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ホワイトアッシュ材は北米産の広葉樹で、明瞭な木目と適度な硬さ、そして加工性の高さから、家具、フローリング、野球バットなど多くの製品に利用されています。
しかし屋外利用や高湿度環境では、吸水による膨張収縮や菌類による腐朽が進行しやすいという課題があります。
比重が0.60前後と軽量ながら機械強度が高く、バランスの取れた材質であることが最大の特徴です。
木目がはっきりしており、塗装映えが良い点もインテリア用途で重宝されます。
さらに曲げ加工への追従性が高く、スチームベントやラミネーションにも適しています。
ホワイトアッシュ材の大きな欠点は、心材と辺材の耐朽性がどちらも低いことです。
防腐薬剤を施さずに屋外へ設置すると、3~5年で腐朽菌が侵入し、内部から強度が低下します。
また紫外線を受けるとリグニンが分解され表面が白銀化し、塗膜が早期劣化する問題もあります。
リグニンは植物細胞壁の主要成分で、セルロースやヘミセルロースを三次元的に結合させる天然高分子です。
化石資源由来のフェノール樹脂の代替として研究が活発化しており、紙パルプ産業やセルロースバイオエタノール製造過程から副産物として得られます。
リグニンはフェニルプロパン骨格がラジカル重合した複雑な構造を持ち、芳香環による耐紫外線性と疎水性が特徴です。
この疎水性が木材内部で水分の侵入を抑え、腐朽菌の活動を阻害します。
代表的な製法はクラフト法やソーダ法で、黒液から酸沈殿させてリグニンを回収します。
近年では有機溶媒を用いず超臨界CO₂やイオン液体を活用した環境負荷の低い抽出技術も開発されています。
副産物のままでは不均一な分子量分布を示すため、アセチル化やメチル化などの化学修飾で反応性と溶解性を向上させるのが一般的です。
バイオ由来リグニンをホワイトアッシュ材に含浸させると、以下の三つのメカニズムが働きます。
リグニンはセルロースの親水性水酸基を疎水基でコーティングし、木材の平衡含水率を2~4%低減します。
結果として乾湿サイクルによる寸法変化が抑制され、割れや反りが発生しにくくなります。
芳香環が紫外線を吸収して熱に変換することで、リグニン未処理材に比べ表面色差ΔEが約40%小さくなると報告されています。
塗膜の密着性も維持されるため、再塗装サイクルを延長できます。
フェノール性水酸基が菌糸の酵素活性を阻害し、腐朽試験では質量減少率が未処理材の30%以下に抑えられます。
また一部のテルペン系害虫に対して忌避性を示し、薬剤散布量の削減が期待できます。
ホワイトアッシュ材にバイオ由来リグニンを効果的に取り込むには、含浸深度と均一性が鍵となります。
まず材をオーブンドライで含水率8%以下に調整し、細胞壁の自由体積を確保します。
次に真空-加圧サイクルで樹脂通路を開き、空気を除去します。
リグニンをアルカリ水溶液または有機溶媒に3~10%濃度で溶解し、0.08MPaの真空後に1.0~1.2MPaで30分加圧含浸します。
ホワイトアッシュ材は道管が太いため、比較的短時間で心材近くまで浸透します。
含浸後は60~80℃で数時間プレドライし、溶媒を除去します。
その後、触媒や加熱によりリグニンを縮合させ、木材内部で三次元網目構造を構築します。
硬化完了後の重量増加率が15%を超えると、耐久性向上効果が顕著に現れます。
実際の建築・家具分野で採用が進みつつあり、各種試験で有効性が確認されています。
北米の公共ボードウォークでは、従来のCCA処理木材に替えてリグニン処理ホワイトアッシュ材を試験導入しました。
5年間の屋外曝露で、質量減少率が3%未満にとどまり、表面割れも従来材の約半分に減少しました。
日本国内の商業施設では、床暖房上に敷設するフローリングに採用されました。
高温乾燥下でも含浸部がセルロースを保護し、7万回の摩耗試験で塗膜剥離が見られませんでした。
またVOC放散量がF☆☆☆☆基準を満足し、室内空気質の懸念もありません。
リグニン処理は従来の合成樹脂含浸や薬剤圧入と比較して、トータルコストと環境負荷の両面で優位性があります。
CCAやACQ処理に比べ、材料費は同等ながら、有害金属を含まないため廃棄処理費と環境規制対応コストが削減できます。
加工後の比重増加が小さく、輸送コストの上昇も限定的です。
国際基準ISO14040に基づくLCAでは、リグニン処理材は未処理材よりも温室効果ガス排出量を30%低減し、石油系樹脂含浸材よりも55%低減しました。
再利用やバイオマス燃焼時におけるカスケード利用でも、有害物質が発生しない点が評価されています。
リグニン分子の均質化や官能基制御により、さらなる耐久性向上や難燃性付与が期待されます。
またホワイトアッシュ以外の広葉樹や構造用針葉樹への適用拡大、3Dプリント材へのフィラー利用など応用範囲が広がっています。
残された課題は、含浸装置のエネルギー効率向上と溶媒回収システムの低コスト化です。
バイオ精製プラントと木材加工工場を統合したエコインダストリアルパーク構想も現実味を帯びています。
バイオ由来リグニンを活用したホワイトアッシュ材の耐久性強化は、吸水率低減、紫外線劣化抑制、生分解抑制という三つのメカニズムで高い効果を示します。
真空加圧含浸と適切な硬化工程により、屋外デッキや室内フローリングなど多用途で性能が実証されています。
従来の薬剤処理木材よりも環境負荷が小さく、今後の脱炭素社会に向けた木質材料のキーテクノロジーとなるでしょう。

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