ポリウレタンゴムとシリコーンゴムの摩擦特性比較【業界向け】

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ポリウレタンゴムとシリコーンゴムの概要

ポリウレタンゴムとシリコーンゴムは、いずれも高機能エラストマーとして自動車、医療、OA機器など幅広い分野で使用されます。
両者は耐熱性、耐薬品性、機械的強度、加工性などで差異があり、特に摩擦特性は用途適合性を大きく左右します。

ポリウレタンゴムの基本特性

ポリウレタンゴム(以下PU)は、主鎖にウレタン結合を有し、高い機械的強度と耐摩耗性が特徴です。
硬度範囲はA40〜D70程度まで調整でき、引張強度は20〜50 MPa、引裂強度は60〜100 kN/mと一般ゴム中でもトップクラスです。
耐摩耗量はNRの1/3以下で、動摩擦係数は0.3〜0.5程度が目安です。

シリコーンゴムの基本特性

シリコーンゴム(以下Si)は、Si–O–Si主鎖を持ち、-50〜200 ℃の広い温度範囲で弾性を維持します。
電気絶縁性、耐候性が極めて高く、硬度はA20〜A80程度まで調整可能です。
引張強度は5〜10 MPaとPUに比べて低い反面、ガラス転移温度が-120 ℃付近と低く、寒冷下でも硬化しにくい利点があります。
静摩擦係数は0.6〜1.2、動摩擦係数は0.5〜1.0と高めで、粘着性が強いのが特徴です。

摩擦特性を左右する要因

摩擦は単純に材料のみで決まらず、硬度、表面粗さ、温度、荷重、速度、潤滑条件が複合的に影響します。

ゴム材料の硬度と摩擦

一般に硬度が高いほど接触面の変形が小さく、実質接触面積が減るため摩擦係数は低下しやすくなります。
PUは高硬度品を選択しやすいため、設計段階で摩擦低減が容易です。
Siは高硬度化しても表面エネルギーが高く粘着性が残るため、摩擦低減効果は限定的です。

表面粗さと摩擦係数

粗さRaが0.1 µm以下の鏡面仕上げでは粘着摩擦が支配的になり、Siの摩擦係数は1.0前後まで上昇します。
逆にRaが0.8 µm以上になるとミクロすべりが発生し、Siでも0.6程度まで低下します。
PUはもともと粘着力が低く、粗さの影響はSiほど大きくありませんが、Ra0.4 µm付近が最も安定した摩擦値(0.35〜0.4)となります。

温度依存性

PUはガラス転移温度(-40 ℃付近)以上で弾性を保ちますが、80 ℃を超えると軟化し摩擦係数が上昇します。
Siは200 ℃まで物性変化が小さい反面、25 ℃以下で粘弾性損失が増加し、静摩擦係数が一段高くなります。
したがって、高温環境ではSiが、低温環境ではPUが摩擦面で有利となるケースがあります。

ポリウレタンゴムの摩擦特性

乾燥環境下での挙動

荷重1 MPa、速度0.1 m/s、Ra0.4 µm鋼板との摺動試験では、PU(A90)が静摩擦0.45、動摩擦0.35を示します。
硬度をA70に下げると静摩擦0.55、動摩擦0.42まで上昇します。
硬度と摩擦係数が反比例する傾向が明確です。

潤滑環境下での挙動

ISO VG32鉱物油を滴下すると、動摩擦係数は0.08〜0.12へ急減し、硬度による差はほぼ消失します。
PUは油吸収率が1 wt%以下と低いため、潤滑油の長期保持性には課題が残ります。

代表的な実験データ

PU(エステル系)A95 vs SKD11(HRC60)
 ・乾燥下:静0.48 動0.37
 ・油潤滑:静0.11 動0.09
PU(エーテル系)A85 vs 強化ナイロン
 ・乾燥下:静0.52 動0.41
 ・水潤滑:静0.25 動0.20

