貴社の強みや特徴を一言で表現
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ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)は、汎用プラスチックの中でも特に流通量が多いポリオレフィン系樹脂です。
共通して軽量で耐薬品性に優れ、リサイクル性も高い点が評価されています。
一方で結晶化度や分子構造の違いにより、成形特性や物性には明確な差異があります。
まずはそれぞれの基本的な特徴を整理し、選定の前提を固めましょう。
ポリプロピレンの融点は約160〜170℃で、ポリエチレンより高温域に位置します。
高密度ポリエチレン(HDPE)の融点は約130℃、低密度ポリエチレン(LDPE)は約110℃が目安です。
そのためPPは射出成形時のシリンダー設定温度が200〜240℃程度とやや高く、PEは180〜220℃程度で十分に溶融します。
用途が高耐熱性を要求する場合、PPの優位性が際立ちます。
流動性の指標となるMFR(メルトフローレート)は、PPもPEもグレードごとに広いレンジが用意されています。
一般的には同じMFR値でもPPのほうが剪断感受性が高く、射出圧力を下げやすい傾向があります。
一方、LDPEは分岐構造が多いため粘弾性が高く、フィルム加工時のネックインを抑制できます。
PPの成形収縮率は1.0〜2.5%程度で、PEより大きくなるケースが多いです。
特に結晶化速度が速い同系PPでは、冷却条件によって寸法ばらつきが発生しやすい点に注意が必要です。
HDPEの収縮率は1.5〜3.0%と幅広いものの、結晶構造が安定しているため肉厚差による歪みが比較的小さいメリットがあります。
両者とも酸・アルカリ・溶剤に強いですが、耐候性や耐熱性を比較するとPPがやや優れています。
PPの連続使用温度は100℃前後、PEは80℃前後が目安です。
紫外線に対してはどちらも劣化しやすいため、屋外用途では酸化防止剤や光安定剤の添加が必須です。
複雑形状や精密部品では、剛性の高いPPが有利に働きます。
ヒンジ特性を活かしたワンピースキャップや開閉部品もPPの代表例です。
PEは肉厚形状や応力緩和が必要なタッパーウェア、コスメ容器に適しています。
フィルム押出では、透明性とヒートシール性を備えたLDPEが主流です。
ラミネート基材には剛性確保のためPPキャストフィルムやHDPEブローシートが採用されます。
パイプやチューブは耐圧性重視でHDPEを、軽量ダクトや帯電防止用途ではPPを選ぶケースが増えています。
PEは溶融強度が高くパリソンのダレが少ないため、大型タンクやポリドラムに最適です。
PPブロー成形品は透明性と耐熱性を兼ね備え、ホットフィル用ボトルや電子レンジ対応容器で需要が拡大しています。
シート成形では成形温度の幅が広いPPがトレイや弁当容器に活躍します。
PEシートは柔軟性を活かした緩衝材や医療トレーに用いられ、低温耐衝撃性を求められる冷凍食品向け包装で強みを発揮します。
電子レンジ加熱が想定されるレンジアップ容器は、耐熱性の高い耐衝撃PP(ワザマックPPなど)が定番です。
一方、低温シール適性を要する冷菓フィルムにはLDPEが重宝されます。
バリア性を高めたい場合は、PPやPEにエチレンビニルアルコール(EVOH)を多層共押出する提案が増えています。
家電筐体では耐熱120℃グレードのタルク配合PPが主流で、塗装レスの意匠性を実現できます。
自動車のバッテリーケースや内装リテーナーには剛性と耐薬品性に優れるPPが採用される傾向が顕著です。
HDPEは燃料タンクやウォッシャータンクで高い耐薬品性と耐衝撃性を示し、安全基準を満足させています。
高圧蒸気滅菌が必要なディスポーザブル医療器具には、耐熱オートクレーブ用PPが選択されます。
一方、柔軟な触感と低吸湿性を求める点滴バッグ、カテーテルにはLLDPEやEVA変性PEが使われます。
一般的にPEの原料単価はPPよりわずかに高いものの、成形機設定温度が低くエネルギーコストを抑えられる利点があります。
PPは剛性が高いため肉薄化が可能で、同じ強度を確保しつつ樹脂使用量を低減できます。
リサイクル面では、両者とも単一素材であればマテリアルリサイクルが容易です。
ただし多層フィルムや着色部品は分別工程の負荷が増すため、設計初期からモノマテリアル化と顔料選定を検討することが重要です。
1. 使用温度範囲を確認し、連続使用温度が80℃を超える場合はPPを候補にする。
2. 曲げ剛性が要求される構造体、またはヒンジ構造が必要な場合はPPを優先する。
3. 低温衝撃性や柔軟性が重視される包装材にはPEグレードを比較検討する。
4. 厚肉形状や大型ブロー成形品ではHDPE、成形安定性を取るならPPブローも視野に入れる。
5. コストと環境負荷を低減したい場合、肉薄成形や発泡化技術との相性が良いPPを活かす。
ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)は、化学的には同系統でも成形温度、流動性、物性に明確な差があります。
耐熱性と剛性を要する場合はPP、柔軟性と低温特性を要する場合はPEが選定の基本軸になります。
さらに成形方法、用途環境、コスト、環境対応を多角的に評価することで、最適な材料選定が可能となります。
本記事の比較ポイントとフローチャートを活用し、製品仕様に最適なポリオレフィン材料を選定してください。

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