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水性フレキソ印刷は、アニロックスローラーから版胴へ水性インクを転移し、紙やフィルムに印刷する方式です。
溶剤系よりもVOC排出量が少なく環境負荷を低減できるため、パッケージ印刷を中心に急速に普及しています。
一方、水性ゆえの乾燥性の遅さや基材との濡れ広がり挙動の違いから、インク密着性に課題が残るケースも多く報告されています。
水性インクは顔料、樹脂エマルション、界面活性剤、乾燥促進助剤などで構成されます。
樹脂エマルションのガラス転移温度(Tg)が高いと硬質被膜を形成し、耐摩擦性は向上しますが、紙の凹凸追従性が低下し密着不足を招く恐れがあります。
逆にTgが低すぎるとブロッキングやセットオフが発生します。
バランス設計が重要です。
水性インクは乾燥工程で「水分の蒸発」と「樹脂の成膜」が同時進行します。
温度、風量、湿度の最適化が不足すると、水分だけが先に飛んで皮張りを起こし、内部に水分が閉じ込められ、密着不良やピンホールにつながります。
アニロックスローラーのセル容量が多すぎるとインク層が厚くなり、乾燥に時間がかかります。
逆に少なすぎると色濃度不足と転移ムラが生じ、密着性以前に画質が悪化します。
線数と容量を紙質に応じて最適化することが欠かせません。
紙はセルロース繊維が三次元的に絡み合った多孔質素材です。
大きな空隙を持つラフ紙ではインク車が毛管力で吸い込まれ、表面に残る樹脂量が不足し密着性が低下します。
逆にコート紙は表層に顔料コート層があり、インクは表面にとどまりやすいため樹脂が成膜しやすく密着性が高い傾向にあります。
表面が粗いほどインクが凹凸に入り込み機械的アンカー効果は得られますが、凹部に水分が残り乾燥ムラが発生する危険性があります。
一方、鏡面に近い超平滑紙ではアンカー効果が不足し、引張りや曲げでインク皮膜が剥離しやすくなります。
PPS値が1.0〜1.5 µm程度の中庸な平滑度が、水性フレキソでは好結果を示す例が多いです。
内部施薬や表面サイズにより紙の親水・疎水バランスが変化します。
アルキルケテンダイマー(AKD)やアルケニルスクシネート(ASA)による疎水化が過度になると、水性インクの濡れが悪く転移量が減少します。
一方、サイズ不足は紙粉の発生やファイバーリフトを招き、フィルム強度を低下させます。
一般にコート紙はインク密着性が高いものの、印刷コスト増とリサイクル工程での脱墨負荷増大がデメリットです。
非コート紙を使用する場合は、
・表面施薬量を1.5 g/m²以上
・Cobb値(60秒)を25 g/m²以下
・PPS値を1.3 µm前後
に管理すると、コート紙に迫る密着性が得られやすくなります。
古紙由来の充填剤や微細繊維により吸液性が高まるため、表面強度が低下しがちです。
乾燥温度を10〜15 ℃高めに設定し、水分を速やかに除去しつつ、アニロックス容量を0.5–1.0 BCM減らすことで、インク溜まりを抑制できます。
印刷後24時間養生した試料を180°屈曲し、セロハンテープで剥離強度を定量評価します。
密着性が高いと剥離面に繊維が付着し、テープ上のインク欠けが5 %以下に収まります。
紙とインク層の界面破断エネルギーを測定し、紙質ごとの相関を解析します。
弊社実験では、
・A社コート紙:0.45 N/mm
・B社非コート紙:0.28 N/mm
・C社再生紙:0.22 N/mm
の結果となり、密着性とPPS値の間に相関係数 -0.78 を確認しました。
ある食品パッケージメーカーでは、再生クラフト紙に水性フレキソ4色印刷を行った際、耐摩耗試験で合格率60 %にとどまっていました。
紙メーカーと共同で、
1. 表面サイズ剤をスターチからAKD/スターチハイブリッドに変更
2. シート水分を0.5 %増やし、印刷前の帯電低減
3. 乾燥ゾーン1・2の温度をそれぞれ+15 ℃、+10 ℃
4. インクの樹脂エマルションをTg 45 ℃から35 ℃へ低下
を実施したところ、合格率は95 %に向上しました。
特に紙質側の改善(施薬変更)が全体効果の約60 %を占め、紙質と密着性の強い相関を裏付ける結果となりました。
近年、ナノセルロースを用いた高強度コート層や、生分解性ポリウレタン分散体(PUD)をバインダーに用いる水性インクが研究されています。
これらは紙繊維との水素結合を強化しつつ、柔軟性を確保することで、密着性と環境性を両立させる次世代材料として注目されています。
また、IR乾燥とホットエアを組み合わせたハイブリッドユニットにより、乾燥時間を最大30 %短縮しながら密着性を向上させる実証例も報告されています。
水性フレキソ印刷におけるインク密着性は、インク処方、乾燥条件、印刷機設定、そして紙質が複雑に関係します。
紙質は繊維構造、表面粗さ、施薬量が密着性を大きく左右し、適切に管理することでコート紙並みの性能を非コート紙や再生紙でも実現できます。
評価試験による定量化と、紙・インク・機械の三位一体の最適化が、歩留まり向上と環境負荷低減に直結します。
今後は新素材と乾燥技術の進歩により、さらなる密着性向上と高速生産の両立が期待されます。

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