シリコーンゴムの摩擦特性

乾燥環境下での挙動

荷重1 MPa、速度0.1 m/s、Ra0.4 µmアルミ板との摺動試験で、Si(A60)が静摩擦1.05、動摩擦0.85を示します。
硬度A40へ軟化すると静摩擦1.25、動摩擦1.05へさらに増加し、吸着粘着の影響が顕著です。

潤滑環境下での挙動

シリコーンオイル(100 cSt)を塗布すると、動摩擦係数は0.25〜0.35まで低下します。
ただし油膜が薄くなると再び粘着が立ち上がり、摩擦係数の時間変動が大きい点は留意が必要です。

代表的な実験データ

Si(高強度タイプ)A70 vs ポリカーボネート
 ・乾燥下:静0.90 動0.75
 ・シリコーン油潤滑:静0.30 動0.27
Si(一般タイプ)A50 vs SUS304 HL
 ・乾燥下:静1.15 動0.95
 ・純水潤滑:静0.70 動0.60

実務での材料選定指針

搬送ローラーへの適用

段ボール・フィルム搬送では表面摩擦が一定であることが重要です。
PUは耐摩耗性に優れ、動摩擦が安定して0.3〜0.4で推移するため、高速搬送ラインで採用実績が多いです。
Siは粘着が強く、低スリップ搬送や紙粉除去ローラーなど吸着性を必要とする工程に適します。

医療機器シール部品への適用

シリンジパッキンやカテーテルシールでは低摩擦と生体適合性が両立する必要があります。
SiはISO10993適合グレードが多く、高温滅菌後も物性が安定するため第一選択となります。
ただし摺動力を下げるため、PTFEフィラー入りSiやプラズマ処理で摩擦を0.3程度まで下げる工夫が求められます。
PUは生体適合グレードが限られますが、血液ポンプ用ベアリングなど高荷重部で使用されています。

OA機器・家電への適用

プリンターのピックアップローラーや家電の防振脚では、摩擦と耐久のバランスが鍵です。
PUは耐久5万枚以上のローラー寿命試験で亜硫酸紙粉による摩耗が少なく、コスト優位性があります。
Siは耐熱コピー機など100 ℃以上に晒される箇所での安定性が評価されますが、材料単価がPUの2〜3倍となります。

摩擦低減のための加工・表面処理技術

テクスチャリング

レーザーやサンドブラストで微細凹凸を付与し、実質接触面積を減らす方法です。
PUではピッチ50 µm、深さ10 µmのドットパターンで摩耗量10%減、動摩擦0.05低減の例があります。
Siはエラストマーが柔らかく凹凸が潰れやすいものの、深さ30 µm以上で効果が現れやすいです。

コーティング

PU表面にDLCやフッ素系コートを施すと、動摩擦は0.2以下まで下がりますが、ゴムと皮膜の密着性が課題です。
SiはプラズマSiOx被膜で0.25程度まで摩擦を下げつつ、透湿性の低下も防げます。

コンパウンド設計

摩擦低減用のPTFE、モリブデン、石墨などの固体潤滑フィラーを配合する手法です。
PUに10 phr PTFEを添加すると乾燥摩擦0.32→0.20へ低減し、耐摩耗量も15%改善します。
Siはフィラーのシラン処理が不十分だと機械強度が低下するため、カップリング剤の最適化が不可欠です。

コストと寿命のバランス

材料単価で比較すると、PUを100とした場合、Siは200〜300になります。
しかしSiは高温・耐候性でメンテナンス周期を延伸できるため、総コストでは逆転することもあります。
摩擦による発熱と摩耗は製品寿命を直接左右するため、実機試験でのライフサイクルコスト試算が重要です。

まとめ

ポリウレタンゴムは高硬度化とフィラー配合により摩擦を0.3以下に制御しやすく、耐摩耗性とコストに優れます。
シリコーンゴムは粘着摩擦が高いものの、高温・耐候環境や生体適合性が求められる用途で不可欠です。
硬度、表面粗さ、温度、潤滑条件を総合的に設計することで、PUとSiいずれでも目標摩擦性能を達成できます。
用途ごとに要求特性を明確化し、実機条件での摩擦試験を通じて最適材料を選定することが、品質とコストの最適化への近道です。

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