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よもぎ茶パウダーは、古くから漢方や食用に親しまれてきたよもぎの葉を乾燥し、粉末化した製品です。
日本では春の草餅などに使われる芳香が特徴で、若い女性を中心に健康茶としての需要も高まっています。
粉末化することで抽出の手間を省き、スムージーや焼き菓子など幅広いレシピに応用できます。
一方で、粉砕工程後は香り成分が揮発しやすく、酸化による劣化も進行しやすくなります。
最終的な商品価値を高めるには、粉末化前の乾燥段階で香気ロスを最小限に抑えることが重要です。
よもぎの主要香気成分はシネオール、α‐ツヨン、カンファーなどのモノテルペン類です。
これらは沸点が低く、加熱や風による搬送で容易に揮発します。
また不飽和結合を持つため酸化を受けやすく、酸味や草臭に変化しやすい性質があります。
乾燥時の温度、時間、酸素濃度、水分活性が高いほど、成分分解と揮発が加速します。
粉砕後だけでなく乾燥中にもマイナス40〜80%の香気が失われるとの報告もあります。
したがって乾燥技術選定と条件設定は、香気保持率を決定付ける最重要ステップとなります。
最も導入コストが低く大量処理に適した方法です。
100〜120℃の熱風を用い、短時間で含水率5%以下まで下げられます。
しかし高温に晒されるためモノテルペン類の揮発は極めて大きく、香気保持率は40%前後にとどまります。
葉緑素も分解しやすく、色調が褐変して商品価値を損ないます。
コスト優先型の大量生産には有利ですが、香り重視ブランドには不向きです。
マイナス30℃以下で凍結した後、減圧下で昇華乾燥を行う方法です。
水分を氷のまま除去するため、熱による香気損失が最小限で保持率は90%以上が期待できます。
組織の気孔構造が保たれ、再水和時の抽出性も良好です。
設備投資とランニングコストが高く、1バッチ当たりの処理時間も長めです。
高付加価値商品の差別化や小ロット対応には最適ですが、量産にはコスト計算が欠かせません。
40〜50℃の低温で加熱しながら真空ポンプで水分を除去する方式です。
熱風乾燥より温度が低く、凍結乾燥より処理時間が短い中間的ポジションです。
香気保持率は65〜75%で、コストと品質のバランスが取れます。
水分が液体状態で蒸発するため、昇華冷却板が不要になり設備コストを抑制できます。
ただし真空度が不十分だと水分除去が遅れ、微生物リスクが高まる注意点があります。
液体抽出したよもぎエキスを霧状に噴霧し、瞬時に乾燥させる方法です。
香気成分はマルトデキストリンなどのキャリアでマイクロカプセル化され、揮発ロスを抑えられます。
粉末の流動性と溶解性が高く、インスタント飲料用途に適しています。
ただし水抽出後の使用であり、生葉全体を粉末化する場合とは組成が異なります。
油溶性成分が一部失われるため、よもぎ特有の深い芳香を求める場合は別工程との併用が必要です。
1に前処理、2に温度管理、3に酸素制御が鍵となります。
葉を洗浄後、短時間で表面水を除去し、酵素活性を抑えるために60℃以下でブランチングすると変色を防げます。
乾燥温度は50℃を上限とし、低温下では風速を1.5〜2.0m/sに保って対流効率を高めます。
真空または窒素置換により酸素濃度を1%未満に抑えると、酸化由来の香気ロスを半減できます。
また水分活性0.30以下まで乾燥することで、輸送・保管中のカビ発生を防げます。
乾燥後は速やかに窒素ガス充填包装を実施し、常温化前の再吸湿を防止するとさらに保持率が向上します。
乾燥で得られた香気を保つには、バリア性の高い包装が不可欠です。
アルミ蒸着フィルムや三層ラミネートは酸素透過度が低く、日光遮断にも優れます。
脱酸素剤を併用すれば残存酸素を0.1%以下に抑えられ、半年以上の品質保持が可能です。
温度15℃、湿度60%以下の冷暗所で保管すると、モノテルペンの分解速度が1/3に減少します。
流通段階ではチルド帯配送を採用し、夏季の高温ストレスを避けます。
最終消費者にも密封状態を維持して早めに飲用するよう表示で啓蒙すると、商品満足度が向上します。
よもぎ茶パウダーの香り保持には、原料グレード選定から乾燥、包装、流通まで一貫した品質設計が求められます。
現状では真空凍結乾燥が最も香りを残せる技術ですが、コスト面では低温減圧乾燥とスプレードライの組み合わせも有望です。
IoTセンサーによる温湿度モニタリングやAI制御で乾燥プロセスを最適化する取り組みも進みつつあります。
さらにマイクロカプセル化技術の向上により、粉末内部に香りを閉じ込めた高付加価値商品の開発が期待されます。
産地での高性能乾燥設備の導入とサプライチェーン全体の温度管理が進めば、よもぎ固有の豊かな香りを世界中へ届けられるでしょう。

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