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ナッツバターは、ナッツに含まれる脂質が約50〜70%と高いため、時間の経過とともに油分が上層に浮き出すフェーズセパレーションが起こりやすいです。
粒子状の固形分(タンパク質、食物繊維)が重力で沈降し、軽い油脂分が上昇することに加え、トリアシルグリセロール(TAG)の結晶化が進むと、結晶間に液体油が押し出される「油押し出し現象」も分離を加速させます。
結果として、瓶の上部にサラサラの油、下部に固いペーストが二層化し、滑らかな口当たりが損なわれます。
油脂分解(リポリシス)では、リパーゼなどの酵素を用いてTAGをジアシルグリセロール(DAG)やモノアシルグリセロール(MAG)へ部分加水分解します。
TAGよりも極性が高いDAG・MAGは乳化能が向上し、水分や固形分を絡め取りやすくなるため、油と固形分の界面張力が低減します。
これによりペースト全体が均質なネットワークを形成し、貯蔵中も油が遊離しにくい物性へと変化します。
さらに、脂肪酸組成を再構築するエステル交換(インターレステリフィケーション)を組み合わせると、融点が低下し、温度変動下でも結晶成長が抑制され、より安定した滑らかさが得られます。
酵素濃度が高すぎると過度な分解で遊離脂肪酸(FFA)が増え、酸敗や苦味の原因になります。
一般的には0.1〜0.3%のリパーゼを55〜60℃、pH6.5前後で30〜60分反応させ、FFAが2%以下に収まるよう管理します。
高オレイン酸種のピーナッツバターでは、硬化しやすいステアリン酸系TAGをオレイン酸系TAGと部分転移させ、融点を25℃付近に下げることでコールドフローを防ぎます。
パーム核油由来リパーゼ(1,3-特異性)の使用が汎用的です。
油脂分解単独でも効果はありますが、以下の補助技術と併用することで長期安定性が飛躍的に向上します。
酵素反応後のナッツペーストを1万rpm以上のホモミキサーで2〜3分処理すると、粒子径が平均5〜10µmまで微細化されます。
粒子サイズが小さいほどブラウニアン運動で沈降しにくくなり、油分との比表面積が増えて結合力が高まります。
大豆レシチン、ヒマワリレシチンなどのリン脂質は、DAGやMAGと相乗効果を示し、クリーミーな口どけを付与します。
添加量は0.2〜0.5%が目安で、多すぎると粘度が下がりすぎるため注意が必要です。
20kHz帯の超音波プローブで処理すると、キャビテーションにより油滴が数µmまで細分化され、酵素で生成した極性脂質が界面に迅速に吸着します。
処理時間は30〜60秒、エネルギー密度200W/L程度が一般的です。
1. ナッツの焙煎・粉砕(粒度50〜100µm)
2. ペースト化後、60℃に昇温
3. リパーゼ0.2%を添加し45分間撹拌
4. 酵素失活として80℃・5分間加熱
5. 高剪断ホモミキシング2分
6. レシチン0.3%を添加し低速攪拌
7. 真空脱気後に充填・急冷
このフローで製造した試験品は、40℃の加速試験14日後でも油分離率1%以下、Bostwick粘度の変化も±5%以内に収まり、滑らかさが維持されました。
滑らかさを数値化するために、レーザー回折式粒度分布計でD50を測定したり、ラピッドビスコアナライザーで粘弾性をプロファイルする手法が推奨されます。
また、遊離脂肪酸は滴定法やGCで追跡し、酸価2.0mgKOH/g以下を基準に製造条件をフィードバックします。
酵素は製造助剤扱いのため最終製品に残存しないことを確認する必要があります。
残存活性があると加熱後も分解が進み、苦味や泡立ちを生じるリスクがあります。
また、レシチンを使用した場合はアレルゲン表示が義務付けられているため、原材料名への明示が不可欠です。
遺伝子組換えを伴わない微生物由来リパーゼの開発が進み、マイルドな反応条件で高選択的にDAG・MAGを生成できるようになれば、風味保持と滑らかさ維持の両立がさらに容易になります。
また、AIによる結晶画像解析や、オンライン粘度センサーを用いたリアルタイム制御が普及すれば、油分離ゼロを目指すスマートファクトリー化も期待されます。
ナッツバターの滑らかさを長期間保つには、油脂分解による極性脂質の創出と、それを補完する高剪断乳化や天然レシチン添加が鍵となります。
適切な酵素量とプロセス条件を設計し、品質モニタリングを徹底することで、分離のないクリーミーなナッツバターを実現できます。
今後の技術革新により、植物性食品の食感設計はさらに高度化し、消費者にとって魅力的な製品が増えていくでしょう。

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