい赤みを長期間キープできます。

美容・健康へのメリット

低温圧搾ローズヒップシードオイルはビタミンC、A、Eを豊富に保持し、抗酸化力が非常に高いです。
肌に塗布するとコラーゲン生成を促し、シミ・くすみ・小じわ対策に役立ちます。
リノール酸とα‐リノレン酸は角質層の細胞間脂質を整え、バリア機能を向上させるため、敏感肌の保湿にも最適です。
さらに、皮脂バランスを整える働きがあるためニキビ肌やオイリー肌のケアにも応用できます。
酸化していない高品質オイルなら、飲用サプリメントとして摂取することで体内からも美容と健康をサポートできます。

保存方法と併せた酸化対策

低温圧搾で抽出されたオイルでも、保存環境が悪ければ酸化は進行します。
以下のポイントを守ることで、鮮度を長持ちさせられます。
1. 遮光瓶を選ぶ
ローズヒップシードオイルは光にも弱いので、濃い色の遮光ガラス瓶入り製品を購入します。
2. 冷暗所で保管
開封後は冷蔵庫が理想です。室温保管の場合でも直射日光を避け、25℃以下の暗所に置きます。
3. 早めに使い切る
内容量30mL程度の小容量を選び、開封後は2〜3か月以内に使い切ると安心です。
4. 空気との接触を減らす
使用後はすぐキャップを閉め、スポイト付きの場合は残留オイルをティッシュでふき取ると劣化を抑えられます。

購入時に確認すべきポイント

1. ラベルに「Cold Press」「低温圧搾」表記があるかをチェックします。
2. オーガニック認証やISOなど品質管理規格を取得しているか確認すると信頼性が高まります。
3. 製造年月日、開封後使用期限が明記されている製品を選びます。
4. 添加物や保存料の有無も重要で、無添加の方が酸化の進行目安を正確に把握できます。
5. テクスチャーや色、香りをサンプルで確かめられる店舗なら、フレッシュさを体感してから購入できます。

まとめ

ローズヒップシードオイルは美容成分が豊富でありながら酸化しやすいデリケートなオイルです。
低温圧搾製法を採用することで、熱による栄養素の破壊や酸化を抑え、新鮮なままボトルに閉じ込めることができます。
さらに遮光瓶や冷暗所保管など保存方法を徹底することで、開封後も高い美容効果を維持できます。
購入時には「低温圧搾」であることを必ず確認し、小容量で早めに使い切ることが理想です。
正しい抽出法と保存法を押さえたローズヒップシードオイルを選ぶことで、日々のスキンケアや健康維持に最大限のメリットを享受できます。