貴社の強みや特徴を一言で表現
詳しくは、下記リンクより詳細をご覧ください👇
ブラックベリーはアントシアニンを中心とするポリフェノール色素を豊富に含みます。
これらの色素は抗酸化作用や視機能改善などの有用性が報告されており、食品やサプリメント、機能性飲料の付加価値を高める重要な成分です。
しかしアントシアニンは熱、pH、光、酸素に対して不安定であり、濃縮工程で失活や褐変が進行しやすい欠点があります。
低温濃縮技術を採用することで色素の分解を抑え、鮮やかな紫赤色と機能性を維持したまま高濃度エキスを製造できる点が大きな意義となります。
アントシアニンはフラビリウムカチオン型で存在する場合に鮮やかな色を呈します。
60℃を超える加熱や中性域へのpHシフトで、ヘミアセタール開環や加水分解が進み、茶色〜黄褐色の変性産物へ変化します。
酸化的ストレスも分解を促進し、過酸化脂質や金属イオンの存在で退色が加速します。
従来の常圧濃縮では90〜105℃の加熱が数十分から数時間続くため、最大50%近い色素損失が発生する例も報告されています。
このため物理的・化学的ストレスを最小化する低温プロセスが必須となります。
低温濃縮は、沸点を下げる、氷晶を利用する、選択透過膜を活用する、という三つのアプローチに大別できます。
真空ポンプで装置内圧を20〜60hPaまで下げ、40〜55℃程度で水分を蒸発させる方法です。
二重管式やプレート式の薄膜蒸発器を用いれば、滞留時間を数十秒に短縮し熱ダメージを抑制できます。
アロマ成分の揮散を防ぐため、蒸発水をコンデンサーで捕集し、ストリッピングして戻すアロマリカバリーシステムを付随させるケースも増えています。
ライン組み込みが容易で処理量の調整範囲が広いことが利点です。
液体を−5〜−10℃で部分凍結させ、発生した氷晶を物理的に分離することで濃縮する技術です。
氷には溶質がほとんど含まれないため、色素や香味成分は液相側に濃縮されます。
熱履歴がきわめて低く、アントシアニンの保持率は95%以上と報告されています。
一方でバッチ処理が主体となり、連続化や大規模化にはスラリー状液体のハンドリング技術が課題となります。
逆浸透(RO)やナノ濾過(NF)膜を用いて水分を透過させ、溶質を濃縮させる方法です。
常温〜40℃の低温環境で運転でき、色素劣化が極めて小さい点が特徴です。
アントシアニン分子量は500〜1000Daのため、ナノ濾過膜で90%以上保持できます。
高濃度域では浸透圧上昇により通液速度が低下するため、目詰まり対策としてクロスフロー構造や周期的洗浄が不可欠です。
処理量が数百リットル/時を超える場合や既存ラインへのレトロフィットを考慮すると、真空低温濃縮が最も導入しやすい選択肢になります。
一方で機能性表示食品レベルの高アントシアニン濃度を要求する場合、色素保持率を最優先に凍結濃縮や膜濃縮を採用するメーカーが増えています。
最終製品形態がジュースベースなら粘度上昇許容幅が狭いため、低粘度のまま濃縮できる膜法が有利です。
コスト面では、凍結濃縮は設備費が高く、ROは電力消費がやや大きいものの操作温度が低い分、蒸気ボイラーが不要でトータルコストが逆転するケースもあります。
以下のような指標を設定し、技術評価を行うと導入リスクを低減できます。
・アントシアニン保持率
・香気成分保持率
・処理能力(L/h)
・運転コスト(円/kg蒸発水)
・設備投資額と償却年数
・GMP・HACCPへの適合性
1. 前処理
収穫後のブラックベリーを洗浄し、破砕・加水抽出します。pHを3.0前後に調整し、ペクチナーゼを添加して可溶化を促進します。
2. 粗濾過
0.5〜1.0mmのスクリーンで果皮・種子を除去します。
3. 酵素失活
60℃、10分以内のパスチャライゼーションで、酵素活性と微生物を抑制します。ここが唯一の加熱工程となるため、時間と温度を厳密管理します。
4. 低温濃縮
真空低温濃縮ユニットでBrix8→Brix35まで濃縮。
アントシアニン保持率90%以上を達成。
5. 冷却・調整
濃縮エキスを5℃以下に急冷し、必要に応じてビタミンCを添加して酸化を防ぎます。
6. 充填・包装
アルミラミネートバッグや遮光ボトルに窒素置換充填し、冷蔵保管します。
アントシアニン含量はpH差法(AOAC 2005.02)を用い、デルフィニジン3-グルコシド換算でmg/100g表示します。
色価はL*a*b*値を分光色差計で測定し、ΔEで退色を定量化します。
HPLCで主要アントシアニンプロファイルをモニタリングし、加熱劣化指標であるシリング酸との比率を確認します。
保存試験は40℃加速条件・12週間で行い、色素残存率80%以上を合格と設定すると、市販流通での6〜12か月品質保証が可能になります。
色素保持率向上は、同じ原料量でも最終製品のアントシアニン表示値を高められるため、原価低減に直結します。
また、鮮やかな色調は消費者の視覚的訴求力を高め、SNS映えする商品写真がマーケティングROIを押し上げます。
低温プロセスは環境負荷の小さい省エネ技術として、ESG投資評価やカーボンニュートラル方針へのアピールにも寄与します。
さらに高品質エキスをOEM供給することで、飲料・菓子・化粧品など複数業界へ横展開でき、事業ポートフォリオの多角化が可能になります。
最新研究では、真空蒸発と膜濃縮を連結したハイブリッドシステムが提案され、処理効率と色素保持の両立が期待されています。
また、超高圧処理(HPP)やパルス光殺菌を組み合わせることで、熱をかけずに微生物安全性を確保する試みも進行中です。
アントシアニンのマイクロカプセル化と併用し、貯蔵中の退色をさらに抑制する商品開発も増えています。
ブラックベリー以外のベリー類や赤紫野菜にも適用可能で、機能性食品市場全体の品質基準を底上げする鍵技術として、低温濃縮は今後ますます重要性を高めると考えられます。

詳しくは、下記リンクより詳細をご覧ください👇
You cannot copy content of this page