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ポリカーボネートとアクリル樹脂は、いずれも透明性に優れる熱可塑性樹脂です。
ポリカーボネートは略してPCとも呼ばれ、ガラス並みの透明度と高い耐衝撃性を両立します。
一方、アクリル樹脂はPMMA(ポリメタクリル酸メチル)とも言われ、光学特性と表面硬度の高さが特徴です。
両者は見た目が似ているものの、強度や耐熱性、加工性、コストなどで明確な差があります。
引張強度はアクリル樹脂が60〜70 MPa、ポリカーボネートが55〜65 MPa程度と、数値上は大差ありません。
しかし、曲げ強度ではポリカーボネートが優位です。
PCは高い延性を持つため、荷重がかかっても破断せずに変形し、エネルギーを吸収します。
耐衝撃性は自動車部品において重要な指標です。
アクリル樹脂のノッチ付きアイゾット衝撃値は1.5〜3 kJ/m²程度ですが、ポリカーボネートは60〜90 kJ/m²と桁違いに高い数値を示します。
そのため、飛石や衝突など突発的な外力が想定される部位にはポリカーボネートが適しています。
ポリカーボネートの荷重たわみ温度(HDT)は125〜135 ℃で、アクリル樹脂の90〜100 ℃より高く、エンジンルーム付近や高温多湿環境でも形状を保持しやすいです。
自動車部品は夏季の車内温度が80 ℃を超えるケースもあるため、耐熱マージンが大きいポリカーボネートの方が安心して採用できます。
アクリル樹脂はモース硬度3程度でガラスに近い硬さがあり、擦り傷が付きにくいのがメリットです。
ポリカーボネートは表面硬度がやや低く傷が入りやすいものの、ハードコート処理を施すことで十分な耐傷性を付与できます。
ヘッドランプレンズは従来ガラス製でしたが、軽量化の流れでポリカーボネートが主流です。
高い耐衝撃性で飛石による割れを防ぎ、ハードコートで黄変や傷も抑制できます。
一方、テールランプや方向指示器のレンズは高い光学透明度が求められるため、アクリル樹脂も根強く採用されています。
近年はパノラマルーフやサンルーフの透明グレージング材として、ポリカーボネートが採用され始めています。
インストルメントパネルやセンタークラスターの加飾パネルには、傷に強いアクリル樹脂が好まれます。
ただし、ADAS(先進運転支援システム)のディスプレイ大型化でパネルが薄肉化すると、衝撃で割れる危険が増します。
この場合、ポリカーボネートが安全性の高さから選択されるケースが増加しています。
レーダーやLiDARなど車載センサー用のカバー材には、高周波透過性と耐候性が求められます。
ポリカーボネートは樹脂自体の誘電率が低く、長期屋外暴露でも機械特性が劣化しにくいことから、先進安全装備の外装部品に採用が進んでいます。
アクリル樹脂は溶融粘度が低く、微細意匠の転写性が高いため光学部品に最適です。
ポリカーボネートは粘度が高く離型性がやや劣るものの、金型温度を上げれば寸法精度を確保できます。
ポリカーボネートは耐薬品性と耐傷性が弱点です。
自動車外装に使う際はハードコート処理が必須であり、プラズマCVDや紫外線硬化型塗装などが主流です。
アクリル樹脂も耐候性向上のためにハードコートを施すことがありますが、基本特性が高いためコーティング厚を薄くでき、コスト低減が可能です。
自動車業界ではEU ELV指令により、リサイクル性が重視されています。
アクリル樹脂は熱分解しやすくマテリアルリサイクルには難点がある一方、ポリカーボネートは粉砕再溶融で物性を保持しやすいです。
さらに、バイオマス由来のアイソソルビドを用いたバイオポリカーボネートが登場し、環境性能の向上が期待されています。
原材料価格は一般的にアクリル樹脂が1 kgあたり300〜400円、ポリカーボネートが450〜600円程度で、PCがやや高価です。
しかし、ポリカーボネートは高い耐衝撃性のおかげで補強リブを減らせるため、部品点数や組立工数を削減し、トータルコストで逆転するケースもあります。
製品寿命中の保証リスク低減も経済的メリットとして無視できません。
1. 衝撃負荷の大きい外装部品やセンサーカバーはポリカーボネートを推奨します。
2. 高い透明度と表面硬度が求められる照明レンズや内装意匠はアクリル樹脂が適しています。
3. 耐熱性が重要なエンジンルーム周辺では、ポリカーボネートが安全マージンを確保します。
4. コスト重視で、かつ衝撃リスクが低い用途ならアクリル樹脂を選ぶとメリットがあります。
・バイオポリカーボネートの量産化により、CO₂排出量を30%以上削減する見込みがあります。
・アクリル樹脂ではナノフィラーを配合した高衝撃PMMAが開発中で、耐衝撃性が3倍に向上すると報告されています。
・ポリカーボネートとアクリル樹脂を多層構造にしたハイブリッドシートが登場し、両者の強みを併せ持つ材料として注目されています。
ポリカーボネートは抜群の耐衝撃性と耐熱性で自動車外装・機能部品に適しており、アクリル樹脂は高い表面硬度と光学特性から内装やランプレンズに強みがあります。
両材料の強度特性はそれぞれ得意分野が異なるため、部品の使用環境やデザイン要求、コスト目標を総合的に考慮して選定することが重要です。
電動化や自動運転の進展に伴い、軽量・高機能な透明樹脂の需要はますます高まります。
ポリカーボネートとアクリル樹脂の特性を理解し、最適設計を行うことで、安全性とデザイン性、環境性能を同時に満たす自動車部品開発が実現できます。

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