ラベル印刷の高耐久性インクと特殊加工技術

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ラベル印刷に求められる高耐久性とは?

商品の流通経路がグローバル化した現在、ラベルは製造現場から物流、販売、消費者の手元まで長期間にわたり貼付されたまま使用されます。
その間に受ける紫外線、摩擦、水分、薬品、温度変化などの外的ストレスから情報を守るため、高耐久性インクと特殊加工技術が欠かせません。
印字のかすれや色褪せが起こるとバーコードが読み取れず、トレーサビリティやブランドイメージに大きな損害を及ぼします。
そのため、ラベル印刷では耐光性、耐摩耗性、耐水性、耐薬品性といった複数の性能が総合的に求められるのです。

高耐久性インクの種類と特徴

高耐久性を確保する第一の要素はインクそのものです。
代表的なインクの種類と特徴を見ていきます。

UVインク

紫外線照射で瞬時に硬化するインクです。
溶剤が揮発しないため環境負荷が低く、乾燥時間が不要で生産性が高い点が利点です。
硬化後は高い耐摩耗性と耐薬品性を発揮し、屋外でも色褪せしにくい特性があります。

溶剤(ソルベント)インク

樹脂や顔料を有機溶剤に溶かしたインクで、幅広い素材に密着します。
耐候性と発色性が高く、屋外サインや工業ラベルで実績がありますが、VOC排出への対策が必要です。

レジンインク

樹脂成分を多く含み、熱によって定着させるタイプです。
熱転写プリンタ用リボンとして使用されることが多く、耐擦過性と耐薬品性が極めて高いのが特徴です。
医療、化学薬品、自動車部品など厳しい環境向けラベルに最適です。

顔料インク

水性でも顔料粒子を使用することで耐光性が高く、長期掲示用に適します。
近年は水性顔料インクジェットでGHSラベルや食品パッケージに採用例が増えています。

特殊加工技術で耐候性をさらに高める

インクだけでなく、表面保護や意匠性を向上させる特殊加工技術を組み合わせることで、ラベルの寿命は大きく伸ばせます。

ラミネート加工

透明フィルムを熱圧着または粘着で貼り合わせ、物理的な摩擦や薬品から印刷面を保護します。
グロス、マット、アンチスクラッチなど機能性フィルムを選択でき、QRコード読取性の向上にも寄与します。

ニスコーティング

UVクリアニスを全面または部分に塗布し、硬化させる手法です。
光沢感を付与しつつ、インク層をシールできるため耐水性が向上します。
エンボスクリアやソフトタッチなどの質感で高付加価値化も可能です。

箔押し・転写

金属光沢箔やホログラム箔を熱と圧力で転写し、視認性と偽造防止性能を高めます。
さらに箔層がバリアとなり、紫外線の透過を抑制する副次効果があります。

エンボス・デボス加工

凸凹を作り立体感やリッチな手触りを演出します。
物理的にインク層が直接触れにくくなるため、擦過ダメージの軽減にもつながります。

インクと加工技術の組み合わせ事例

工業部品の管理ラベルではレジンインクとラミネート加工を併用し、金属部材との接触摩耗にも耐えます。
クラフトビール瓶向けには水性顔料インクにUVニスの組み合わせで、冷蔵庫内の結露や氷水浸漬テストをクリアします。
アウトドア用品のブランドシールはUVインクの上にマットラミを施し、紫外線と擦れからロゴを保護しながら高級感を演出します。

高耐久性が必要なラベルの活用シーン

1. 物流用バーコードラベル
2. 工場の工程管理・資産管理ラベル
3. 医療機器や試薬瓶のGHS対応ラベル
4. 家電・自動車部品の銘板
5. 冷凍食品、冷蔵飲料など低温環境下の食品ラベル
6. 屋外掲示用ステッカー、スポーツ用品ロゴ

これらのシーンでは、読み取りエラーや表示劣化が直接コストや安全性に跳ね返るため、高耐久仕様が必須となります。

選定時のチェックポイント

ラベルが暴露される環境条件を温度、湿度、薬品、光の4要素で具体的に洗い出します。
インクメーカーの耐候データを確認し、自社のテスト基準と比較します。
サプライヤーに対し、ASTM、ISO、JISなど標準化試験の結果提出を依頼すると客観性が高まります。
加工後のラベルで擦過試験、耐水試験、冷凍解凍サイクル試験を実施し、実運用を想定した加速試験で評価することが重要です。

SDGs視点での高耐久ラベル

長寿命のラベルは貼り替え回数を減らし、資材使用量と廃棄物を削減します。
VOC排出を抑えたUVインクや水性顔料インクを採用することで、環境負荷を最小化できます。
再生PETフィルムやバイオマスフィルムと組み合わせれば、循環型モデルに貢献できます。
企業の環境報告書で取り組みをアピールする際にも、高耐久ラベルは説得力のある実例となります。

よくある質問

Q. 高耐久性インクは通常インクに比べてコストが高いのでは?
A. 初期コストは上がりますが、貼り替えやクレーム対応のコストを考慮すると総合的にコストメリットが出るケースが多いです。

Q. ラミネートとニス、どちらを選べばよいですか?
A. 高い物理保護が必要ならラミネート、意匠性とコストバランスを重視するならニスが適しています。テストサンプルで比較検証することを推奨します。

Q. インクジェットプリンタでも高耐久ラベルは作れますか?
A. 水性顔料インクと耐水紙、もしくは合成紙を組み合わせ、仕上げにニスやラミネートを行えば工場ラベルレベルの耐久性を確保できます。

Q. SDGs対応の証明は可能ですか?
A. インクの環境認証(GREENGUARD、ECO PASSPORTなど)やフィルムのリサイクル材比率を示す書類を取得し、製品仕様書に添付すると証明になります。

ラベル印刷の高耐久性インクと特殊加工技術を適切に組み合わせることで、ブランド価値を守りながら業務効率と環境配慮を両立できます。
自社製品の用途や流通環境を正確に把握し、最適な仕様を選定することが、競争力のあるラベル戦略への近道となります。

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