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牛革のクロムタンニングと植物タンニングにおける品質の違いと加工法【業界向け】
タンニングは原皮に含まれるコラーゲン繊維を安定化させ、腐敗を防ぎ、革としての耐久性と弾力性を付与する化学処理です。
牛革の場合、主流となるのはクロム塩を用いた「クロムタンニング」と、植物由来のタンニンを用いる「植物タンニング(ベジタブルタンニング)」の二系統に大別されます。
両者は化学反応の仕組みや最終物性が大きく異なるため、製品用途や加工ライン設計に際して適切な選択が不可欠です。
クロム3価塩(主に塩基性硫酸クロム)がコラーゲン繊維と配位結合を形成し、繊維間を架橋します。
この反応は短時間で進行し、pH3前後の酸性条件から徐々に塩基度を高める「ベーシック化」によって革内部へクロムが均一に浸透します。
クロム鞣し革は繊維間架橋が緻密なため、薄く軽量でも高い引張強度と伸び性能を兼備します。
耐熱収縮温度は100℃前後まで向上し、アイロンやスチーム処理でも収縮しにくいです。
吸湿率が低く、形状保持性に優れるため、靴アッパーや自動車シートなど寸法精度が要求される用途で重宝されます。
1. ピックリングで原皮を酸性条件に調整。
2. クロム槽で短時間(2~4時間)回転ドラム鞣し。
3. ベーシック化によりクロム定着率を高める。
4. ネイキッドラン、再鞣し、染色、加脂、乾燥、仕上げの各工程へ移行。
排水中のクロム濃度規制や6価クロム化リスクが課題です。
近年は三価クロムの回収再利用技術や、クロムフリー鞣し剤への転換が進んでいます。
作業者の皮膚感作性にも注意が必要であり、適切な個人防護具と換気が必須です。
タンニン酸、没食子酸、ケブラコ酸などポリフェノール系化合物がコラーゲン親水部位と水素結合し、繊維間を架橋します。
反応は比較的穏やかで、長時間の浸漬(24~72時間)を要します。
植物鞣し革はコシが強く、硬さとハリがありながら経年で柔軟に馴染む特徴があります。
タンニンが紫外線や酸化で変色するため、深みあるエイジングと艶が期待できます。
一方で耐熱収縮温度は80℃前後とクロム鞣しより低く、吸湿率が高く寸法安定性に劣ります。
1. ライム脱毛後、水洗・脱灰・酵素処理で繊維を開繊。
2. ピット槽またはドラムにて段階的にタンニン濃度を上げながら浸漬。
3. 天然油脂主体の加脂と自然乾燥で繊維を保護。
4. ナチュラル仕上げやアニリン仕上げで素材感を重視。
クロム鞣しは薄厚でも高強度、耐折性能に優れます。
植物鞣しは厚み保持による耐摩耗性があり、刃物傷にも強いですが、過度な折り曲げには割れやすいです。
クロムは色調変化が少なく、仕上げ塗膜が長期保持されます。
植物鞣しは日光や油分で深い飴色へ経年変化し、ユーザー参加型の育成を楽しめます。
クロムは染料親和性が高く、鮮やかな発色と均一性が得やすいです。
植物鞣しはタンニン本来の茶系バイアスが残るため、深色系やアースカラーに適します。
クロムは処理時間が短く、ドラムワーク主体で大量生産に向きます。
植物鞣しは長期ピット浸漬が必要で、回転率が低い分コストが上昇しますが、高付加価値商品で採算をとるモデルが確立されています。
クロム鞣しは軽量ジャケットやパンツでしなやかさを提供。
植物鞣しはベルトやホルスターなど厚物服飾資材に適します。
アッパーやファッションバッグにはクロム鞣しで成型性と色の自由度を確保。
ハンドバッグの持ち手やサドルバッグでは植物鞣しで重厚感を演出。
車両シートや高級ソファはクロム鞣しで耐熱・耐光性能を重視。
クラフト家具のフットストラップなど視覚的アクセントには植物鞣しのナチュラル感が好適です。
クロム鞣しは薄いブルハイドでも均質化しやすいですが、植物鞣しは厚いステアやブルを推奨。
血筋やスカ刺しは植物鞣しで目立ちやすいので歩留まりに影響します。
クロム鞣しでは3→4.5のベーシック化タイミングがクロム定着率を左右します。
植物鞣しではバッファ力の高いタンニン液を段階調整し、pH4~5を維持すると斑点や黒ずみを防げます。
クロム排水は凝集沈殿による回収、タンニン排水は生物分解性が高いもののCOD対策が必須です。
REACH規制やLWG(Leather Working Group)プロトコルへの準拠が海外取引で求められます。
グルタルアルデヒド前鞣しと樹脂鞣しの複合技術により、クロム同等の耐熱性を達成する試みが進行中です。
食品副産物から抽出した没食子酸や茶葉タンニンを活用し、CO2排出削減を図る動きが活発化しています。
使用済み革の粉砕再鞣しやゼロリキッド排水工場の建設など、ライフサイクル全体を意識した革づくりが求められています。
クロムタンニングと植物タンニングは化学機構、物性、環境負荷が大きく異なり、製品仕様と顧客体験に直結します。
大量生産と鮮明な染色、寸法安定性を重視するならクロム鞣しが最適です。
一方、エイジングやサステナビリティ、厚物の質感を訴求するなら植物鞣しが優位に立ちます。
原皮選定から排水処理に至るまで一貫した品質管理を行い、市場ニーズに合わせたハイブリッド鞣しや新規メタルフリー技術にも目を向けることで、レザービジネスの競争力を高められます。

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