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木質ボードやフローリングなどの複合建材は、接着剤なしでは成立しません。
木材と木材を効率的かつ強固に結合することで、寸法安定性や強度が向上し、資源利用効率も高まります。
そのため接着剤の品質は、製品の性能と企業の競争力を左右する重要要素になっています。
長年使われてきたアミノ樹脂系やフェノール樹脂系接着剤は、高い接着強度と耐水性を発揮する一方で、ホルムアルデヒドを原料または副生成物として含むケースが多いです。
室内空気中に放散されるホルムアルデヒドは、シックハウス症候群や発がん性のリスクを指摘され、国内外で厳しい規制対象となりました。
これにより「低ホルムアルデヒド」あるいは「ゼロホルムアルデヒド」の代替技術を求める声が高まり、バイオマス由来接着剤が脚光を浴びています。
日本では建築基準法改正により、F☆☆☆☆からF☆までの4段階でホルムアルデヒド放散等級が定められています。
最も厳しいF☆☆☆☆製品は、居室面積による使用量制限を受けずに施工可能です。
製造事業者はJASやJISに基づく放散量試験をクリアする必要があり、接着剤成分についても低放散設計が必須です。
EUではE1クラス(0.124 mg/m³以下)が標準化され、北米でもCARB規制やTSCA Title VIで同等レベルの放散量制限が導入されています。
グローバル市場に木質建材を供給する企業は、各国規制に適合した接着剤選定が欠かせません。
・木材の副産物であるリグニン
・大豆、カゼインなどのタンパク質
・セルロース系糖、フルファーラル、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)
・澱粉や植物油由来ポリオール
これらは再生可能資源であり、化石資源に比べライフサイクルでのCO₂排出量を大幅に削減できます。
バイオマス由来接着剤は、天然高分子の水素結合や官能基の化学反応を利用して架橋を形成します。
ホルムアルデヒドを必要としないポリコンデンセーション反応や、紫外線・酵素を活用したグリーンプロセスが研究されています。
リグニンは木材中でセルロースを接着する天然ポリマーです。
アルカリ抽出後にフェノール樹脂代替として利用でき、ホルムアルデヒドを用いない新規架橋剤と組み合わせることで低放散化が可能です。
近年は黒液リグニンをエポキシ成分と反応させたハイブリッド樹脂も報告されています。
大豆タンパク質は水分散性が高く、安全性も高い点が利点です。
システインやリジン残基を化学修飾することで耐水性を向上でき、屋内用合板や家具用に採用例が増えています。
酵素架橋やナノセルロースとの複合化により強度向上が進んでいます。
セルロース系糖を脱水して得られるフルファーラルやHMFは、フェノール樹脂に近い芳香族構造を持ちます。
これらをアルカリ触媒下で重縮合させることで、高耐熱かつ無ホルムアルデヒドの接着剤が得られます。
サトウキビバガスやトウモロコシ残渣からの原料供給が期待されます。
日本農林規格ではデシケーター法や大型チャンバー法により放散量を測定します。
接着耐久性はJIS K-6806に準拠し、乾湿繰返し試験やせん断強度試験で評価します。
バイオマス接着剤は吸湿特性が高い場合があるため、耐水ボイル試験の条件最適化が重要です。
国内大手ボードメーカーは、リグニン改質樹脂を用いたMDFを量産化し、F☆☆☆☆相当の放散量を達成しました。
北欧の木造住宅メーカーでは、大豆タンパク接着剤をCLTに導入し、欧州E1基準をクリアしています。
これらの製品は環境建材としてLEEDやBREEAMで加点対象になり、市場拡大を後押ししています。
ライフサイクルアセスメントでCO₂排出量を30~60%削減できる例が報告されており、カーボンニュートラルを目指す企業姿勢を示せます。
またVOC低減により居住者の健康リスクを抑制し、住宅性能表示やグリーン購入法のアピールポイントになります。
水性システムを採用するバイオマス接着剤は、既存のホットプレス設備にそのまま投入できるケースが多いです。
一方で固形分濃度や粘度調整が必要となるため、生産技術部門との連携が不可欠です。
導入初期コストは1.1~1.3倍になることがありますが、環境ラベル取得により販売価格プレミアムを確保できる事例があります。
タンパク質系樹脂は加水分解を受けやすく、屋外用途には限界があります。
超疎水性ナノ粒子や架橋剤を添加し、長期耐候性を確保する研究が活発です。
農産副産物由来の原料は収穫量の季節変動を受けやすいため、複数原料をブレンドしリスク分散するサプライチェーン設計が求められます。
さらにバイオリファイナリー拠点を木材工場近隣に設置し、物流コストを抑える取り組みも進んでいます。
ホルムアルデヒド規制の強化とカーボンニュートラル潮流を背景に、バイオマス由来の木材接着剤は実用化段階に入っています。
リグニン、タンパク質、糖類など多様な資源が開発され、放散量試験ではF☆☆☆☆やE1基準を満たす事例が増えました。
導入には耐水性やコスト面の課題が残るものの、環境価値とブランド力向上を見込めるため、採用メリットは大きいです。
今後は原料多様化と高性能化が進み、ゼロホルムアルデヒド時代の木質建材標準技術として定着していくでしょう。

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