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近年、健康志向の高まりから糖質を抑えたジャムの需要が増加しています。
しかし砂糖は単なる甘味料ではなく、ゲルネットワークを構築し、保存性を確保する役割も担います。
糖を抜いた分だけゲル強度が低下し、離水や分離が起こりやすくなるため、ペクチン活性を的確に制御してゲル形成を補強する必要があります。
ペクチンは果実の細胞壁に含まれる多糖類で、主鎖となるガラクツロン酸のメチル化度合いによって高メトキシルペクチン(HM)と低メトキシルペクチン(LM)に大別されます。
HMペクチンは高糖・低pH条件下で砂糖と酸により水分を脱水することでゲル化します。
一方、LMペクチンはカルシウムイオン架橋によってゲル化するため、糖濃度が低くてもゲル形成が可能です。
低糖ジャムでは主にLMペクチンを使用し、カルシウム添加やpH調整で粘度と保形性を確保します。
LMペクチンの中でもアセチル化されているタイプは水和性が高まり、しなやかなゲルを形成しやすくなります。
ただしアセチル基が多すぎるとカルシウム架橋が阻害されるため、製品設計でバランスを取る必要があります。
・ゲル強度不足によるジャムの液状化
・フレーバーの変質や酸味の突出
・保存中の離水(シナレシス)
これらは砂糖濃度の低下、ペクチン量の不足、pH変動、金属イオンの過不足など複合的要因によって起こります。
LMペクチンの最適ゲル化pHは3.0〜3.6です。
pHが高すぎるとカルシウム架橋が弱まり、低すぎると負電荷が減少してゲルが脆くなります。
クエン酸や乳酸で酸度を微調整し、製造ロット間のばらつきを抑えることが重要です。
LMペクチンはカルシウム依存性の“エッグボックス構造”でゲル化します。
Ca²⁺濃度が低いとゲル形成が不十分になり、高すぎると過凝集して粗いネットワークが生成され、口当たりが悪化します。
グルコン酸カルシウムや乳酸カルシウムは溶解性が高く、徐放性のため操作性に優れています。
本来ジャムは65°Brix以上で保存性を確保しますが、低糖ジャムでは40〜50°Brixに設計されることが多いです。
Brixが低いほどペクチンの水和が進み、ゲルネットワークが粗くなるため、高機能ペクチンの選定や糖アルコール、食物繊維を併用し粘度を補うのが効果的です。
過度な加熱はペクチンの脱メトキシル化や分解を進め、ゲル形成能を低下させます。
真空濃縮やマイクロ波加熱により、目標Brix到達までの加熱時間を短縮すると品質保持に貢献します。
1. 原料フルーツをピューレ化し、BrixとpHを測定する。
2. LMペクチン(アセチル化度10〜15%、DE25〜35%)を0.8〜1.2%添加し均一分散させる。
3. 加糖(ショ糖、マルチトールなど)で40〜45°Brixを目指す。
4. 50〜60℃で予備混合しながら、クエン酸でpH3.3に調整。
5. 85〜90℃へ昇温し、グルコン酸Caを全量の0.15〜0.25%添加。
6. 95℃・3分間保持して殺菌後、速やかにホットパック。
7. 急冷し20℃まで下げ、ゲルセットを促進。
この工程により、低糖でもスプレッド性と保形性を兼ね備えたジャムが得られます。
ペクチンメチルエステラーゼ(PME)処理でメトキシル基を部分的に除去し、LMペクチンをジャム内部で生成する手法があります。
酵素反応はpH4.0付近、40〜50℃で10〜20分行い、その後加熱失活させると均質な低糖ゲルが形成されます。
酵素使用時はラベル表示で「酵素処理フルーツスプレッド」と明示し、消費者理解を得る工夫が求められます。
・ガラクトマンナン系(ローカストビーンガム)との混合で離水抑制
・難消化性デキストリンでBrix不足を補完しつつ食物繊維強化
・ポリグリシトールシロップで甘味と保湿性を付与
これらを少量併用することでテクスチャー改良と栄養価向上を同時に達成できます。
水分活性(aw)が0.95を超える場合、カビや酵母のリスクが上がります。
ペクチンによるゲル化だけでは防腐力が不十分なこともあるため、ソルビン酸Kやナイシンなど天然系保存料を併用し、二次汚染を防ぎます。
またゲルが緩いと容器壁面への流動が早まり、カビ発生箇所が視認しにくくなるため、充填後の殺菌とクリーンベンチ作業が推奨されます。
・ゲル強度:テクスチャーアナライザーで25〜40g/5sを目標
・離水率:冷蔵4週間で3%以下
・官能評価:スプレッド性、塗布均一性、酸味バランス
製造ロットごとにこれらをモニタリングし、ペクチン活性を示すK値(粘度比)を算出してトレーサビリティを確立します。
低糖ジャムの成功は、ペクチンの種類選択、pH・カルシウム・Brixの三位一体での制御、そして加熱プロファイルの最適化にかかっています。
酵素処理やガム併用など応用技術を組み合わせることで、糖質オフでもおいしく機能的なジャムを提供できます。
健康志向が続く限り、ペクチン活性の高度なマネジメントは製品差別化の鍵となるでしょう。

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