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銅は高い熱伝導率と電気伝導率を兼ね備えた非鉄金属です。
軟らかく加工性に優れる一方、純銅は高温での強度低下が早いという弱点があります。
そこで亜鉛、ニッケル、クロム、ジルコニウムなどを添加して合金化し、機械的強度や耐食性を高めた銅合金が数多く開発されています。
その中でもエネルギー産業で求められるのは、高温環境下でも形状を維持し熱交換効率を落とさない材料です。
銅合金は軽量で加工性が良好なため、鉄鋼系耐熱材料よりも複雑形状を容易に作製できるという利点があります。
発電プラントや熱エネルギー変換装置では、部材が400〜800℃に達するケースが増えています。
この温度域ではクリープ変形、酸化皮膜の成長、相変態による脆化などが同時進行し、材料寿命を大きく左右します。
銅合金は酸素との親和力が低いため表面酸化は緩やかですが、結晶粒界拡散が速いためクリープ破断が起こりやすい点が課題です。
また高熱伝導による急激な温度勾配が組織に熱応力を発生させることも無視できません。
このため合金設計と組織制御、さらに表面改質を組み合わせた耐高温性向上技術が重要になります。
母相中に元素を均一に固溶させることで格子を歪ませ、原子の移動を阻害し強度を高めます。
クロムやコバルトを0.5〜2.0質量%添加したCu-Cr、Cu-Co系合金は650℃付近まで高温強度が維持でき、導電率低下も比較的小さいのが特徴です。
ただし固溶度限界を超えると析出物が粗大化し、かえって脆化するため急冷と時効処理の工程管理が欠かせません。
溶体化後に時効処理を行うことで、Cu基中に微細なCr2Nb、Ni2Siなどの析出物を形成し転位運動を阻害します。
特にCu-Ni-Si系合金は700℃近くでも伸びを保持し、電気伝導率が50%IACS以上を確保できるため高効率発電機の導体として注目されています。
析出粒子は10〜50nm程度が最も有効であり、熱履歴が長い設備では粒子粗大化を抑える追加の熱処理や再析出技術が研究されています。
機械合金化や急速凝固で酸化アルミナ、チタンボラードなどを数十nmで均一分散させ、結晶粒内滑り系をピン止めします。
いわゆるODS(酸化物分散強化)銅は800℃以上でのクリープ耐性に優れ、核融合炉のファーストウォール材としての採用検討が進んでいます。
課題は粉末冶金工程が高コストで大型部材の製造が難しい点であり、積層造形と組み合わせた工法開発が活発です。
装置部材の表面だけを強化し内部は高導電性を保つ方法も有効です。
化学気相析出によるCr-N層や、レーザークラッディングによるNiCrAlY皮膜は900℃での酸化抑制と耐摩耗性を同時に向上させます。
熱伝導を損ねないよう皮膜厚を50µm以下に制御する設計がポイントで、プラズマスプレー後の溶融再凝固処理で密着性を高める手法が実用化しています。
超々臨界圧火力発電では蒸気温度が600℃を超え、鋼材のみでは熱疲労により肉薄化が進行します。
そこでCu-Ni-Cr合金を内面クラッドした二重管を用いることで、外層が熱と圧力を支え内層が熱伝導を高めるハイブリッド構造が採用されています。
チューブ効率が2〜3%向上し、CO2排出量削減にも寄与します。
加圧水型炉では中性子照射による脆化と腐食が問題となります。
Cu-Be合金に少量のZrを添加した材料は、照射損傷回復能が高く、350℃付近での応力腐食割れ感受性が低減します。
さらに高熱伝導により燃料集合体の温度均一化が図れ、燃料消費効率が向上する効果も報告されています。
太陽熱集光システムのヒートパイプや地熱発電の熱交換器では、温度勾配が大きく腐食性流体に晒される環境が存在します。
Cu-Al-Ni-Si系合金は耐食性に優れ、500℃での熱疲労寿命が従来銅合金の2倍に伸長し、メンテナンス回数を半減させています。
また海洋温度差発電ではODS銅を用いた薄肉コンデンサープレートが実証段階に入り、設備の小型軽量化が期待されています。
銅合金の耐高温性は、強度だけでなく高導電率と加工性を共存させる点が難題です。
近年は第一原理計算と機械学習を併用した合金設計プラットフォームが登場し、膨大な組成の中から最適解を迅速に導出する試みが増えています。
また、積層造形技術の進展により、内部に冷却チャネルを一体成形した複合構造体を作ることで、銅合金の熱伝導を最大限活用する設計が可能になりました。
環境面ではリサイクル適性向上も重要です。
銅はリサイクル効率が高い金属ですが、添加元素が多様化すると分離工程が複雑になります。
そのため低添加で高性能を発揮するミニマムアロイ化や、役目を終えた後に選択的に元素を除去できる可逆合金化の概念が検討されています。
銅合金は本来の高熱伝導・高導電という特性を維持しつつ、合金設計や表面改質技術によって耐高温性を大幅に改善できます。
固溶強化、析出強化、ディスパージョイド強化、表面改質は相補的な手段であり、用途に応じて組み合わせ最適化することが鍵です。
エネルギー産業では火力、原子力、再生可能分野にわたり応用が広がり、設備効率向上と温室効果ガス削減に貢献しています。
今後はデジタル設計と積層造形を活用した高機能部材の開発、さらにリサイクルを見据えたサステナブルな銅合金技術が進展すると期待されます。

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