ナノシリカ複合繊維の開発と断熱材料応用

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ナノシリカ複合繊維とは

ナノシリカ複合繊維は、ナノメートルサイズのシリカ粒子を高分子繊維内部または表面に均一に分散させた機能性繊維です。
シリカの高い熱安定性と低熱伝導率を繊維形態に付与することで、軽量で柔軟性に富む断熱材料として注目されています。
従来の多孔質シリカボードやウール状断熱材に比べ、繊維形状は曲面への追従性や複雑形状への適合性が高く、建築、自動車、ウェアラブルの各分野で幅広い応用が期待されています。

開発の背景

2050年カーボンニュートラル実現に向け、省エネルギー化は産業界共通の課題です。
特に建築物の空調負荷削減や輸送機器の燃費向上には、高性能で軽量な断熱材が不可欠です。
しかし、既存の無機断熱材は脆性が高く加工性に乏しいという弱点があり、有機系発泡体は耐熱性と長期信頼性に課題がありました。
そこで、無機シリカの耐熱性と有機繊維の柔軟性を兼ね備えたナノシリカ複合繊維が新たなソリューションとして研究されるようになりました。

ナノシリカ複合繊維の製造プロセス

ゾルゲル含浸法

もっとも一般的な手法は、プレカーサー溶液を既存の不織布に含浸し、ゾルゲル反応で繊維内部にシリカを析出させる方法です。
エタノールやメタノールを溶媒とし、テトラエトキシシラン(TEOS)を加水分解縮合させます。
pH制御と触媒量を最適化することで、粒径20nm未満のシリカを均一に形成できます。

紡糸時分散法

ポリイミドやポリアミドの溶融紡糸中に表面改質したシリカナノ粒子を分散させ、繊維と同時に引き出す方法です。
シランカップリング剤で粒子表面を有機化することで、樹脂マトリックスとの界面密着性を向上させます。
高速延伸工程で粒子が繊維軸方向に配向するため、熱伝導率の異方性制御も可能です。

電界紡糸法

ポリマー溶液とナノシリカ分散液を電界下で静電紡糸することで、平均径数百nmのナノファイバーを得る技術です。
ファイバー同士の接触点が多く、三次元多孔構造となるため、さらなる低熱伝導化が期待されます。
溶媒蒸発過程で粒子が繊維表層に偏在しやすく、表面エネルギー操作が重要になります。

物性評価

熱伝導率

気孔率70%以上の複合不織布では、室温で0.020W/m·K前後の値が報告されています。
これは一般的なグラスウール(0.035W/m·K)より約40%低く、真空断熱パネルに匹敵する性能です。
さらに350℃まで上昇させても0.040W/m·K以下を維持できるため、高温プロセスラインの保温材としても有望です。

機械的強度

繊維基材にポリアミドイミドを採用すると、引張強度200MPa以上、曲げ半径2mmでも亀裂が入らない柔軟性を両立できます。
シリカ粒子は繊維の歪みを部分的に拘束しますが、界面設計を最適化することで延伸特性の低下は最小化できます。

耐湿・耐薬品性

シリカは無機化合物で加水分解しにくく、耐酸・耐アルカリ性も高いです。
複合繊維では、表面に形成されたシリカネットワークがバリア層として機能し、ポリマーの吸湿や溶剤侵入を抑制します。
その結果、長期の熱湿複合試験(85℃/85%RH, 1000h)後でも物性劣化率5%未満が確認されています。

断熱材料への応用事例

建築断熱シート

厚さ5mmの複合不織布をアルミ蒸着フィルムでラミネートし、屋根裏や壁面に施工するシート材が開発されています。
既存の発泡ウレタンに比べ、同等の断熱等級を30%薄い厚みで達成でき、室内空間の有効利用に貢献します。

電気自動車用バッテリーパック断熱

EVバッテリーは150℃を超えるサーマルランアウェイに備えた熱遮断層が求められます。
ナノシリカ複合フェルトは、30秒以内に500℃まで急加熱されても裏面温度が80℃以下に抑えられる性能を示しています。
軽量かつ柔軟なため、各セルの隙間に容易に挿入でき、安全性とエネルギー密度向上を両立できます。

ウェアラブル断熱繊維

低熱伝導率と赤外線反射性を兼ね備えた複合糸を織布化し、防寒衣料やアウトドアギアに応用する研究も進んでいます。
人体の放射熱を効率的に保持し、従来より20%薄い生地でも同等の保温効果を実現できます。
洗濯耐久性試験50サイクル後でも断熱性能がほぼ変化しない点が特徴です。

市場動向と今後の展望

2023年時点の断熱材市場は世界で約700億ドル規模ですが、柔軟・高耐熱タイプはまだ全体の5%に留まります。
ナノシリカ複合繊維は、このニッチ分野で年率20%以上の成長が予測されており、2030年には市場規模100億ドルを超えるとの試算もあります。
量産コストの主因はシリカ前駆体と分散プロセスのエネルギー消費にありますが、ソルライク触媒の高活性化や連続含浸ラインの自動化で30%のコストダウンが報告されています。
また、リサイクルに向けた熱分解回収技術も開発され、サーキュラーエコノミー対応が進みつつあります。
今後は、シリカ以外のナノアルミナやエアロゲルを複合化し、さらなる低熱伝導と難燃性向上を狙う多機能化が鍵となります。

まとめ

ナノシリカ複合繊維は、無機シリカの優れた断熱性と有機繊維の柔軟性を融合した革新的材料です。
ゾルゲル含浸、紡糸時分散、電界紡糸など多様な製造法が確立され、0.020W/m·K前後という極めて低い熱伝導率と高い機械強度を両立できます。
建築、EVバッテリー、ウェアラブルといった領域で実装が進み、省エネルギー社会の実現に大きく寄与することが期待されます。
コスト低減とリサイクル技術の確立が今後の普及拡大のカギであり、産学官連携による研究と市場導入が重要になります。
軽量・高性能な断熱材を求める世界的な潮流の中で、ナノシリカ複合繊維は今後10年で断熱技術の主役となる可能性を秘めています。

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