ポリカーボネート(PC)の製造法と自動車部品での性能向上【業界解説】

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ポリカーボネートとは

ポリカーボネート(PC)は、芳香族ポリカーボネートを中心とする熱可塑性エンジニアリングプラスチックです。
高い耐衝撃性、耐熱性、光学透明性、寸法安定性を兼ね備え、家電、医療機器、建材、そして自動車部品など幅広い分野で採用されています。
同等の強度を持つポリアミド、ポリアセタールなどと比べても、PCは透明でありながら優れた耐衝撃性を維持できる点が大きな差別化要素です。
ガラスの約200倍、アクリルの約30倍という衝撃強度があり、軽量かつ安全性を求められる部品に最適です。

ポリカーボネートの主な製造法

ホスゲン法

ホスゲン法は、ビスフェノールA(BPA)とホスゲンを用いた界面重縮合がベースの伝統的手法です。
溶媒中でBPAのナトリウム塩とホスゲンが反応し、分子量制御剤や触媒の存在下で重合が進行します。
高分子量のPCが得られやすい一方、毒性の高いホスゲンを使用するため環境対策や安全管理コストが課題となります。

ホスゲンフリー法(溶融転移重合法)

近年主流化しているのがホスゲンを使用しない溶融転移重合法です。
ジフェニルカーボネート(DPC)とBPAを高温下でエステル交換反応させ、メタノールやフェノールを副生しながら脱揮・真空重合します。
ホスゲン法と同等以上の分子量が得られ、環境負荷を大幅に低減できるため欧州を中心に採用が拡大しています。

超臨界二酸化炭素プロセス

研究開発段階ながら、超臨界CO2を溶媒兼発泡剤として利用し、反応および発泡成形を同時に行う技術が注目されています。
これにより省エネ化と軽量化を両立でき、カーボンニュートラル対応の切り札として期待されています。

ポリカーボネートの物性とメリット

PCのガラス転移温度は約145℃で、-40℃領域でも靭性を維持します。
熱変形温度はアニール条件で120〜140℃に達し、耐熱性が求められる車内環境でも安定です。
比重は1.2で鉄の約1/7、アルミの約1/2と軽量です。
引張強度は60〜70MPa、曲げ弾性率は2.1〜2.4GPaと高剛性を示し、さらなる補強としてガラス繊維や炭素繊維のフィラー添加も可能です。
耐候グレードでは紫外線吸収剤やコーティング処理により、屋外で10年以上の黄変抑制が確認されています。
電気絶縁性も高く、EV向け高電圧部品やバッテリーケースの絶縁材としても適合します。

自動車部品分野における活用例

ヘッドランプレンズ

従来はガラスやPMMAが主流でしたが、PCは衝撃性に優れ、薄肉化で軽量化できるためヘッドランプレンズに採用が拡大しています。
耐熱レンズグレードでは、ハロゲンランプやLED光源の発熱にも十分対応できます。

パノラマサンルーフ

大型PCシートを三次元曲げ成形し、ガラスの約半分の重量で大開口ルーフを実現できます。
遮熱・IRカットコーティングを施すことで車内温度上昇を抑制し、空調負荷低減に貢献します。

インストルメントパネル周辺

PC/ABSアロイは、PCの耐衝撃性とABSの成形性を両立した樹脂合金で、インパネやコンソールの基材に採用されています。
表皮材やウレタンとのインモールド成形により高意匠加飾も容易です。

EV向け高電圧部品

セルホルダー、DC-DCコンバータケース、インバータカバーなどでは、高絶縁性と難燃性UL94 V-0グレードのPCが使用されています。
ハロゲンフリー難燃化が可能でリサイクル性も向上します。

性能向上に寄与する設計・加工のポイント

射出成形条件の最適化

PCはガラス転移温度が高いため、シリンダー温度は270〜320℃、金型温度は80〜120℃が推奨されます。
金型内での急冷を避け、保圧と冷却バランスをとることで内部応力と光学ゆがみを最小化します。

薄肉化設計

PCの高剛性を活かし、リブ補強やハニカム構造を組み合わせた薄肉化が可能です。
肉厚を1mm削減すると同サイズのガラス部品に対し約10〜15%の軽量化が期待でき、燃費向上・航続距離延伸に寄与します。

フィラーおよびアロイ活用

ガラス繊維強化PCは曲げ弾性率を6GPa以上に高め、金属代替部品の保持力を向上させます。
PC/ポリエステルアロイは耐薬品性が向上し、EV冷却液やブレーキフルードへの耐性が求められる部位で効果的です。

コーティング処理

耐摩耗・耐候性を確保するため、ハードコートやプラズマコートを施します。
自動車外装部品では耐擦傷性能10H以上、ヘイズ1%以下の要求をクリアできます。

今後の市場動向とまとめ

CASE(コネクテッド、オートノマス、シェアリング、電動化)時代の到来により、車両軽量化と安全性強化はますます重要になります。
ポリカーボネートは、その高い比強度と設計自由度により、金属およびガラスの代替材料として需要が拡大すると予測されます。
加えて、ホスゲンフリー法やバイオマス原料PC、リサイクルPCの開発が進むことで、サステナビリティ要件への適応が加速します。
自動車メーカーは、PCの物性を最大限に活かす設計指針の標準化と、コーティング・接着技術の高度化を進めることで、さらなる性能向上が期待できます。
今後、PCはヘッドランプからボディパネル、構造部材へと用途が拡大し、軽量化と機能統合によるコスト競争力を生み出すキーマテリアルとなるでしょう。

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