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ナノシリカ充填は、数十ナノメートルサイズのシリカ粒子を木材内部に含浸させ、細孔を化学的・物理的に補強する改質技術です。
木材の軽量性や加工性を保持しながら、薬品や摩耗に弱いという欠点を克服できる点が注目されています。
ここでは、ナノシリカとは何か、木材に用いる理由、性能向上のメカニズム、プロセス、評価法、実用事例、そして今後の展望までを解説します。
ナノシリカは、SiO2を主成分とする無機質の超微粒子です。
比表面積が高く、表面にシラノール基を多数有するため、他材料との化学結合性や分散性に優れます。
粒子径を1〜100nmに制御できるため、木材細胞壁のミクロな孔径にも浸透可能です。
1つ目は、シリカが無機材料であるため、酸・アルカリ・溶剤など多くの薬品に対し高い耐性を示す点です。
2つ目は、硬度が高く耐摩耗性に優れるため、木材表層に充填すると摩耗損失を大幅に低減できる点です。
3つ目は、透明性が高く紫外線に強いことから、木材の美観や光学特性を損なわず、屋外でも耐候性を付与できる点です。
木材はセルロース、ヘミセルロース、リグニンなど有機高分子で構成されるため、酸・アルカリ処理で加水分解や溶解が進みやすいという弱点があります。
ナノシリカを細胞壁や細孔に均一充填すると、以下のように化学劣化を抑制できます。
ナノシリカは強酸・強アルカリでもほとんど化学変化しません。
細孔内にシリカが詰まることで、酸・アルカリ溶液の侵入経路が遮断され、木材成分への直接的な攻撃を防ぎます。
また、シリカ表面のシラノール基が酸・塩基と水素結合を形成し、溶液の拡散速度を低下させるバリア層を構築します。
塩化物イオンは金属腐食だけでなく木材のミクロクラックにも浸透しやすいですが、シリカ充填によりイオン拡散係数が低下します。
トルエンやアセトンなどの有機溶剤も、シリカネットワークによって吸収量が低減し、溶剤による寸法変化や変色を抑止できます。
歩行や荷重が繰り返される床材やデッキ材では、表層の摩耗が大きな課題です。
ナノシリカは硬度が6〜7(モース硬度)と高く、木材繊維間の隙間にフィラーとして入り込むと複合効果でヤング率が向上します。
これにより摩耗試験における体積損失が20〜70%低減した例が報告されています。
ウレタンやエポキシ塗装は表面を樹脂膜で覆うため、傷が入ると下地木材が露出しやすい欠点があります。
一方、ナノシリカ充填は木材内部に分散するため、摩耗層が削られてもシリカが次々露出し、自己防御的に耐摩耗性を維持できます。
木材種や用途により、含浸方法や前処理条件を最適化する必要があります。
アルコキシシラン前駆体(TEOS等)をエタノール溶媒に溶解し、酸触媒下で加水分解・縮合を進行させながら木材に含浸させます。
木材内部でゲル化が進み、シリカネットワークが形成されるため、微細な均一分散が得られます。
処理後の熱硬化で機械的強度をさらに高められます。
コロイド状ナノシリカ分散液(シリカゾル)を真空脱気した木材に常圧含浸します。
その後、オーブンで110℃程度に乾燥すると、水分が蒸発しながらシリカが堆積・固着します。
処理が簡便で大型材にも適用しやすい特徴があります。
木材を真空槽で脱気後、1〜2MPaの加圧下でナノシリカ分散液を強制注入します。
導管が発達した針葉樹でも深部まで含浸でき、デッキ材や柱材など厚物への適用に有効です。
改質木材の品質保証には定量的試験が欠かせません。
JIS K5600に準じ、5%硫酸、5%水酸化ナトリウム、各種有機溶剤に24〜72時間浸漬します。
質量変化率、寸法変化率、強度保持率を測定し、未処理材と比較します。
ナノシリカ充填材では、質量増減が±1%以内、曲げ強度保持率が95%以上といった高い安定性が確認されています。
CS-10ホイール、荷重1kg、回転数1000回で摩耗体積を測定します。
未処理材の摩耗量が0.20gであったのに対し、ナノシリカ充填材は0.08gと60%の低減効果が得られた事例があります。
テーマパークや公共バルコニーでは、歩行摩耗と清掃時の洗剤による劣化が問題となります。
ナノシリカ充填したセランガンバツ材は、年間来場者300万人規模の施設で5年間のメンテナンスフリーを実現し、再塗装コストを40%削減しました。
プラント配管を支えるサドルやブロックに木材を用いるケースでは、酸性ガスやアルカリ洗浄液に曝されます。
ナノシリカ充填により圧縮強度が10%向上し、酸浸漬後の強度低下率が3%以下に抑えられ、交換周期を従来の3年から7年に延伸できました。
シリカ含浸量を増やすと重量が増加し、加工工具の摩耗も増えるため、軽量性と高性能のバランス調整が課題です。
また、シリカ分散液の価格が高いことから、大量生産用の低コスト前駆体開発が求められます。
今後は、シリカ表面を有機官能基で修飾し、セルロースとの共有結合を強化するハイブリッド技術が有望です。
さらに、燃えにくい難燃性シリカ層を同時に形成し、耐火性能まで付与する研究も進展しています。
ナノシリカ充填は、木材の弱点である薬品劣化と摩耗損耗を同時に解決し、屋外構造材や化学プラント部材など高耐久用途を切り開く技術です。
ソル–ゲル法、含浸乾燥法、真空加圧法といったプロセスを用いて、細胞壁レベルにシリカを均一分散させることで、酸・アルカリバリアと高硬度補強が得られます。
薬品浸漬試験やタブラー摩耗試験でも優れた耐久性が実証され、実用化事例も拡大しています。
コスト低減や機能統合など課題は残るものの、無機・有機ハイブリッド時代の木材高機能化手法として、今後一層の発展が期待されます。

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