ポポーフルーツジャムの粘度と甘味バランスを最適化する製造工程

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ポポーフルーツの特性とジャム製造での課題

ポポーフルーツはマンゴーやバナナに似た香りとカスタードのような舌触りをもつ北米原産の果実です。
果肉は水分が多く繊維質が少ないためピューレ化が容易ですが、ジャムに加工すると粘度が上がりにくく、甘味が強く出過ぎる傾向があります。
そのため、粘度と甘味のバランスを取る最適な製造工程を構築することが必要です。

粘度と甘味を左右する主要因

果肉固形分

ポポーフルーツは可溶固形分(Brix)が15〜20%と高めながら、果肉に含まれるペクチン量はリンゴや柑橘より少ないのが特徴です。
固形分が多くてもペクチンが不足するとゲル化が不十分となり、最終粘度が低下します。

糖度と糖組成

ポポーフルーツの主糖は果糖とグルコースで、ショ糖含量は相対的に低めです。
果糖は甘味度が高く、温度による甘味感覚の変動が少ないため、加熱後でも甘味が強く残ります。
この点が「甘過ぎる」と感じられる原因です。

加熱時間とpH

ペクチンのゲル化には約pH3.0〜3.3が適正範囲ですが、ポポーフルーツはpH5.5前後と高めです。
そのまま加熱してもペクチンネットワークが形成されにくく、長時間煮詰めるとメイラード反応が進行し色味が暗くなります。

原料設計による最適化戦略

ペクチン強化

低メトキシペクチン(LMペクチン)を0.3〜0.6%添加するとカルシウム架橋でpH4.0でもゲル化が可能です。
果実本来の風味を損なわずに粘度を高められるため、ペクチン強化は最も効果的な手法です。

酸度調整

クエン酸を用いてpHを4.8→3.4付近へ調整すると、高メトキシペクチン(HMペクチン)でも十分にゲル化が起こります。
酸添加量は0.15〜0.22%を目安にし、過酸による酸味の尖りや果肉凝集を防ぎます。

糖組成の最適化

ショ糖を全糖量の40〜60%混合すると、甘味度を抑えつつジャム特有の結晶化リスクも低減します。
転化糖シロップを一部置き換えることで水分活性を下げ、保存性を向上させる効果も得られます。

製造工程の詳細フロー

1. 原料準備

完熟したポポーフルーツを20℃以下で保管し、加工当日に皮と種を除去します。
酸化酵素が活性化しやすいため、カット後すぐに0.1%のL-アスコルビン酸水溶液に漬けると褐変を抑制できます。

2. ピューレ化

破砕後、150メッシュのスクリーンで裏ごしして繊維を整えます。
この段階でBrix、pH、固形分を分析し、設計値と乖離があれば濃縮果汁や水で調整します。

3. 配合タンク

ピューレを攪拌しながら、ショ糖、転化糖シロップ、LMペクチンを順次添加します。
ペクチンは40〜50℃の温水に事前分散させ、ダマを防ぐことがポイントです。

4. pH調整

溶解を確認後、クエン酸を少量ずつ投入しpHメーターで3.4〜3.6に合わせます。
酸添加は加熱後にもpHが0.1程度下がるため、微調整を見越します。

5. 真空濃縮加熱

60〜65℃、-0.08MPaの真空下で15分間濃縮すると、香気成分の飛散を抑えながらBrixを55〜58%へ到達させます。
この温度帯では果糖のキャラメリゼを抑制でき、色調が維持されます。

6. 殺菌加熱

濃縮後に95℃で5分間の高温短時間殺菌(HTST)を行います。
ペクチンゲル形成のための最終加熱でもあるため、攪拌を最低限に留めて泡立ちと粘度低下を防ぎます。

7. ホットパック・冷却

85℃以上で瓶詰し、即座にインバート後殺菌を施して密封します。
その後、30℃以下まで冷却しゲル化を促進させます。

品質測定と工程管理

粘度測定

完成品を20℃でスプレルカメ型粘度計またはB型粘度計で測定し、2000〜4000mPa·sを目標とします。
粘度が低い場合はペクチン添加量を0.05%刻みで増量、高い場合はBrixを1〜2ポイント下げて調整します。

甘味評価

グルコース換算甘味度を計算し、7.5〜8.5を許容範囲とします。
官能評価パネルで甘味と酸味のバランススコアが70点以上を達成すると、市販品平均と同等以上の食味が得られます。

水分活性と保存性

水分活性は0.80以下、pH3.6以下、Brix55%以上が保存指標です。
この条件を満たすと、25℃で12か月の賞味期限設定が可能です。

製造スケールアップ時の注意点

・大型真空濃縮釜では熱伝導が遅れ、中心温度が上がらず粘度不足が生じやすい。
 バッフル枚数を増やし、攪拌速度を10〜15rpm高める。

・ペクチン溶解不良による微粒子の白濁が発生する場合、インラインミキサーで分散させる。

・充填ノズル径が狭いと高粘度で流量が低下し、温度低下→粘度上昇の悪循環を招く。
 温水ジャケット付きホッパーと直径12mm以上のノズルを採用する。

ケーススタディ:試験ロットから市販化まで

1. ラボスケール2kgバッチでペクチン0.4%、Brix57%、pH3.5で試作。
 粘度3200mPa·s、甘味度8.2を確認。

2. パイロットスケール30kgバッチで同条件を適用。
 真空度が不足しBrixが55%止まりとなり粘度2850mPa·sに低下。
 真空ポンプを3.5kWへ増強し、濃縮時間を5分延長して再試作。

3. 市販スケール300kgバッチで製造し、粘度3300mPa·s、甘味度8.1を達成。
 製品テスト販売の結果、リピート購買率65%を記録し発売認定となった。

まとめ

ポポーフルーツジャムの粘度と甘味の最適化には、ペクチン強化、酸度調整、糖組成設計の三本柱が欠かせません。
真空濃縮で香りと色を守りつつBrixを高め、pHとペクチンを管理することで滑らかで適度な粘度を実現できます。
工程ごとに粘度・pH・Brixをリアルタイムで測定し、スケールアップ時は熱・流体条件の変化に対応した装置設定が重要です。
これらを総合的に適用することで、風味豊かで甘さ控えめ、舌触りの良いポポーフルーツジャムを安定生産でき、市場競争力の高い商品化が可能になります。

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