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なめし革は水分を約60〜70%含んだウェットブルー状態から始まります。
乾燥工程はこの含水率を最終的に12〜18%まで下げ、繊維間の結合を固定化するための鍵となります。
適切な乾燥は繊維束の収縮を抑制し、仕上げ後の寸法安定性、機械強度、外観品質を左右します。
逆に不適切な乾燥はシワ、割れ、硬化、色ムラといった欠陥を誘発するため、技術者が最も神経を使う工程と言えます。
最も古典的かつエネルギーコストが低い方法です。
通風の良い室内や日陰で革を吊り、ゆっくりと水分を蒸散させます。
低温で乾燥させるため繊維の緊張が少なく、柔軟性を確保しやすい一方、時間がかかり、生産計画が天候に左右されます。
大型の乾燥室で革をハンガーバーに掛け、温度40〜60℃、湿度50〜70%RH、風速0.8〜1.5 m/sの条件で管理します。
室内環境を制御できるため品質のバラつきを抑えつつ、自然乾燥より約30〜40%の時間短縮が可能です。
ただし革の自重による縦方向の伸びが発生しやすく、テンション管理が重要です。
革を加熱テーブル上に広げ、上部からゴム膜で密閉し、真空ポンプで20〜50 mbarまで減圧します。
水の沸点が下がるため60〜90分で急速乾燥ができ、厚革やオイルレザーにも適用可能です。
短時間で繊維が固定されるため収縮が抑えられますが、設備投資が大きく、均一な加熱面温度(40〜45℃)が必須です。
赤外線パネルで革表面を直接加熱し、水分を蒸発させます。
表面加熱による急速収縮を避けるため、初期はパルスモードで低出力を繰り返し、含水率35%以下で連続モードにシフトします。
厚みの薄いフルグレイン革や顔料仕上げ用のベースに多用されます。
27 MHz帯の電磁波を印加し、極性水分子を内部から振動加熱させます。
厚み方向の温度勾配が小さく、内部応力を最小限に抑えられる点が特長です。
含水率が20%を切ると吸収効率が落ちるため、ハイブリッドでラジアントヒーターや真空乾燥と組み合わせるケースが増えています。
温度は革種や仕上げ仕様により35〜60℃の範囲で設定します。
高温ほど乾燥速度は向上しますが、タンニンとの反応、油脂のブリード、クロム酸化を招く可能性があるため、45℃前後を基準に上限50℃に抑えるのが一般的です。
湿度は初期に高め(65〜75%RH)に設定し、革表面の皮膜形成を防いで内部水分を逃がしやすくします。
含水率40%を切った段階で湿度を40〜50%RHに落とし、最終含水率に向けてドライダウンさせます。
風速は1 m/s前後が目安ですが、革がバタつくと繊維が乱れるため安定流路の設計が重要です。
張力は側面クリップまたはテンションバーで調整し、縦方向に0.5〜1.5 kgf/cm、横方向に0.3〜1.0 kgf/cmを与えることで収縮を5%以下に抑制できます。
革を木枠またはアルミフレームに釘・ステープルで固定し、均一に張力を加える方法です。
真円や長方形など最終製品の歩留まりを計算したフレーム寸法を用いることで、裁断ロスを最小化できます。
釘跡が残らないよう薄刃のフィラグリーポイントを使用することが推奨されます。
クリップを革周辺のグレージングマージンに等間隔で留め、ベルトコンベア式乾燥器に通します。
連続生産に向くためアパレル用薄革に採用が増えています。
ピン圧を過度に高めると穴が広がり歩留まりを損なうため、硬鋼線径0.6 mm以下のバネ保持型を選定します。
真空乾燥装置内でテーブルとゴム膜の間にメッシュプレートを挿入し、全体面圧をかけながら乾燥します。
表面フラット性が向上し、シュリンクグレインの暴れを抑制できます。
グレージング加工前のカーフやカンガルーレザーに特に有効です。
乾燥完了後、革は24時間以上休ませ、内部水分を均一化するコンディショニングフェーズを設けます。
その後、測色計でΔE、測厚計で±0.05 mm以内、破断強度試験で規格値以上を確認します。
含水率はカールフィッシャー水分計で測定し、12〜16%を合格基準に設定します。
収縮率は200 mm角試験片で測定し、長辺短辺いずれも3%以内であれば優良品と判定します。
シワ発生時は初期湿度が低すぎる、または張力が不足している可能性があります。
対策として初期湿度65%RH以上に設定し、フレームテンションを10%増加します。
硬化や割れは温度超過と乾燥過多が主因であり、温度を5℃下げ、含水率15%で止めると改善します。
オイルブリードは乾燥後の急冷が原因で起こりやすく、クールダウンを30分以上かけて緩やかに行うことで抑制できます。
自動車用シートレザーでは真空乾燥とテンションフレームを組み合わせ、3%以下の収縮で広幅素材を得ています。
家具用厚革ではRF乾燥後にラジアントヒーターで表面を再加熱し、コーティング塗膜の密着性を高める工程が採用されています。
スポーツシューズ向けの軽量カンガルーレザーは、自然乾燥とハンギング乾燥を組み合わせることで柔軟性を維持しつつ形状保持率を確保しています。
省エネ型インバータファンとヒートポンプ式除湿器の導入で、ハンギング乾燥室のエネルギー消費を40%削減できます。
真空乾燥で発生した熱はヒートリカバリーシステムで温水回収し、前処理の洗浄槽加温に再利用することで年間CO₂排出量を12 t削減した事例もあります。
VOC排出を抑えるため、乾燥室内の空気を活性炭フィルターで循環処理する設計が普及しつつあります。
AIによる乾燥プロファイル最適化が注目されており、含水率センサーと赤外カメラ画像を深層学習で解析することで、不良率を15%削減した報告があります。
バイオベースのタンニンを用いた革は熱伝導率が低く、従来と同じ乾燥条件では含水率バラつきが大きいことが判明しています。
今後は革種ごとの熱物性値データベースを整備し、温度・湿度・張力をリアルタイムで協調制御するスマート乾燥ラインの実用化が期待されます。
技術者は製品仕様、革種、設備条件を総合的に判断し、最適な乾燥プロセスを設計する必要があります。
本稿で示した各種パラメータと形状保持技術を活用し、高品質かつ安定したなめし革製品を実現してください。

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